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【平成30年度「女性に対する暴力をなくす運動」ポスター】

「女性に対する暴力をなくす運動」とは、2001年6月5日の男女共同参画推進本部決定により、毎年11月12~25日(最終日が「女性に対する暴力撤廃の国際デー」にあたる)の2週間にかけて行われる政府キャンペーン。
 その一環として、平成30年(2018年)度に内閣府がセクハラ防止のため、俳優の東幹久氏を起用して制作したポスターである。

 上部には職場の女性のファッションに言及する場面、中央に「これもセクハラ?」と困惑する様子をアップに映し、下に「セクハラを決めるのは、あなたではない!」「相手や周囲に配慮した言動を!」とメッセージを書いている。
 しばしば男性にとっては悪意のないこの種の言及が、セクハラとなりうることを啓発する内容である。
 実際に、何がセクハラであるかという現実的で論理的な基準が存在しない以上、範囲を「甘く」見積もってしまって意図せずに「セクハラ加害者」となる男性も時おり存在するのは現状である。このポスターはそうした不幸な加害を少しでも減らすために作られたものであることは明白だ。

 ところが一部女性……というかフェミニストからバッシングが発生。
「男性目線なのが気に食わない」「男性が被害者している写真で不愉快」というのがそのメインの内容であった。

 繰り返すがこのポスターはセクハラの「防止」を目的としたポスターである。被害者を慰問するためでもなければ、ネットで男性を叩きたい女性を「スカッと」させるためでももちろんない。そんなことはセクハラ防止ポスターではなく、身銭を切ってホストにでも頼め。
 セクハラ防止のためには、その加害者になりうるような人々に訴える内容にするのは当然のことであって、「男性の困惑する姿を映している」のは、セクハラ加害者になるかもしれない男性にとっては困惑するほど意外なことがセクハラになりうるという警告である。

 また言い訳のように「男性も被害者になりうるのに、セクハラは男性→女性というイメージを生んでしまうのではないでしょうか」と、男性の被害者も気遣っていますと装いながら、そもそも『女性に対する暴力をなくす運動』のポスターであることを忘れてるお間抜け“演技派”も散見された。
 そもそも両性対象の「暴力をなくす」ポスターや運動にしていた場合、このポスターに喚いた「抗議女性」たちが全員そのまま「女性の方が酷い目に遭ってきたのにその差を無視している!」になっていたことは想像に難くない。

 当時の片山さつき女性活躍担当相は11月16日の記者会見で「この図柄だけが正しいとは考えていない」としつつも「貴重なご意見をいただきました」「より効果を上げていくためにメディアも含めていろんな意見を聞けるきっかけになれば」とあしらい、変更や回収などはなかった。

参考リンク・資料:

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