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絶望の夜を超えて

屋久島物語その⑥〜生還〜

写真はウイルソン株。

中から空を見上げると

ハート型に見えるパワースポット。

しかし、美しい自然も

人の怒りを完全に抑え込むことはできない。

前夜の出来事は、

確実に私とAにシコリを残した。

この旅。

まだ3泊4日の行程が待っている。

準備を済ませて、歩き始めた私たち。

2人の頭には、

和平協定が浮かんでいたはず。

一時休戦だ。

私は、

Aの要求を快く受け止める準備をした。

ガスが足りなかったこと。

ガス缶を借りたこと。

ラーメンを台無しにしたこと。

あまりにも多くの貸しができた。

AはAで残りの旅を楽しむ用意がある。

最悪の事件の後とはいえ、

お互いの歩み寄りによる平和を期待した。

この日は下山。

ひたすらトロッコ道を水平移動。

その間、屋久島での

これからの予定を

話し合った。

パンフレットでは、

滝や温泉などの

立ち寄りスポットが

わかりやく書かれていた。

屋久島を満喫するために

Aの好奇心に訴えかける作戦だ。

決して、

目先を変えようとしたわけではない。

未来志向の話をする必要があった。

縄文杉から荒川登山口へ。

そこからバスで安房へ。

帰路は思いの外、平和だった。

まだ4分の3屋久島が残っている。

行きたいところに寄りながら、

屋久島を1周しよう。

2人の計画が定まり、宿を出る。

宿はなくなったが、

昨日の晩より状況は良い。

マイナスからのスタートは

心が軽くなった。

その⑦につづく。



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