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まなざしのあわいー伊庭靖子展 [短歌連作]


やわらかさとは肌のきわ1ミリの上にとどまる温もりのこと

焦点をふたつ定めて中央の視界はにじむ染付の花

反射するひかりわたしの輪郭をわからなくするあなたもわたし

回りこむ吸いこむひかり輪郭がわからなくなるわたしはとける

全部吸いこんでしまえば無になれる それを拒んだ釉薬の艶

ひとりきり立つのは寂し頑なにヴェールの裏でしろく佇む

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東京都美術館で2019年7月20日~10月9日に開催された
「伊庭靖子展ーまなざしのあわい」を見ての短歌連作です。
あみもの第二十一号に寄稿しました。

この方の作品を見るのは初めてだったのですが、他の美術館で目にした本展覧会のフライヤーに「これは絶対私の好きなやつだ」と感じての鑑賞でした。直感は間違っていなかった!

クッション、陶磁器、透明アクリル板の中に置いた花瓶など、静物を丹念に描いた絵画作品が大半を占めています。しかし静物を本物以上にリアルに描く写実絵画、というのではなく、置かれたものが作る空気のかたち、光の吸収と反射、そういった「ものとものではない部分の【境界の曖昧さ】」をキャンバスの上に掬い取ろうとしている、そのように思われました。

※写真は会場内の、撮影の許可された場所にて撮ったものです

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