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【本を焼く者は、いずれ人も焼く】

 ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネ(1797~1856)の言葉で、ドイツ語で“ Dort wo man Bücher verbrennt, verbrennt man auch am Ende Menschen.”
 1820~21年の戯曲『アルマンゾル』に登場する。
 レコンキスタ期のスペインにて、イスラム教徒であった主人公アルマンゾルがキリスト教に改宗させられ、コーランを火の中に投げ入れることを強要される場面で語られる言葉である。
 現在でも表現規制に対する警句として引用されることが多い。
 
 『アルマンゾル』が書かれてから約110年後の1933年5月10日、「ナチスドイツ学生連盟」が歴史上でも最も悪名高い焚書を開始した。25000巻を超える「非ドイツ的」な書物が燃やされ、この中にユダヤ系であったハイネの作品も含まれていた。
 その後、1939年にナチスドイツによるポーランド侵攻を皮切りに第二次世界大戦がはじまり、1942年1月にはヴァンゼー会議で「ユダヤ人問題の最終的解決」が策定され、実行に移された。
 『アルマンゾル』に書かれた言葉がまさに実現したのである。

 焚書が行われたベーベル広場には現在、「焚書の記憶記念碑」があり、ハイネの言葉もここに刻まれている。

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