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晴れ空と雨音

 冬には似合わないほどの快晴なのに室内では雨音のBGMが流れている。外からの光とスマホから流れる音が調和しない。カーテンを閉めて晴れている現実から目を背ける。

 ワールドカップが残した睡眠不足という後遺症を残したまま年末に突入した。特に予定もない。忘年会とやらは既に私の辞書では死語となったし、稼働しないLINEのトーク画面は公式からの通知が連なって未読のまま残されている。寝不足を回復するには充分すぎるほどの時間を持て余す。

 とりあえず映画を見てみようと半年前に解約したネットフリックスを登録する。サブスク解禁を待っていた映画は、いつしか興味を失っていた。憂鬱な気分になるからと控えていたお酒に手を出す。少しだけ気分は明るくなったと思ったのも束の間、次の日には身体の怠さでお酒を摂取したことを後悔した。

 晴れ空と雨音。雨音を選んだのは私の今の状態を優しく共鳴して、共感してくれる気がするからなのだろうか。

 2022年も残すところ、あと数時間。数時間で何かが変わるわけではない。慣れ親しんだ令和4年という文字列に数値が一つ足されるだけのことなのかもしれない。だけど一つの区切りとして気持ちを新たにするのも悪くはない。

 きっと2022年が悪かったんだ。2023年にはきっといいことが起きる。そう信じてカーテンを開けて太陽の光を部屋いっぱいに取り込んでみる。



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