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『Yes turn into No(2)』2023-04-28

※このnoteは前回のnoteの続きとなります。未読の方は下記リンクからお読みいただけると分かりやすいです。

 前回の主題をまとめると、このポスターのメッセージを推している社会的勢力とは、ようするにフェミニストである。
 しかしながら、フェミニストにとって「性的行為の同意をとれ」というのは意味をなさない。なぜなら「ノーな相手」から性的行為の同意を求められること、求めたいと思っていると知ることそのものが、すでに性的行為→性暴力だからである。

 したがってポスターのメッセージは端的に嘘である。
 実際には、Noの男が同意をとろうとしたからといって助かることはない。つまりこのポスターは男性側を、結果的にYesだった男以外「性暴力者」として切り捨てる内容でしかないのである。そして「もともとYesの男」というのは極めて数が少ない。

女性が評価する男性の魅力度
https://blogs.sas.com/content/sastraining/2014/10/16/how-do-men-rate-women-on-dating-websites-part-2/より)

 つまりほとんどの男性は女性にとって「Noな相手」であり、したがって性暴力者候補なのである。そして「同意」は前回見たように、何もそれを免罪してくれない。
 
 たとえば、初めて恋をした、容姿のあまりぱっとしない男の子があのポスターを見て「よし、性的な同意を取ろう」として、女の子にオファーを実行すれば、それは性暴力にされるのだ。
 はっきり言おう。
 ”Yes means Yes, No means No”は嘘なのだ。

 現実のセックスの現場では、女性は「キモオタが性的にみていると思った」で彼を性暴力者に仕立て上げ、好みの男に対しても清楚アピールのためにしばしばNoを発し、そして好みでない男とも経済的な利益のために積極的に性関係を持った挙句、関係が悪化すれば当時のYesをNoに過去改変する。

 その嘘をただの民間のフェミニストが言うならともかく、フェミ局でしかない男女共同参画局が言うならともかく、子ども(家庭)庁としては致命的だ。
 なぜならそれは彼らが守るべき「子ども」の半数近く(子どもたちの半数である男の子から、ごく一部の「最初からYes」のモテモテ君を除いた数)を「性暴力者」の立場に追いやろうとしているに等しい。

 なぜならフェミニスト達の望みをありていにいえば、こうした合意があるかないかの行き違いによる「デートレイプ」的な問題の責任すべてを「男」になすりつけてしまおうということにあるからだ。

 憲法が男女においても「法の下の平等」を定めている日本において、およそ行政が丸のみにしていい論理ではない。
 本来であれば男女共同参画局がやることさえ不適切極まりない。しかしその公平性をフェミ局に望むのはあまりにも無い物ねだりなのである。
 しかし、子ども(家庭)庁がそれをやったことは、男の子を見捨てたに等しかった。

 実際にデートレイプ問題に対して行政がやるべきことは、フェミニストの嘘をそのままポスターにして広めることではなく、実態を改善することだった。
 すなわち”Yes means Yes, No means No."と主張したいなら、まず女の子たちに実際にそのようにせよと「嫌なら嫌と言え」と啓蒙することだったのだ。ありもしない”Yes means Yes, No means No."を事実にように触れ回ることではなく。
 啓蒙の方向が間違っていたのだ。
 しかし真に目指すべき方向は「恋愛の駆け引きにおいて、女性は嘘をつくな」――これは不可能に近いほどの遠い道のりかもしれない。
 だがたとえ本当の方向が、遠い道のりであったとしても、誤った方向を指し示すよりはましである。

 ルール違反すれば性暴力者になるというのに、行政がそのルールブックに嘘を書くべきでは絶対にないのだ。

 山田議員は「性暴不明瞭性が男子にとって不利益なだけでなく、女子側にも被害深刻の基準が分からないこと。そしてこのポスターが男子を後付けで断罪することを推す内容になっており、「性暴力被害予防月間」の趣旨にもあっていないと説く。もっともな議論だ。

 しかし前回述べたように、このポスターは全く関係のない「ほかのイラストレーターの絵柄をパクっている」という理由で取り下げになった。

 もちろんこの展開を「なんにせよ取り下げになったんだから俺らの勝利!」とか、さらには「パクリ事件までポスターの非に加わったぜラッキー!」とさえ思ったアンチフェミもいただろう。

 しかし、正直いって私はこの展開に少々、釈然としないものを感じている。
 それはなぜか。

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