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養育費を決めていなかった・・・今からでも間にあう?

 協議離婚した方のなかには、離婚のときには、とにかく早く別れたくて、お子さんの養育費について、取り決めをしないまま離婚してしまった、という方もいるかもしれません。
 最近の離婚届の書式には、養育費について取り決めをしたかをチェックする欄がありますが、取り決めの有無を聞くだけで、取り決めなければ離婚できないわけというではないので、取り決めていなかったという人もいるでしょう。
 しかし、子どもの養育にはお金がかかりますので、離婚後にやはり経済的に苦しく、養育費をもらいたいと思うこともあると思います。

今からでも養育費請求の調停をおこしましょう

 こんなときには、今からでも、養育費を払ってもらうよう、相手に対して養育費請求の調停をおこしましょう。
 裁判所外の話し合いで決めることもできますが、口約束やLINEやメールでの取り決めや、自分たちで合意書をつくっただけでは、いざ相手が払わなくなったときに困ってしまうので、調停手続の利用をおすすめします。調停手続では、話し合いがまとまったら裁判所が合意の内容を「調停調書」という書類にしてくれ、のちに相手が払わなくなったら、これを使って強制執行の手続をとることができるからです。
 調停をおこす先は、相手の住所を管轄する家庭裁判所です。
 あとで合意が成立したときに、調停を起こした月の分から支払って貰うことになるのが一般的ですので、なるべく早く調停を提起するのがよいです。

調停ではどのように養育費を決める?

 調停では、調停委員(男女1名ずつ)が夫婦の間に入り、あなたと相手方、双方の言い分を順に聞いて、話し合いをすすめます。調停の部屋には普段は来ませんが、裁判官1名も調停委員から報告を受け、進め方について協議しています。調停は場所は裁判所で行いますが、あくまで当事者同士の話し合いなので、結論を決めるのは当事者であり、裁判所ではありません。
 話し合いですので、合意ができればいくらにするのも自由ですが、一般的には、こちらと相手方、双方の収入を示す資料(源泉徴収票や課税証明書、自営業であれば確定申告書の控えなど)を出し合い、養育費の算定表(https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html)にあてはめて、それを一つの基準として決めることが多いです。

調停がまとまらないときは?

 調停でどうしても合意ができないときは、審判手続に移行し、最終的には裁判官が、適切と考える養育費の額を決めます。審判になる場合、算定表に従った額になることが多いです。

養育費は貰わないと言ってしまったけど・・・

 離婚時に、早く離婚したいあまり、お子さんの養育費は要らないと言ってしまった、念書を書いてしまった、ということもあるかもしれません。このような場合でも、後から養育費を要求できるのでしょうか?
 このような場合でも、養育費を将来にわたって放棄する合意は無効であり、後で養育費を請求することは可能であると考えるのが実務上の多数説です。養育費はお子さんから一緒に住んでいない親(相手方)への扶養請求権であり、一緒に住む親(あなた)であっても勝手に放棄することはできないと考えられるからです。従って、このような場合でも、ためらわずに養育費を請求するようにしましょう。


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