港区の常識は世間の非常識〜普通の港区おじさんたちの懐事情〜
東京は別の国。これは、マーケティングの中では結構前から口にされるキーワードです。東京と43都道府県では、流行っているものも、ライフスタイルも大きく違っていて、東京の常識は、他県の非常識というケースも多く見受けられるというものです。
ここでいう港区というのは、あくまで象徴としての港区であって、明確な行政区としての港区ではないことをあらかじめお断りしておきます。
渋谷は入らないけれど、西麻布にほど近い広尾や恵比寿なんかは、渋谷区だけど、今回のくくりでは港区。銀座も中央区ですが、港区。同じ中央区でも、勝どきとか、晴海なんかは違うといえば、なんとなくイメージできるでしょうか。逆に、お台場とかは、港区ではあるけれど、晴海とか豊洲とかに近く、ここでいう港区とはちょっと違うイメージでしょうか。
この港区には、様々なステレオタイプなイメージが付きまといます。
まず、思い浮かぶのは、お金持ちのイメージではないでしょうか?
確かに、他のエリアと比較すると富裕層が多く住んでいるのも事実ですが、そもそも、本物のお金持ちは、絶対総数が少ないので、港区に集まっているといっても、絶対数はそんなにはいません。
多く存在しているのは、私がよく言っている小金持ちクラス。西麻布周辺に多くいるのは、小金持ちの港区おじさん。たまに、本物のお金持ち港区おじさんもいますが、昨今、全国区で有名になった「港区女子」のイメージのせいで、港区には、本物お金持ち港区おじさんばかりがいるような印象を与えてしまっていますが、実際はもちろん、そんなことはありません。
今回は、港区、特に西麻布周辺にたくさんいる普通の港区おじさんのことを書きたいと思います。
お金持ちが多いと思われている港区ですが、平均世帯年収でいえば、731万円しかないので、円安と世界的インフレの現在では、サンフランシスコでは、貧困層に分類されるレベルなので、大したことはありません。
年金生活の老人や、若い一人暮らしが平均を押し下げている部分もあるので分布を見ると、700~1000万円が最も多く、次いで1000~1500万円が多いみたいです。なんとなく、サラリーマンの方だと、1500万円くらいのイメージでしょうか。給与年収1500万円だと、手取りは1000万円くらいしかないので、月額でいうと80万円しかないので、一人暮らしならなんとかなりますが、そんなに広くない、タワマンじゃないマンションの2LDKでも30万くらいするので、2人暮らし、あるいは子供がいたりするとこれでは、パパの交遊費はなかなか厳しい感じになってしまいます。
学生などの一人暮らしの若者や年金生活の老人を除くと、港区在住の平均的なサラリーマンの方は上記のようなイメージでしょう。
では、西麻布周辺によくいる小金持ち港区おじさんは、どんな感じでしょうか?
港区では、6.6人に1人が社長だそうです。社長には、資産管理会社などの個人会社も含まれます。また、サラリーマン役員まで広げると、割合はさらに増えると思います。
僕も含め、よく食事などをご一緒させていただく方たち=小金持ち港区おじさんは、オーナー社長か、サラリーマン役員の方が多いです。
給与(役員報酬)に加えて、会社経費を使える人たちです。
給与は、少ない人で月200万円くらいから、多くても400万円くらい。加えて経費が少なくとも100万円は使えるという人が多いです。給与を増やしても、半分は、税金になってしまうので、通常、給与は5000万円以内に抑えておいて、増やすときは、使える経費を増やしていくという方が多いです。
月200万円だと年収2400万円、手取りでいうと月125万円程度。そこに経費が100万円加わって、使えるお金が月225万円。これで最低レベルでしょう。
月400万円だと年収4800万円、手取りでいうと215万円。経費が100万円だとすると、315万円。まあまあです。
なんとも夢のない、リアルな数字ですが、正直、こんなもんです。
港区で、普通の生活をするのには、お子さんの養育費とかを抜いて考えると、可処分所得として最低でも、ざっくり200万円くらいは必要です。
月の可処分所得が200万円、家賃40万もしくはローンが月40万円で買える1億3000〜4000万円くらいの家に住んで、ほぼ、毎日、外でご飯を食べたり、お酒を飲んだりして、移動はタクシーという感じで、なんとか、お金が残るレベルです。
ちなみに、港区で夜のお店(クラブやラウンジ)に行くと、安くても1回1人3-5万くらいは、かかりますし、そこで、シャンパンとかワインを頼むと、安くても1本3-5万くらいが相場です。なので、1人10万、20万、調子にのると50万が飛ぶこともあっという間なので、可処分所得が月200−300万円しかない我々だと、こういうお店に頻繁に行くことはできません。
