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祖父
私は父方の祖父しか知らない。祖母は父が若い頃に亡くなっていた。父は祖父にあまり似ていない。私は大らかな祖父が大好きだった。でも彼の写真はない、写真が嫌いな人だ。何度か試みたが、だめだった。よく公園に連れて行ってもらい私の話も聞いてくれた。でも、家に来る時はいつも突然だった。母とも気が合うようで、手厚くもてなしていた。7歳の時父が東京に転勤することになった。見送りにわざわざ電車に乗って朝早く来てくれた。じいちゃん。と呼ぶのがやっとだ、私の手に包みを握らせてくてた。まだ新幹線は開通していなかった。東京について母に預けていた包を開けてみた。赤い金魚に似たお菓子だ。私達が見えなくなるまで手を振ってくれたじいちゃんが思い出され急に悲しくなった。