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入社後最初の給与査定で減給になった話②

前回の記事はこちら。

さて、社会人一発目の給与改定は増額がデフォルト?なのに、減給になった話の第二幕です。

同じ話は繰り返したくないので、文脈が気になる方は①をぜひ読んでからこちらに舞い戻って(減給になった話で記事を二本書くメンタルを褒めて)ください笑

※前回記事の最後に、今後自分がどんな役割をしていきたいのかを別記事にてまとめると書きましたが、この記事の後段で触れています。

2.新卒でスタートアップに入ることについて

忖度なしで言うと大変です。笑
少なくとも、最初の半年で減給された事実が物語っていると思います(単なる力不足。笑)

とは言え、おそらく大変であることは僕が言わなくてもすでに周知の事実。
それにスタートアップ特有の大変さは、"新卒だから"ではないと思うので、何が大変かを少し深掘っていきます。その上で、新卒だから発生する苦労についてまとめます。

2-1.いま世の中にないことをやろうとしている

これも当たり前っちゃ当たり前で、ベンチャー企業が存在している大きな理由なわけですが、ワープスペースが取組んでいる衛星間の光通信インフラのプロジェクト数は、世界でみても10未満です。そのうち、政府主導のプロジェクトを除き、商用レベルでやろうとしているのは5社にも満たない

不確実性の高さは否めませんが、サービスとして100%ワークするかはわからない前提(どんな文脈でも絶対はない)を共有したうえで、フィジビリティスタディを一緒にやろうと手を挙げてくれる事業者がいます。

もちろん理論実証されているから開発・実装しようとしているわけで、可能性は十分にあるしユーザーニーズもあります。

もう一つ業界特有の大変ポイントをあげると、ハードの設計開発を含む事業開発ゆえに、めちゃくちゃ時間がかかります。ワープスペースの計画では2022年にβver.をローンチ、翌年フルスケールのサービス開始をマイルストーンとしています。

研究開発を進めながら、100%確信をもって出来るかは分からないサービスだけれども、「一緒にやりませんか」と見込みのユーザーと対話を始める(もちろんお互いにリスクは承知の上で)。

さらに、宇宙空間に一度打ち上げてしまうと修正できません。地上システムレベルで改善を試みるしかないので、開発段階で不安要素を徹底的に取り除いてあげる必要があります。

ソフトウェア事業が、高速にトライアンドエラーを繰り返しながらしのぎを削るのとは異なり、ハードウェア開発含む宇宙ビジネス特有の苦労かなと思います。まさに重厚長大の一言。

2-2.これまでの知識や経験が通用しない

以下は個人の話です。サンプル数1なので参考になるかは分かりませんが、文系卒で宇宙業界に飛び込んでみて感じることをまとめます。

大学で学んでいたのはリベラルアーツ。政治経済・宗教・そのなかで醸成された文化体系・脳科学など、人文思想系には大抵触れてきました。こうして俯瞰してみると、人間に興味があるみたいです。笑

蛇足ですが、そのなかでも特に熱心に取組んだのは、歴史学そのものについてです。大上段の問いとしては「歴史とは何か?」。その観点からキリスト教(プロテスタント)と資本主義の関係について研究していました。

本題に戻ります。そんなことを学んでいた学生が、突然宇宙業界のさらにまだプロダクトを持っていないスタートアップに入るとどうなるか。減給を経験します。笑

新卒でスタートアップに入るのが難しいと言われるのは、一般にプロジェクトを一回転させる(た)経験が乏しいからだと考えています。企画から予算どり、クロージングを経験していないと、次に何をするべきなのかが分からない。

僕の場合、それに加えて宇宙に関する基礎知識が皆無だったので、優先順位をつけて知識をインプットしたり、自分の業務を回すことすらおぼつかない日々でした。

そうなると、会社を俯瞰して見て何が欠けているのか、何をすべきか、何なら出来そうかすら考えられなくなります。

実際フィードバックで言われたのも、
・プラスアルファがない(誰がやっても同じ結果になる仕事しかしてない)
・自分で工夫したり、分からないことは先行事例を見たり人に聞く
・自分の責任の所在を、自分で自覚できていないように見える
・今後会社の中で何をしていきたいの?

