レポート;牡羊座の作家(国文学)−−島崎藤村

さて、今日は日本の作家で一番牡羊座が強い(と筆者は思っている)島崎藤村について考察する。
ホロスコープの時間は以下の通り。
1872年/3/25   12:00 (出生時間不明)

日本では一時期、自然主義文学が大変流行した時期があった。自然主義とは簡単に言えば、主観ではなく客観的に、物事をあるがままに捉えることを目標としている。(ちなみに自然主義はもともとフランスで生まれたが、その前に自分の主観だけで物事をとらえ、夢見がちなロマン主義文学の反対運動という面もありそう)

で、自然主義は巡り巡って日本にも上陸し、日本自然主義とも呼べるようなものになった。島崎藤村とはその自然主義の代表的な作家である。
(ただ、この日本自然主義というものがかなり厄介な代物で…話し始めると長くなるので、ここでは割愛する)
ここでは、代表作の『破戒』を取り上げる。『破戒』のあらすじは以下の通り。
↓↓↓

被差別階級出身の主人公・丑松は自らの出生を隠して教師という職業に就いている。自分の出生を明かすことは父親から固く禁じられている。だが、同じく被差別階級出身の運動家や、恋心を抱いた寺の娘などの人々との出会いを通して、丑松は自分の出生を隠すことに疑問を抱いていく…

島崎藤村は太陽、水星、火星、海王星が牡羊座という、オーバーロード(ひとつのサインに三つ以上の星が入ってること)なホロスコープであり、要素が強調されているのがわかる。ちなみに水星、火星、海王星はオーブが狭くコンジャンクションである。
上記の『破戒』のあらすじからしても、牡羊座が強めに出ているのが感じられる。この主人公(ないし作者にとって)自分のありのままの姿を隠していることは、正しくない行いなのである。たとえ真実を明かすことによって職を失い、後ろ指を指されようとも。

これを読んで筆者が思い出したのはドイツの哲学者であるカントだった。
彼の考えでは、どんな場合でも嘘をついてはいけないというものがある。たとえば「殺人者に追われた友人を家に匿っている時でも、ここには誰もいないと嘘をついてはいけない」という。これは極端な話だが、やっていることはだいたい同じである。そして、カントも牡羊座なのである。

筆者としては牡羊座は極端に嘘やごまかしを嫌う面があるなあ、と思う。この前にレポートを書いたアンデルセンにも『裸の王様』なる作品がある。あれも、体裁やら身分やらの嘘とごまかしを純真無垢な子供が暴くという痛快ストーリーだった。嘘を糾弾する、という姿勢を取りやすいのが火星がルーラーの牡羊座らしいけれど。

そもそもフランスの自然主義の大家であるエミール・ゾラも牡羊座だし、ロシアの自然主義作家であるマキシム・ゴーリキーも牡羊座である。自然主義にも色々な作品があるが、上の二人に共通する特徴は、かなりエゲツない現実を直視して書いていることである。そこまで素直にありのままの書かなくてもいいんじゃ…というくらいにありのまま。

ただ、『破戒』の場合は結局保守的な社会に敗北して主人公はアメリカのテキサスに逃れることとなる。(アメリカ=自由の国の象徴と思われる)
この辺り、島崎藤村の牡羊座サインの星々とTスクエアを結んでいる蟹座木星と山羊座土星の影響がうかがえる。芽生えかけた自我が保守的な社会と戦って負ける、という構図だろう。結局、個人は多数の『良識』には勝てないというのは、良くも悪くも日本らしいと感じた。
この牡羊座、蟹座、山羊座のTスクエアは明治元年生まれの夏目漱石から昭和元年生まれの三島由紀夫まで、他の日本作家にも時代を越えてたびたび見られるので興味深い。

ところで島崎藤村の月は天秤座もしくは乙女座で、天秤座だったらグランドクロスになって面白いなあと思う。日本人作家は正確な出生時間がわからないため本当のところはわからないのだが。

『破戒』を読んでみたい方はこちら。他の明治期の小説に比べて、わかりやすい表現が多いために意外とすらすら読めるので、初心者にもおすすめ。

島崎藤村はもともと詩人からの出発で、当時一時代を築いた有名詩人だった。「まだあげぞめし前髪の…」で始まる詩が特に有名。筆者も島崎藤村の詩は好きな部類に入る。青空文庫で読むのも良いと思う。

ちなみに、筆者は持っているものの読破したことがないが、フランス自然主義文学の大家であるエミール・ゾラ。文章がエラく長い上に読みにくいので努力が必要だが、合わせて読んでみたいという方はこちら。ゾラも牡羊座が相当強いので、そこかしこに特徴が見て取れます。

2020/04/10 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?