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アルビレックス新潟の縦パス戦術:2024 J1 第8節 アルビレックス新潟×北海道コンサドーレ札幌

秋山が吠えた!J1クラブ通算600ゴールのメモリアル!

このシーンだけ観れば熱いものが込み上げてくるのだが試合としては新潟っぽい要素、いわゆるロンド地獄の薄い内容だった。ロンド地獄がないだけでタラレバが一つでもあれば普通に勝てたはずだし、これは勝てない現状を打破するためとか次のステップに進むためみたいな前向きな捉え方をしておきたい。シーズン途中における流れが良くないだけで新しいことにチャレンジした結果でしかない。対札幌特化の戦術とかそういう意図はあんまり見えなかった。

では内容を確認してみよう。

この日の新潟、配置としては左サイドバックに入った史哉をキーマンするものだった。

史哉が左サイドの高い位置に入り、史哉がいない左サイドにはデンが流れて、デンがいなくなった中央は秋山か宮本が入って、小見はいつものフリーロールでサイドと中央を行ったり来たりして、トップ下のハセモトはボランチ近くまで落ちるという方法。小見は比較的大外にいた頻度が高かったような気がする。

史哉を高い位置において攻撃を組み立てる新潟。史哉の配置に連動して周りが動く。

これがうまくいったのかどうかはわからないのだが、とにかく史哉の位置が高いな!という印象の強い配置となっていた。秋山と宮本が同時出場しているので秋山宮本によるロンド地獄に嵌めるとばかり思っていたので非常に意外な展開となってしまい戸惑ったりもした。

史哉を左サイド高い位置に置く意図としては小見が左サイド大外に来た時にハセモトも一緒に流れてきて左サイドにオーバーロード(密集)を発生させて奪われてもすぐに奪い返す、オーバーロードにより発生する逆サイドのスペースに鎮座している松田へサイドチェンジみたいなものもあったのではないだろうか。残念ながらそんな光景はあまり見ることができなかったアイソレーション。1回か2回か松田がフリーで抜け出したシーンがあったのだが結果は松田だった。決めろ!マジで決めてくれ!

戦術史哉、これといって度肝を抜くインパクトを出していた訳ではないのだが今後の可能性を感じるものだった。そして、それを当たり前に淡々とこなす史哉のインテリジェンスの高さが誇らしい。これを洗練させていけば良い結果が伴うと信じることができる。

戦術史哉のビルドアップ設計としては、最終ラインまで落ちた中央の秋山or宮本が上がっている史哉と落ちてくるハセモトへのパスコース二択を突きつけるというのになる。

前半4:30からのシーンなんかはうまくいったパターンで、史哉がフリーの状態になって左サイド高い位置でボールを受けることができていたりする。

落ちてくるハセモト、付いてくる守備、高い位置フリーで受ける史哉。

その直後にはハセモトがさらに深い位置まで落ちてきて、今度は史哉と小見へのみんな大好き三人目の動きで縦パス二択を突きつけていたりする。こうやって見返すとハセモトがめちゃくちゃ輝いてる。観戦ポイントを間違っていた感が半端ない。このシーンでは小見がセンターバックの馬場をハーフウェイラインまで引っ張り出すことに成功してギラギラしながらドリブルで単騎突破を試みる。

史哉が降りると守備が付いてくるので小見がフリーになる。史哉が動いてから守備が動き、守備が動いてから小見が動き出すという時間差を利用する三人目の動き。札幌は88番が飛び出すしかない。

試合を通して狙っていたことはこんなことだったんじゃないかと思う。

秋山宮本によるトライアングル地獄のロンドスタイル、高木ハセモトを中心としたみんな大好き三人目の動きによる縦パス一閃スタイル、フィールド変化特性持ちの長倉やダニーロを場に出して無理矢理流れを呼び込むスタイルなどなど、ベースはブレずに多彩なスタイルで適用していく新潟式フットボールという可能性を感じる試合でもあった。ロンド地獄にしろ縦パス一閃にしろ、秋山が眩しく輝く未来しか見えないという幸せもある。

松田は本当に頑張れ。頼むよ!

試合雑感

秋山宮本コンビでゴメス不在という懸念の左サイドバックには史哉が入る。スピード勝負の縦突破が怖いという不安があるもののやってもらうしかない。

今日もスタメンに名を連ねる松田に関しては我々サポーターも信じるしかない。個人的にはジョーカーで使ってもらいたいのだが、とにかく結果を出してもらうしかない。小見ハセモト谷口のポジション交換はどんな感じになるんだろうか。

そこそこ不安げに見始めた前半、心のエアポケットから生まれたような札幌のゴール。ゴール前で誰もセカンドボールへアタックに行かずデンが飛び出す形になって突き刺さった。宮本は何が起きたかわかってないんじゃないだろうか。

今日の新潟、いつもと違うやり方なんだが慣れていないのか動きが硬い。

パススピードが縦に速くて全体的に縦を意識した形。左は史哉がモリモリ上がってデンが左サイドの守備に入る。デンとマイケルの間は秋山宮本が降りたりそのまま中央開けたり。この流れに加えて小見のフリーロールがあってハセモトは結構な頻度で落ちてくる。ハセモト高木化計画なんだろうか、高木のように落ちてくるハセモト。モリモリ動いて元気いっぱいのハセモト。

こんな感じでビルドアップは秋山宮本起点ではなく左サイド起点になっているのだが、上手くいっているのかどうかはちょっとわからない。勝つなら秋山宮本方式を取った方が良いのは間違いないんだろうが、この試合は安定を捨てるというリスクを負って実験的なサッカーやっているように見える。DAZNの画面じゃ全部見えないのが悔しい。

そして松田。この日の松田はいつもの松田だった。良くも悪くもないのだが俺の感情を踏まえると少々悪い。レガテが少ない印象だしフィードで抜け出して決定機なのになんでゴールに向かわないの!と頭を抱えた。シュート入んなかったのは札幌に門番がいるという試練。

後半も実験するのか秋山宮本方式に戻すのか、そんなところをチェックすることになるんだろうが頼むよ松田!

などとハーフタイムに期待を込めたものの、結果としては勝ち点1でいいかな?という試合だった。ここまで新潟要素の無い試合は久しぶりに観た。秋山の咆哮はカッコよかった。

この日の新潟は繋げない、拾えない、奪われるをひたすら繰り返していたのだがダニーロが出てきてから無理矢理流れを作った。場に出すだけでフィールドを変える特性持ってるとしか思えないダニーロ。なのだが流れを作っただけで新潟らしさは結局戻ってこなかった。ダニーロは新潟のサッカーからしたら異質すぎるのだがこれから出場機会を増やすことだろう。松田は本当に頑張れ。

今日の発見は奥村。ステータスをショートパスに振った至恩三戸の系譜となる。適正ポジションはトップ下だと思うのだがサイドでも活きる。秋山の咆哮は奥村のボール回収の頑張りが無ければ見ることが出来なかったものである。これからも期待したい奥村だった。

そして岡村大八が良かった。エアバトルが強すぎて長倉が何もできないどころか吹っ飛ばされていた。何かの機会があったらアルベルに魔改造してもらいたいセンターバック。

ジャッジがいろいろと納得感の無いシーンが散見されたのだが新潟も札幌も良く我慢したと思う。本当に良く我慢してくれた。

新潟要素の無いサッカー、これは観ていてしんどい。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。