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『【報告】フェミ講座から追い出されそうですwww』2023-11-06

※結局追い出されました。メール中の個人名を除く伏せ字部分を解除します。

 前回記事の後半をみなさんご期待頂いていたと思うが、急遽、私のところに来たあるメールの話を挿入させていただくことにした。

 私はフェミニズムの実態観察を重視して、現在進行形で行われているフェミ関連の講座をよく受講している。ちなみに直近では今月9日、11日、12日とそれぞれ別のフェミ講座を受講予定である。
 そうした講座には一回きりだけではなく連続講座もあるのだが、その一つの主催団体から「今後の参加を控えてほしい」というメールが来てしまったのである。
 

■■■■ 様

認定NPO法人女性のスペース結の■です。
当団体の主催する連続講座全6回にお申込みくださり、ありがとうございました。

当団体では、講座のタイトルにもありますように「女性のための支援者」を求めております。

■■様には、2回の講座に参加いただきましたが、講座内での発言内容について内部で検討
させていただいたところ、目的に相違があるのではないかと感じています 。

したがって大変恐れ入りますが、■■様の今後の講座への参加はご遠慮下さいますようお願い申し上げます。

私たちも、このような事態が生じることを想定しておらず、講座開催時に規約等を設けていれば良かったと
反省しております。
もし、■■様が今後も講座に参加したい意思がおありであれば、ぜひとも参加の目的および、女性支援では
何をしたいのかをお知らせいただきたいと思います。
直前の連絡となり、大変申し訳ありませんが、どうぞ宜しくお願いいたします。

 女性支援と銘打ってはいるが、ここで言及されている2回のうちの2回目に限っては、女性支援の背景となる性差別やフェミニズム自体を取り扱ったもので、いわばただの普通のフェミ講座であった。
 そのため講座後の質疑では疑問点を述べさせていただいた(たとえば講座内では「女性は女性だからという理由で進路を狭められている」と主張されていたが、実際は男性の方こそ性別を理由に進路干渉を受けている統計的事実があること等)のだが、どうやら不興を買ったようである。

 むしろ今後の女性支援そのもののノウハウについての次回以降こそ私は貴重な学習機会と考えていたので、ここで打ち切られるのは大変もったいない。
 参加継続希望の返信を送ることにした次第である。

ヒトシンカからの返信


 平素よりお世話になり、ありがとうございます。
 連続講座参加についての御連絡、読ませて頂きました。

 私の講座参加の目的について疑義を持たれたとのことですので、説明させていただきます。
 まず、私が設立・所属しておりますNPO地球の本棚は「すべての人がどんな本でも自由に読める社会」を目指し、音訳ボランティアの実施および普及活動を一つの柱とすると同時に、社会的妨害等によって表現の場を奪われた、あるいは奪われつつある表現者の支援をも活動内容としております。当然ながらその中には女性の表現者も含みます。イラストレーターや漫画家の7割は女性が占めると言われますし、女優やモデルさん等もおります。またセクシャルな表現や性についての踏み込んだ表現をした方も、もちろん含むものです。
 女性がこうした表現をする際「女性がこんな格好をする/こんな表現をするのはけしからん」という、保守的で男尊女卑傾向の強い人々による妨害や干渉ももちろん従来から存在していました。しかし残念ながら現在ではそれらに加え、フェミニズムやジェンダー平等の名のもとに、言いがかりのような理由で「ネット炎上」を起こされるケースも多々あります。ただ内股でポーズをとっているだけの女性のイラストを「おしっこを我慢している絵だ」と集団クレームで取り下げを余儀なくされたり、吹奏楽がテーマなだけのアニメ番組が「少女が吹く管弦楽器は男根のメタファーだ」とデマを流されるなど、こうしたケースは枚挙にいとまがありません。
 そして作品そのものだけでなく女性クリエイター自身が攻撃され、誹謗中傷を受ける事例もまた少なくありません。当時未成年の女子高校生であったイラスト作者に対し、個人情報の特定・公開などの被害に至ったケースさえあります。
 第2回講義の質疑で、私は「unconcisous biasやmicro agressionと称して細かな事象まで問題視していくことが、問題視する側の過敏化を招き、むしろ多様性を阻害していく結果になるのではないでしょうか。実際に『アニメの女の子のポスターが許せない』などと言っている人たちが、いざ移民やLGBTといった本物の異文化との軋轢に遭った場合に、,本当に多様性を尊重したふるまいができるのでしょうか」という主旨の質問をさせていただきました。それはこういった問題意識に基づくものです。