正直に言うと、全く考えられてなかったです。ただ、社会は思ってたよりやさしいところだなと思ったのも、また正直なところです。

前回記事で触れましたが、自分でも何もできていないという自覚はあって、普通に離職を勧告されると覚悟してました。笑

でもきちんと正当にフィードバックをくれて、「まだ出来るよね?」とポテンシャルにかけてくれていることが分かって内心ほっとしました。強がっている感ありますが、社会や人を信じることが不得手な僕にとっては、いい経験になりました。

ここまでを一旦まとめると、

1. 前例がなく、そもそも技術的に実現できるのかすら誰にも分からない
2. ハードの設計開発を含む点で長いリードタイムが必要で、一度宇宙に行くと、トラブルがあっても対処範囲に限界がある
3. プロジェクトを回した経験がない人がスタートアップに行くと、何が分からないのか分からない現象が起こる
4. 具体と抽象で物事を考えられない

2-3. 就活に悩む学生さんへ

もしここまで読んでくれた方の中に、スタートアップに行くか大手で経験を積むか迷っている学生さんがいる、と仮定してこの章を書きます。

最後はやっぱり自分で決めるものだと思います。それでもあれこれ考えちゃうから、納得できる理由が欲しくて人の考えにすがりたくなったりする。すごく分かります。

僕から言えることは2つ。
1. 肩の力を抜く。あわないと思ったら環境を変えるのも手。
2. 自分が本当にほしいものが何かを考える。

一つ目。最初のキャリアで人生が決まることはないと思っています。僕が宇宙業界に飛び込んだときも、"創造的な迷子"と自称していました。

目的地がそもそも定まっていないなら、迷子という概念すらなくなるよね、と思ったからです。好きなことを見つけてそれを仕事にするのも素敵だけど、今やっていることを好きになれるのも素敵なことです。

だからとりあえず入ってみて、その会社や業界を好きになれそうなら頑張ればいいし、違うなと思ったときは次の環境を探せばいい。

好奇心にしたがってあれこれ手を出すのをやめたときが、きっと成長を止めるときだと思うので、肩の力を抜いていいと僕は思います。

二つ目。自分が本当にほしいものは何かをとことん考えるのもいいと思います。スキル、お金、名声、働きながらも遊ぶ時間、なんでもいい。

その会社に入って何を得たいのか?これは最終的にクリアにならなくてもいいけど、一度考えてみることは大事。

僕は宇宙を少しでも理解したいと思ったのと、会社の成長が、社会にきちんといい影響を与えられると信じたからジョインを決めました。

最後に、「じゃあこれから何するの?」というお話を。僕なりのインサイトも交えてまとめて、今回の公開処刑を終わります(笑)

3. スタートアップこそPR/広報が重要

以前家入さんがTwitterで、「スタートアップこそ広報が大切」といった主旨のことをつぶやいていました。その真意は分かりませんが、最近になって自分なりに腹落ちしたのと、今会社に必要なのはまさにPR要素だと考えているので、今後注力したいと思っています。

3-1. そもそもPRとはなんぞ

印象論ではありますが、日本だとモノを売り込むマーケティング的な文脈でPRという言葉が使われていると感じています。PRプランナーのテキストにも出てきますが、その背景には高度成長期の名残があるみたいです。

でもPRはPublic Relationsの略で、直訳すると【公共との関係(性)】になります。一般に言われるような、企業から消費者への一方通行のコミュニケーションではなく、双方向のものであると単語から連想されます。

直近で企業のPR機能が最高にワークした例が、東証の取引停止事例に関する記者会見です。記者からの質問に的確に答え、わかりやすい言葉を選んで真摯に説明責任を果たしたことで、むしろ企業のイメージアップに繋がった、かも知れません(そのインパクトはまだ分かりませんが)。

