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「付き合ってあげてもいいかな」登場人物の性に関する考察?(ネタバレ含む)

「付き合ってあげてもいいかな」というマーベラス素晴らしい漫画をご存じだろうか。まあこんな辺境ノートに辿り着くのは知ってる人がほとんどだよね。ごめん。

一応知らない人の為に補足すると、女の子が好きな女子二人が主人公だ。一般的には百合漫画のジャンルに入る。こ時点で尻込みする方もいるかもしれないが、激しい性描写はなく寧ろ主役の女子二人の恋人としての関係性を軸に、周囲の人々を含めた様々な「性」を描くことをメインにしてるので群像劇が好きな方やネトフリのセッ◯スエドゥケーションが好きな方は絶対ハマると思う。という訳でこんなノート読んでる暇があったら本編読んでほしい。今ならマガワンで無料で読めるから。


ざっくりとしたあらすじ

大学に入学したみわは、冴子の「女の子が好き」という告白と試しに付き合わないかという誘いを受け入れて付き合い始める。所属していた音楽サークルの部員にもある事件をきっかけに二人の関係がバレるが周囲の殆どが二人の関係を受け入れる。二人の関係性がどう変わっていくのかを描きつつ、サークルや周囲の人々が抱えている性にもスポットが当てられていく。


本題:登場人物と性の考察

……の話をする前に、改めて前置きしておきたい事がある。

今回する登場人物の性的嗜好はあくまで私個人の考察の域を出ない。

何故なら作中では登場人物達が自分達のセクシュアリティ(性)を「レズビアン」や「ゲイセクシャル」、「バイセクシャル」などと一度も明言していないからだ。

明言していない限り、「女が好きな女だからレズビアン」と決めつけたりするのは本当に危険な事だと思う。

今回は一応考察?の為に性的区分に振り分けるが、あくまで私の主観で「おそらく」である事を理解して頂きたい。

原作者様はおそらく主要人物の名前には動物の名前を入れているようなので、今回はその人達の分を考察していきます。


犬塚 みわ(主人公1)

性:おそらくレズビアン (女性として女性を好きな人)

黒髪ショート。本編でしっかり描かれている通り、幸せな家庭で優しい両親に育てられた。学生時代に女の先輩に恋をしていた。サークルの一部の人間はみわと冴子が付き合っていると知っている。

レズビアンに対して理解がなさそうな親を持った以外は特に抱えているものはなさそうな感じ。初恋の先輩へのわだかまりは一応消えたし。まあ初恋の先輩にそっくりな後輩と付き合ってるのがなんか抱えてるのか?って気にさせるけれども。

あまりに健全な家庭で友人にも恵まれて愛されて育ったせいで悪意や拒絶(する側もされる側も)になれておらず、心のどこかで「自分という存在は無条件で周りに受け入れられるし、周囲の人も自分と同じように受け入れられているはず」と思っている部分がある。

そのため周囲の人に自分の性を拒絶されたりするとものすごく傷つく。そしてそういう考えが気付かないうちに誰かを酷く傷つけている事に気付くことが出来ない。


猿渡 冴子(主人公2)

性:FtM(女性として生まれ、性自認が男性の人)寄り。

ロングヘアー。母親と二人暮らし。母親は冴子が女の子が好きである事を知っていてフラットに接してくれている。

中学時代に女の子と付き合っていた事が噂になり相手の子が標的になった過去がある。(多分それ以外にもなんかあったはず)中学時代の同級生に出会った時は「吐きそう」と呟くほどトラウマに。

その影響で人当たりはいいが中々心を開かず、恋人だったみわにも自己開示が出来ない。同時に相手の心を覗くのもとても怖がる。なので嫉妬しても「こんな感情をみわに見せて嫌われないか」「腹割って話し合って失敗したら誰が責任取ってくれるの」と心の中でずっと呟くだけで終わる。臆病で可愛いね!


冴子は自分が女である事、又は女の体を持っていると感じるのを非常に嫌がる。

みわに抱きたいと言われた時、「抱かれているという状況が無理、気持ち悪い」と言ったり、振袖を絶対着たがらなかったり、作中では一度もスカートを履いていない。なので多分FtM。だけど冴子が男に生まれたらよかったとかそんな事言ったシーンはひとっつもないのであくまでFtM“寄り”。


鴻巣 完先輩

性:おそらくゲイセクシュアル?