 そうした問題意識を持つ立場の私が、フェミニズムに基づく女性支援の講座を受講することには、第一に被害を受けた女性クリエイターのための支援ノウハウを学ぶとともに、逆に女性クリエイターを追い詰めるいわば「加害者側のロジック」としてのフェミニズムについても知るという両義的な意味があります。
 私自身の個人的な意見は、女性学用語でいえばリベラルフェミニズムに近いもので、ラディカルフェミニズムが優勢なフェミニズムの現状では、むしろ後者の「加害者となってしまったフェミニズム」を意識することが多いようにさえ感じております。

 おそらく今回のメールをお送りいただいたのは、先述の全回講座において、講師の井上匡子先生の御見解と私の意見に異なるところがあったためだと思います。
 しかし第2回の講座は、女性支援そのものをメインに扱った回ではなく、むしろその背景にある社会構造についての講義でありました。その各部について講師の方と異なる意見を持っていたことをもって、女性支援の目的そのものを疑問視されるのであれば、やや心外に感じます。

 また、私が質疑やグループディスカッションにおいて、男性側への冤罪を危惧するような意見を申し上げたところもあったかと存じますが、これも「男性だから女性の立場を理解せず男の味方ばかりしている」という単純な理由ではなく、私が法学部出身であり、人権意識は昨今のフェミニズム本などよりもむしろ憲法学に多くを負っているため、適正手続きや冤罪の問題に敏感であるからです。
 おそらく今回の講座の参加者やスタッフの方は、人権というと一般向けのジェンダー関連の書籍などから知識を吸収されている方が多いのではないかと思いますが、そうした方々と私は感覚の違いがあるかもしれません。

 また、女性支援というものを社会的に広く見たところ、様々な価値観を持った複数の支援者が存在することもまた重要ではないかと考えます。
 なぜならば、例えば、トランスジェンダー女性の権利とトイレや浴場などの女性用スペース確保の問題、セックスワークの是非の問題、ジェンダーバイアスと女性クリエイターの表現の自由の問題など、様々な点で女性同士においても利害・意見の相違があります。
 女性が抱えるこうした複雑かつ広範な問題について、いずれの立場にいる女性も共感を得られる支援者を見つけられることが大切であるかと存じます。
 もしも(例えばラディカルフェミニズムのような)単一の価値観を持った人びとによって女性支援者が占められるならば、その人たちが共感できない・しづらいような立場・意見の女性が結果として女性支援の対象から締め出されるという、不幸な事態をまねくことにもなりかねません。
 またそうした女性支援の政策やリソース配分についてそうした思想が重視されすぎると、あまりにも”unconscious”で”micro"なことを「被害」として扱うことにリソースが費やされ、本当に切実に支援を必要としている女性にゆきわたらなくなるのではないかとも危惧しております。

 以上のように、私の講座参加は女性支援目的を前提としたものであり、質疑やグループ討議で発言させていただいたこともすべて、それを否定する趣旨のものではありませんので、できればこのまま参加を継続させていただきたいと思います。
 もしも発言の方法や内容について「このような趣旨の発言はしないでほしい」「このような趣旨の発言はこうしたやり方でしてほしい」というようなご要望がおありでしたら、御遠慮なくおっしゃってください。

 ただ、今後の各回のテーマを拝見させていただく限り、第3回以降はより具体的に女性支援そのものに踏み込んでいくようですので、社会全体における性差別をテーマとした第2回ほど色々な意見の相違があることは考えにくく、仮にあったとしても論点は絞られてくるのではないでしょうか。

 私の参加目的の説明については以上になります。
 再度のお願いになりますが、このまま参加継続をさせていただければ幸いです。
 よろしくお願い申し上げます。

(先方および当方の名前省略)


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