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【1989年婦人週間ポスター】

 婦人週間とは現在の「女性週間」の前身にあたる啓発週間で、毎年4月10~16日に実施される。1949年から労働省(当時)が提唱・実施していたものだが「女性週間」と名称変更されたのは1998年から。

 1989年に東京都が発行した婦人週間ポスターは、どろんこ遊びをしたあとの少年と少女が並んで立っている、という写真。
 それに「たまたまオトコ。たまたまオンナ」という標語がついていた。
 どろんこ遊びのような活動的で汚れるような遊びも、また女の子にも開かれているべきだ、というジェンダーフリーを訴える意味なのは明らかであり、婦人週間の趣旨に照らして何もおかしくないように思われる。

 これに都内の「女性団体」がつけたクレームはあまりに酷かった。
 男の子が左側、女の子が右側にいるのが気に食わないというのである。

 どういう意味か首をひねるのは自然である。
 それはキャッチコピーの文字が横書きーーつまり左から右に書かれていたからである。
 ということは左側が前であり、向かって左側に男の子がいるのは「男が前」なので男性優位である!というのだ。
 さらに婦人団体側は、男の子のほうが体格が大きい、という平均的な身体的特徴まで差別であると非難したと言う。
 いずれにしても唖然とするような言い掛かりであった。

 東京都生活文化局もさすがに「いろいろな意見は歓迎するが、ポスターは問題があるとは考えていない」と述べたという。
 本事件に触れている『差別用語を見直す』の著者・江上茂もさすがに「被害妄想もここまでくると恐ろしい」とコメントしている。

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