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『3つの破壊~カンパ罪はなぜ定着させてはならないか~』2024-04-26

「雁琳」氏(被告)と北村沙衣氏(原告)の名誉棄損裁判での地裁判決が、今月中旬――2024年4月17日に出た。雁琳氏が北村氏に220万円を支払えという内容である。
 これがネットで多くの批判を浴びている。

 なにが批判を浴びているのか。
 通常、個人間のわずか数ツイートが問題になった名誉棄損事件など損害賠償額はせいぜい20~30万程度であり、雁琳氏が命じられた支払額は異常な高額である。
 また、そもそも、この裁判に至るまでの発端は「呉座勇一事件」である。歴史学者の呉座勇一氏が北村紗衣氏を批判したことに端を発する、呉座氏への「1300人がかり集団レッテル攻撃」を行いその職を奪った、いわゆるオープンレター事件に対して雁琳氏が批判したことを、「誹謗中傷」ということにされた。

 実際には呉座氏・雁琳氏の両名とも、大して悪質な中傷をしたわけではないのだが。

 しかし批判を浴びているのはその金額そのものではなく、その判断に、雁琳氏がネット上で募った裁判費用のカンパを理由にしたことだ。

 判決文はこの箇所について次のように述べている。

加えて、被告は、本件訴訟に対応するための支援金をツイッターで募り、約450万円を集めてその旨を公表した(甲63、83)。原告を貶める前記各投稿がこのように広く伝播して同調する投稿が現れ、しかも被告が前記のとおり本件訴訟のために公然といわゆるカンパを募ることは、同調者をあおるものといえる。これらは、原告の慰謝料増額事由として評価すべきである。

本件判決文より

 この「カンパ罪」には3つの問題点がある。

1.「裁判を受ける権利」の破壊

 まず雁琳氏は、裁判を起こされて防御的にカンパをしたのであって、「これから北村を攻撃するから!俺が遠慮無くアイツを攻撃できるようにみんなカンパしてねー!」とやったわけではない。
 庶民が、自身の意見を裁判という大きな負担をちらつかされることによって封殺されるのを防ぐために実費を寄付してもらったに過ぎないのである。

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