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障がい児を育てる母親のストレスと生活への影響。

子育てと母親のストレス

 子育てはまさに個人と社会・文化が接点をもつところで営まれるものと言われています。そういう意味で、他の子どもと比べて発達が遅いと心配になったり、子育ての仕方が不適切だと指摘されて目責の念に駆られたり、腹立ちを感じたりするのは当然のことと言えると思います。
 これまで、子育てに関する母親のストレスの先行研究から、
①育児不安の程度に関連する大きな要因は、夫婦関係と母親の社会的な人間関係のあり方である、
②夫も子育てを一緒にしてくれていると感じることのできる場合、母親は情緒的に安定しやすい、
③母親が家族以外に、より広い人間関係を持つことは育児不安の低減と関連する、
④母親が子どもとの距離を適切にとることができると育児不安を低くすることができる、
⑤母親が子どもから離れて自分の時間を持つことが育児に望ましい態度に繋がるという可能性が示されています。

障がい児を育児する母親の特有のストレス

 では、障がい児を育児するにあたっては、特有のストレスも存在すると言われており、それに伴いどんなストレスを母親は感じているか。例えば、
①子どもが充実した日常生活ができないことに強い不満を持っている、
②親の社会的孤立に困っている
③子供の将来への不安、現在の育て方への不安

加えて、学齢期の障がい児を育児する父母のストレスとして
①外出(外出先でのトラブル、他者への迷惑など)、
②現実の学校教育と母親の抱く教育観とのズレ、
③的確な情報が得られないこと、
④障がいの受入れ、
⑤周囲の理解の得られなさ、
⑥特別な支援を受けることの難しさ、
ということが言われています。

では、様々なサポートや資源の活用でストレスは軽減するのか。
もちろん、療育サポートを受ければ一時的なストレス軽減に効果がありますし、近隣のサポートは母親の精神的健康に効果を持つと言われています。しかしながら、母親のストレスが高い時に援助的な言葉を多く受けると精神的な健康を低下させてしまうため、ソーシャルサポートの持つ難しさもあると言われています。

就労の有無と育児ストレスの関連

 先行研究ではこのように示されています。
 「仕事をしている母親」より「専業主婦の母親」にストレスを実感する傾向が強く認められています。この結果は、社会に出て行くことはストレスが低減する。という視点の転換に繋がると言われています。
 多くの母親が感じている育児ストレスの要因は子育てによる拘束から派生しているようであり、ストレスの解消の仕方がわからないために、ストレス状態が限界にくるとそのイライラが子どもに飛火する可能性を示唆していました。子育てをしながら仕事をすることは、労働量が増えたり、時間的な忙しさなどマイナス面がクローズアップされがちですが、逆にストレスの軽減に繋がる可能性を含んでいることが示唆されたと言えます。特に、障がいのある子どもの母親の場合、子どもと一対一で過ごす時間が長くなることは、養育の大変さ、子どもの障害への罪悪感、将来の不安などを感じることが多くなり、大きなストレスに繋がる可能性が高いと言われています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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