マッシュヘアー。親に「一人でなんでも完結できる、自立した子になるように」という意味で完という名前になった。

みわと冴子が学校で手を繋いだり見晴らしのいい場所でキスをしているのを目撃して全てを察する。それをバラそうとすると庇うサークルメンバー達の様子からサークルのメンツも知っていると知り、みわの恵まれっぷりに嫉妬して様々な嫌味を言ったりする。けれどサークル仲間の美穂ちゃん先輩にゴリラ女と発言したサークル男子に無言で蹴りを入れたり冴子がアレンジしたギターソロに対して評価したりと明らかにいい奴。

作中のシーンで母親に病院に連れて行かれ「先生、この子を普通にしてください」と言われているシーンがある。

多分母親にとっては「普通ではない事」を思い切ってカミングアウトしたところ理解がない母親に病院に連れて行かれた……という所だろう。

先生の答えは「思春期の一過性のもの」というものであり、一過性同性愛のことを言っているのなら説明はつく。

少し前まで医学会では同性愛は精神的な病だと考えられていた。更に言えばもっと昔は治療と称して同性愛者の脳みそに針をぶっ刺して治そうとする手術さえあった。

最近時代が大きく変わりそんな考えもかなり減ったが、やはりそういう考えを持つ一定層はいるのだろう。

思春期という性のアイデンティティ確立期にそんな事言われて一生治らない心の傷を背負った完先輩が、周りに性自認を認められててしかも学校内の開けた場所で冴子とキスしたりしてるみわに嫌味を言うのも気持ちは理解できる。というか冴子たちも秘密にしたいなら見晴らしのいい場所でキスすなや。


熊谷 志帆

性:バイセクシュアル(男性・女性も恋愛対象になる人の総称)

ボブヘアー。みわの学生時代の初恋の先輩。学歴至上主義の家庭に生まれて常に優秀な妹と比べられていた。それが苦痛で沖縄の大学へ行った。学生の頃みわの唇を奪おうとした(未遂)。同窓会で再開して、あの時の自分の気持ちの答えを確かめようかな〜と軽い気持ちでとみわと二人で会う。そのせいでめちゃくちゃ後悔する羽目になる。

男の彼氏もいたし女の子に好かれても悪い気はしなかったようなのでバイセクシュアルかなと。

ただバイセクシュアルとしての自覚はうっすらで、且つ家庭環境が悪かった為人間に対して期待していない。

家庭は人間が1番最初に得る安全基地であり、そこで自尊心や安心を育み、そして外と関わることで強さを育む。安全基地が存在しない志帆にはみわのような「理解してくれる人に目を向ける」事で生きていくことは難しいだろう。

だけどさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ねえ!?みんな幸せになってほしいな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!


うっしー(千恵)

性:おそらくアセクシャル(他者に対して静的欲求を抱かない人)もしくは性へのハードルを高く感じているヘテロセクシュアル(異性愛者)

彼氏ナシ歴年齢。異性に下の名前で呼ばれるだけで緊張するためうっしーというあだ名で呼んでもらっている。

恋人はいた方がいいとサークルの面々に言われるが欲しいとは思っていない。恋愛する意味を考えている。

サークルのライブで好きな俳優に似ている男の子を見つけ、(あの人となら自然に恋とかできるのかな)と声を掛けようとして同じサークルにいるリカちゃん(セックスへのハードルが低い子)といい感じになってるのを目撃して、「男と女の顔」「自分も女を出さなきゃいけないのか」と考えてしまう。

個人的にはおそらくアセクシャルではないかと思っている。

前述のサークルライブでのリカちゃんと男の子を目撃するシーンでは、まるでリカちゃんたちとうっしーの間に世界の境目でもあるかのようにスポットライトの光が二組の間を照らしている。これはヘテロセクシュアルのリカちゃん達とそうではないうっしーの大きな分断を描いてるんじゃないかな〜とは思う。

私は人付き合いが嫌いで正直恋人は出来ないしいらないと思っているのでうっしーにものすごい感情移入した。うっしー!どんな形でもいいから幸せになれ!


とりあえず考察はここまでにします。ここまでお付き合い頂きありがとうございました!作者様!漫画最新刊まで買いました!最後まで応援してます!




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