宇宙のたね①


僕らは目を開けたまま見る夢がある。それを夢と言い終える前に君は忘れ去る。

一つ先へ進め。右回転と左回転のダイヤルを好きに合わせて。





此処は、宇宙の何処か片隅にある場所。

その場所は、地球ではない。

そして人間の知覚しえる範囲で、最大限な視点で視た其所は、”地球と同位置にあるかもしれない”という可能性が高い場所。

その星の地上はほとんどが、荒れ果てた荒野のような土地だった。
もしかしたら、地球よりずっと小さい星なのかもしれない。

其処に息づくあらゆる生命体と、住人たちは巨大な施設に集結し、コミュニティを作っていた。その施設は生活の全てが揃っていた。

特徴的なのは、その施設の殆どが実験や実験のサンプルを貯蔵したり、その上での医療器具なども揃えてある。研究所の要素が高い施設だった。

施設の設備を軽く見ただけでも、高度な科学技術やと建築技術がその星にはあることが伺えた。

メインゲートのスペースだけでも1日かけても周り終えないだろう広さだった。

中の住民たちは、全員研究者だった。と同時に被験体でもあった。

研究が仕事というより、研究が日常だった。

その為か、施設は研究が主要の建物であり、研究の為に日常生活をするスペースが簡素に備えてある。

過度なデザインはなく、合理的機能美の余白を感じさせる造りになっていた。

住人はその施設内で、研究のデータを収集したり、材料の倉庫管理をしたり、自らの体を使いサンプルを提供したりしていた。
図書館の様な管理設備にはそれぞれの収集した研究データやサンプルの資料を保存していた。

各個人が取り組む研究で得たものは汲まなく、コミュニテイの皆と共有していた。

メインゲートに働く者たちは、各星に研究に向かう為に必要なスケジュールや装備品などを、コンシェルジュの様にアナウンスしたり、スケジュールプランを提案したりしていた。

私は、メインゲートに突っ立ていた。皆が無駄な動き一つせずにスムーズに行き交っていくのをみていた。

私は、気づけばここにいたのだ。

メインゲートを見て居るだけでも、ここに住む者たちの詳細がなんとなくわかった。

自分の記憶が馴染まない。ただ目に映るもの、一つ一つ記憶と照合し確かめていた。

すると、
「途中帰還の者ですね。承認コードとボディメンテ希望しますか?」
と足元の床から音声が脳内に直接きこえた。

気づくと、いつのまにか足元に水たまりができていた。その水は、靴を履いたままの足裏から全ての情報を読み取った。

水たまりは「地球。哺乳類第五タイプ・・・・」
あとはなにか難しそうな専門用を話していた。

「疲労が見えたので、回復の処置も致しました。研究データにナンバリングいたしました。そのナンバーのケース前で待ちください。」

脳内にビジョンで四桁の数字が見えた。

記憶は乏しいままだが、からだが勝手に支持された場所へと動く。
移動中も、映画館のスクリーン何枚分かも分からない巨大な水槽があったり、小さな水槽がいくつもあったりした。

まるで水族館のようだった。

移動中、先ほどの水たまりについて思い返した。
『地球って言ってたな。私は確かに地球の日本に居た。でも、”途中帰還”とは?ここに来たのは初めてだと思う。

それに私は、死んでも居ないし。そして、この体は地球の私とは肉体的特徴がなんだか違うような気がするけど。』

『それはもう一人の僕なんだ。君は僕だ。君は地球では女性型の肉体に日本人の遺伝子のタイプを転写されて居る。

研究の為に僕の一部として地球で暮らしてもらって居る。
地球人がみんなそうしているのか、と言ったら違うけど。
とりあえず、君はやっと肉体があるまま、僕とコンタクトをできる様になった。
だから、次の段階へ進む為今回はちょっとしたバージョンアップしてもらうために意識体のまま呼んだんだ。

研究にも段階があって、ステップアップしていくんだ。君は今使い慣れた地球の肉体から離れて意識だけの状態の君として在る。
今は僕の肉体の中に収められ、共同の意識を持ったまま新しい意識のスキルを学習して地球の肉体に戻った時に、ここで得た事を日常でやって欲しい。
僕の研究データは、君の日常そのものなんだ。』

私はなぜか納得していた。

幼少の頃から何かに導かれている、何者かとともに生きている感覚があったからだ。なるほど、それは今会話している”僕”という存在の可能性は高いな。そう腑に落ちた。

『今君の体は睡眠の中で、意識は僕とこの星にリンクしている。それをいずれは、起きたまま行う。』

『できるんですか?そんなこと。』
『ああ。ここまで・・・、こうやって僕とここで会話できるまでに感覚と意識の自由度がましてきたじゃないか。』

『自由度?肉体がなくても意識をたもって行動しているということですか?』
『まあ、簡単に言えばそうかな。君にさらに進化してもらう為にあるカリキュラムに参加する。けっこうしんどいけど、君の星で言う教習所みたいなもんさ。乗り物から乗り物へ・・・ってね。』

『すみません・・・』
『何?』
『今こうやって会話してるじゃないですか?これ独り言じゃなくて、テレパシーってやつですか?」
『・・・。うーんそうねえ。多分。そう言ってもいいかと。一つの肉体に共同している状態だね。わかりやすく言えば。』

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