危機管理におけるPRの重要性はもちろんのこと、会社の存在をひろく認知してもらうという観点でも、PRがその役割をになうと思います。

SHARPのTwitterアカウントをはじめとしたSNSを活用したPRや、従来的なテレビCM、広告など、チャネルは多々あれど、基本的には自社の存在や、プロダクトを知ってもらうために企業は日々発信しています。

なぜこの機能が、スタートアップこそ欠かせないのか。そのことについて僕なりの考察をまとめます。

3-2. プロダクトがないスタートアップだからこそ

ワープスペースには、まだプロダクトが存在していません。研究開発の段階で、今は技術実証のデモンストレーションまっただ中です。プロダクトもないスタートアップなのになぜPRなのか。逆に、プロダクトがないからこそPRが重要だと考えます。

会社の信頼を測る上で、最もわかりやすいのはその会社の製品を使うことだと思います。製品を使ってみて、いいものであれば応援したくなるし、仮に不良品だったとしても、そのときの対応で信用できるかが分かれます。先ほど触れた東証の記者会見が好例です。

製品を使ってもいないのに、「あの会社は信用ならん!」「あの会社の製品はダメだ!」というのは単なるクレーマーなので、よい子はやめましょう。

では、プロダクトがないスタートアップはどうやって信頼を勝ち取るのか。
そこでPRの出番です。特に宇宙ビジネスは、国防や安全保障に直接結び付く産業です。見込みのユーザーだけでなく、政府系機関からの信用も欠かせません。

また、宇宙という特殊な文脈で考えると、別の観点でもPRの重要性が見えてきます。日本の宇宙産業は圧倒的に出遅れています。投資額でも企業数でも、アメリカ、欧州、中国、ロシアに敵いません。

その背景にあるのは、まだ産業そのものが広く知られていないことが要因として大きいと考えています。宇宙ビジネスと聞いて何を連想するでしょうか。ぱっと言える人の方が割合としておそらく低い。 

身近な例で言うと、自動運転車やテスラの自動ブレーキシステムの背景には、人工衛星が観測しているデータが活用されています。

一時期話題になりましたが、この動画には、ドライバーですら気付いていない危険因子を、車が自律的に認知し避ける様子が写っています。

他にも、GPS、陸/海運や保険、災害時の情報収集/ネットの復旧など、私たちの生活のあらゆるシーンに、実は宇宙産業が関わっています。

知られていないから、挑戦する人が増えない。そうなるとリスクマネーも流れにくくなり、市場の成長は鈍重になる。こうした国内の宇宙業界が抱えるボトルネックを解消する一翼を担うのは、PRだと思います。

最後に

減給ネタでまさか二本の記事を書くことになろうとは夢にも思いませんでしたが、お付き合いいただきありがとうございました。笑

最後に、としましたがあまり思い浮かびません。
1µmでも、進路に迷う学生さんのお役に立てたら嬉しいです。あ、補足ついでに言うと、最後はやっぱり自分の感覚を信じて、自分で決めることです。
もし相談したいなんて方がいたら、僕でよければいつでも話を聞きます。

Twitterも始めたので、よければ寄り道してみてください。

「減給で落ち込んでいるのでは?」と思われた心優しい方がもしいたら、大丈夫です。自主退社を勧められるという謎の妄想に取り憑かれていた身からすると、「減給で済んでラッキー!」くらいに考えてます(それはそれでどうかと思うけど笑)。

それから、9月に引っ越してQOLが爆上がりしているので、それもあまり落ち込んでいない理由として大きいです。新居祝いと称して物乞いをした結果プレゼントを贈っていただいたみなさま、お陰様でスーパー充実した生活が送れています。

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家からすぐの荒川の夕日。毎朝川沿いを走ったりコーヒー片手に歩いたり。

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↑折りたたみ自転車をくれた強者が、、!

本当にありがとうございます。いつでも遊びに来てください。

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