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起きてほしいことは起こらない。

 好きな人も参加した飲み会。隣に座れたらいいなと願っていた。でも遅れてやって来たあの子は斜め向かいの一番遠い席に座ってしまった。

 いつもは話題が出る前に逃げる二次会にも参加した。一次会よりも人数は減って、あの子と会話をする確率が上がる。会場に着いて、あの子は私の隣に座った。あれ、おかしいな。起きてほしいことは起こらないのではないのか。

 安心して欲しい。飲み物を注文したタイミングであの子は席を外した。すると遅れてやってきたあの子じゃない子が私の隣に座った。ほらね。起きて欲しいことは起こらない。

 二次会が終わった。あわよくば帰り道が同じでこっそり三次会に行っちゃったりしなんて考えていた。でもあの子は反対方向に帰って行った。

 偶然はあくまで偶然だ。必然なんてものは存在しない。偶然であったかのように、必然であったかのように、あとで意味づけをしているに過ぎないのだ。

 そんなことを考えながら帰りのタクシーで、グループラインから他の子に連絡した体であの子にメッセージを送った。

 起きてほしいことは起こすしかない。そう信じて。

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