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 フェミニストの用いるスラングで「フェミニズムに協力せずに男に味方する裏切り者」とみなした女性に対する罵倒語。

 もともとは名誉白人という言葉があり、黒人差別反対に非協力的な有色人種を指していた。例えば1980年代、アパルトヘイトで経済制裁を受けていた南アフリカ共和国と貿易を続けていた数少ない国が日本であった。これは日本の産業が当時、同国で産出されるレアメタルを必要としていたためであるが、このため日本人は有色人種であるにもかかわらず、白人居住区を宛がわれるなどの「白人扱い」を受けていた。
 このことから「金のために倫理に反する行動を取る卑しい奴ら」というイメージでバッシングを受け、国際的には「名誉白人」はむしろ蔑称となった。
 遡ってナチスドイツは、本来アーリア人と呼称されていた人々でないが国策上利益となる人種を「名誉アーリア人(Ehrenarier)」と呼称した。日本人もまた1940年の日独伊三国同盟の成立後はこの語に組み入れられた。これら「名誉白人」「名誉アーリア人」などを総称して「名誉人種」と呼んでいる。

 つまり「名誉○○」とは「邪悪な支配層に媚びへつらうことで特別扱いしてもらおうとする卑怯者」というニュアンスを帯びている。これを悪用しようとして、フェミニストは自分の意にそぐわない意見を持つ女性を「名誉男性」とレッテルを貼るのである。

 フェミニズムは建前上「女性の権利」を訴えるものであるが、非常にしばしば現実女性の実際の要望と衝突する。フェミニズムが糾弾してしまった漫画やイラストの作者が女性であることもあれば、【性的搾取】【性的対象化】【性的消費】であるはずの写真のモデルやセックスワークの女性達が「私は望んでこの仕事に従事している」と意思表明することも多々ある。
 このようなフェミニストにとって都合の悪い意志を持つ女性をフェミニストは「男尊女卑的な価値観」を【内面化】した『名誉男性』であると認定することによって、「女性の声」から除外する
 これによって自身の糾弾欲と、自由を求める女性の現実の声との認知的不協和を解消するのである。

 実際にフェミニストに「名誉男性」と糾弾される女性を分類すると、フェミニストが差別表現と見なした創作表現(萌えイラスト、ポルノグラフィ、『シンデレラ』のような童話など)の女性ファンおよび女性作者。
 またフェミニストが推す「男女平等化のため」の制度(いわゆるクォータ制等)に反対する女性。
 フェミニストが差別者と糾弾した相手を擁護する女性。

 などなど、下記ツイートで引用されているように実に様々な「フェミニストが気に食わなかった女性」が名誉男性認定されている。

 特に最近では萌えイラストとの関係で、その作者およびファンが女性であった場合「名誉男性」が乱用される傾向にある。
 しかし実際には、フェミニストの相当数は中年以上の女性であるため、単なるアニメ風・萌え系のイラストに対する世代的な偏見や男性憎悪から来る自身の敵意を「女性の声」と独善的にみなしているに過ぎず、名誉男性と呼ばれる女性の感覚こそ、単に「アニメ風の絵柄に偏見がない若い人」の感性を指しているに過ぎないことが多い。

 なお2020年7月20日、声優・タレントの「はるかぜちゃん」こと春名風花氏が自身を「名誉男性」等とTwitterで中傷した相手を名誉棄損で刑事告訴。最終的に中傷者側が315万円を春名氏側に支払う内容で示談が成立した。

参考リンク・資料:

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