ちなみに、こういったお店は、基本経費でいくことになりますので、こういったお店がお好きで頻繁に行かれる方は、たくさんの経費枠を持っている方がほとんどです。僕の周りにも、こういったお店がお好きな方が何人かいらっしゃいますが、頻繁に行かれる方の1人は、とある大手企業のサラリーマン役員の方なのですが、月の経費枠が500万円だとおっしゃっていました。ちなみに、給与は、月400万円ちょっとと言っていたので、ざっくり5000万円だとのことなので、手取りは、月225万円程度ですね。給料を500万円増やすわけに行かない事情もあって、経費が500万あっても、食事と夜の店で使うくらいしかないとおっしゃってました。
港区ではというより、我々の間では、ご飯を食べるとき、割り勘はあまりしません。通常は、誰か一人が全額を払います。1軒目を払ってもらった場合、2軒目は、奢られた側が全額払うことが多いです。1軒目は、レストランで食事、2軒目以降は、お酒となりますが、たいてい、1軒目より2軒目のほうが高くつくことが多いです。2軒目がクラブやラウンジだと場合によっては、1軒目の何倍にもなってしまうことがあります。まあ、これも、奢り奢られで、帳尻があうか、余裕のある方が2軒目も払うとかケースバイケースではありますが。余裕のない方は、払える方を払うみたいな暗黙の了解もあったりします。
非常に親しい友人と2人で、割り勘にするケースもありますが、その場合には、それぞれがカードを出して、割ってもらい、それぞれに領収書をもらいます。
かつて、クラブより普通の女の子を求めて、ラウンジに行く人がいたように今日は、馴染の店の個室でも取って、女の子を呼んじゃいますか?ということになると、皆さんご存知港区女子が登場するわけです。実は、港区女子という呼び方は昔はしていなかったものの、何十年も前から、港区周辺にいる食事や飲みに誘われる若くてかわいい女子というのは、ずっと存在しています。ルッキズムじゃないか!キーっとなっちゃう方がいらっしゃるかもしれませんが、ルッキズムが問題になる前から、ずっとです。肯定も否定もしませんが、ずっとです。我々のような港区おじさんたちが、まだ20代の若者だった頃にも、先輩のおじさんたちがどこからか、女の子を呼び寄せていたものです。
もちろん、食事、お酒の代金は男性たちが払い、そして、帰りには、タクシー代名目でいくらか渡すのも昔からです。西麻布周辺に脱法ラウンジができる前からそうで、そのうち、素人の女の子が飲みに来ているという体で、横に座るラウンジというお店ができ始め、最近では、IT化によって、さらに一般化されて、昔は、港区の人的ネットワークベースだったものが、スマホでマッチングされて、女の子が派遣されるという時代になってきたのです。
港区では、ジェンダー平等が叫ばれる令和の時代であっても、食事に女性が同席している場合には、男性が支払うことが常識です。これに関しても、ジェンダー平等を叫ぶ方々は、キーッとなるんでしょうかね?
そもそも、男性と食事をしていても、どちらかがまとめて払う文化になっているので、女の子と2人で食事する際にも、当然、我々男性が支払います。ここで、領収書を切って会社の経費にすることは、サラリーマン役員の場合はもちろん、オーナー社長であったとしても、厳密には、業務上横領、もしくは、業務に関係ないものを経費化することで、脱税になる可能性があるわけですが、実際ほとんどの方は、領収書を切っており、経費枠は、事実上の報酬となっているのが実情だったりします。これも昭和の名残ですから、ホワイト化していく社会の中で撲滅されていくのかなとも思っています。
食事や飲み代なら、正直いくらでも払える、みたいなめちゃくちゃが、経済に貢献していたのではという考え方もありますが、だめなんでしょうね。
先日、ある著名な会社に国税の調査が入ったときに、接待交際費の中で、多くの風俗店と思われる領収書が指摘されて、問題になったことがあったようです。領収書の名義は、飲食店になっていたので、会社側は飲食店の領収書として、処理していたのですが、どの飲食店の名義が、どの風俗店の隠れ蓑なのか、税務署は対応表をもっていて、指摘し、経費として否認されたことで発覚したとのことです。さすがにこれはやり過ぎですが、経費が実質給与であるように理解されているのだという面白い事例です。
港区では、既婚者でありながら、若い女性と交遊している方がたくさんいます。お相手は、クラブやラウンジなど夜のお店の方だったり、いわゆる港区女子であったりいろいろですが、そんな港区おじさんが高いご飯をおごってくれたり、お小遣いをくれるからと行って、バーキンをねだっても、ほとんどの方は、買えません。意地悪してるとか、あなたに魅力がないとかではなくて、ほとんどの港区おじさんは、あなたが思っているほどのお金持ちではなく、簡単に買ってあげられる財力がないのです。
彼らのうちの多くは、多少の資産はあっても、可処分所得はそれほど多くなく、100万円以上するバッグをポンと買ってあげられるほどの余裕はないのです。数万とか10万円単位なら、買ってくれることはあると思います。なにより、バッグは経費になりませんから。
もちろん、友人知人の中には、オーナー企業のIPOや、売却で、数十億から数百億円の資産を持っている人もいますし、彼らのお金の使い方は、我々とは、別世界の港区おじさんですが、資産数十億〜数百億円の本当のお金持ちの港区おじさんは、いくら港区といえども割合としては少ないのです。