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物を大事に扱う習慣

後生大事

皆さんはこの四字熟語をご存知でしょうか。
この言葉は元々仏教の語です。

意味
後生の安楽を大切にして、生前一心につとめること。
そこから転じて、ものを大切にすること。

この言葉の本来の意味は、来世の安楽を願ってひたすら善行を積み、仏道に励むことです。日本には仏教が伝来した歴史から、仏教の語が数多く残っています。この言葉もその一つです。日本は無宗教の国ですが、神道と呼ばれる宗教のようなものは存在します。かつて、神道と仏教が入り混じったこともあり、日本には四字熟語や慣用句といったものが数多く存在します。

自然や動物に神が宿ると考える日本人


日本では山を神として祀るお寺はたくさん存在します。

国籍問わず、ものを大切に扱う人は数多くいます。ですが、日本人はその習慣が際立っているように感じます。理由は、前述した神道に関係しているからだと私は考えています。
神道では、自然物に神が宿るといったアニミズム的な思想があります。例えば、山の神や川の神、太陽の神といったものです。そこからさらに派生し、神の遣いとして亀や馬が崇められるお寺も数多く存在します。さらにそれらの動物は遣いどころか、神の化身として祀られているケースも多々あります。日本人はあらゆる生き物に神が宿っていると考える習慣が文化的に存在するのです。ですが、それは何も動物だけではありません。

お守り


日本人はなぜお守りを買うのでしょうか。お守りのパワーは実際にはどこに繋がるのでしょうか。

日本では、毎年の恒例行事に初詣があります。新年を迎えると同時にお寺や神社に参拝に行くというものです。「今年も一年家族が健康に過ごせますように」や「今年の受験で第一志望の大学に受かりますように」や「長引いた病気が今年は治りますように」など、様々な願いを込めて神にお祈りに行くわけです。参拝に行った先には「お守り」が売っています。参拝にいった多くの人はこの「お守り」を必ずと言っていいほど買います。
「お守り」にはたくさんの種類が存在します。例をあげますと、「交通安全のお守り」や「安産のお守り」や「金運のお守り」、「仕事の出世のお守り」や「ペットのお守り」などです。日本人はその「お守り」は自分を守ってくれたり、自分の願いを叶えてくれたりするものであり、神の力が宿っていると考えるのです。
これらの「お守り」は普段使用するカバンにつけたり、財布の中に大切にしまったりします。何か大きな病気になったりした時に、「お守り」を握りしめて「神様どうかお力を貸して下さい」といった具合にお祈りをする人もいます。前述した自然や動物だけでなく、ものにも神が宿っていると考えているのです。

ものを大切にするということ


日本の包丁は切れ味がよく、お土産として購入する方も多くいます。包丁を研ぐ技術はものを大事に扱う精神から来たものではないでしょうか。

つまり、日本人というのは身近に身につけるものや目にする自然に対して神が存在すると自然と考えるような国民なのです。結果的にどうなるかと言いますと、ものを大切に扱うようになるのです。
今では科学が発達したため、科学で証明できないものは迷信と呼ばれ、科学がすべてといったような時代になりました。しかし、そんな時代にも関わらず日本人は「お守り」を信じています。「お守り」どころか普段使用するものも非常に大切に扱います。例えば、「食べ物を残してはバチが当たる」や「まだ使えるえんぴつを捨てた子供が母親に怒られる」といったケースはものを粗末にせず大切に扱いなさいという証拠でしょう。日本人は子供の頃からそのように言われ教育を受けるのです。

私はものに神が宿るとは本気では思っていませんが、ものは大切に扱います。なぜなら、ものを大切に扱うことにはメリットが多くあるからです。

・ものが長持ちすることで経済的なメリットがある
・ものを大切にするマインドは人を大切にするマインドにも繋がる
・ものを大切にすることで心が穏やかになる

他にもいくつもメリットはありますが、このようなメリットを享受することができます。つまり、ものを大切に扱うというのはそのもの自体がKIREIに保たれるという一時的なメリットに重きがあるのではないのです。むしろ、ものを大切に扱うことで得られる良いマインド、つまり二次的メリットの方が大きいわけです。

ものを大事にするという習慣は、そのものをKIREIに保つのではなく、心をKIREIにする習慣だと言えます。そのようなマインドを持つことは、自分の生活だけでなく、他者との交わりの中での生活、家族との間で培われる生活、仕事での生活にも間違いなくポジティブな効果を発揮するでしょう。

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