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遠藤 凌:2024 J1 第6節 ジュビロ磐田×アルビレックス新潟

ターンオーバー失敗!アルベル時代からリーグ戦ターンオーバーで成功した記憶がない!

このメンバーでリーグ戦に勝てたらチームとしても選手個人としても自信と経験をガッポリ手に入れることができたはずなのだが結果としては語れることがあまりない試合となってしまった。全体としては別に悪く無かったし新潟のスタイルを体現していたし後半はアタッキングサードのアイデアもあったし小見は最初から最後までギラギラしていたし秋山のフリーキックがタラレバだったしということでジャーメインと川島が全部悪い。ジャーメインが強すぎた。

そんな試合だったので新潟での実質デビューだった遠藤凌についてプロットで確認してみたい。遠藤は2021年の終わり頃の第39節ホーム愛媛戦で出場記録があるのだが、ごめん全く覚えていない。試合終了直前のアディショナルタイムに藤原と交代して入ってる。

さて、この試合の遠藤は特にパフォーマンスが良かった訳ではない。むしろ2失点に直接関与している。しているのだが、この先で遠藤が眩しく輝きを放って新潟を背負うことになった時に「最初はあんなだったのに」みたいな感じで振り返れるのは新潟サポだけだ。そのための記録である。秋山だって眩しく輝くまでに相当の時間掛かってる。

全体的にはプレスに来ない磐田の442ミドルブロックを伺いながらデンとボランチのどちらかと一緒にトライアングルを形成してボールを回し、守備ではジャーメインやペイショットを挟む形でデンと一緒にマークするというのが立ち振る舞いになる。

ボールタッチ

まずはボールタッチから。新潟ビルドアップにおける「無理なら戻してやり直し」の戻し先としてのタッチが多くを占める。その際、ボールを受ける際には体を正面に開いてきちんと視野を確保する。プロなので当たり前なのだがコントロールオリエンタード。

磐田の守備がミドルブロックだったということもあるがボールタッチは全体的に高め。「無理なら戻す」の戻し先として機能する遠藤。

前半4:00ころ、新潟が押し込んでいる状態で磐田が蹴り出したボールに対してハーフウェイラインを飛び出してきてクリアしたのはナイス判断。今後は単純にクリアするのではなく落ち着いて収めて繋げるプレイに期待したい。

後半60:00のシーン。左サイドでボールを回している状況においてセンターサークル付近の磐田グリッド守備の網目にうまく顔を出して史哉からのサイドチェンジを受ける遠藤。ここから右サイド大外高い位置に張り出している巧に素早くボールを渡して磐田の守備を横に揺さぶる。新潟サイドアタックの良い形を体現した遠藤。

パス

続いてパス。デンへの横パスと小島へのバックパス、右サイド大外で浮いているダニーロへの長距離グラウンダーというのが基本的な捌き方になる。後半には前線にフィードを送る回数が増えた時間帯もあったが、千葉マイケルのような縦パス一閃というのは狙わない。この試合は磐田の442ブロックが狭かったというの要因もあって縦パスが少なかっただけかもしれないが今後は縦パス一閃というプレイを目撃したい。

基本的にはデンとの横パス交換。鋭い縦パスやフィードは控えめ。

前半11:20のシーン。ハーフウェイライン手前でボールを受けると右サイドタッチライン際に大きく開いているダニーロへ綺麗な直線を描くパスを供給する。ダニーロ外→宮本中→プレス回避で遠藤にリターン、この時の配置としては磐田が2人ということでセオリーどおりに3対2のトライアングルを作ってロンド地獄を遂行する。前半21:55にも似たよう状況でダニーロにパスを供給する。

デュエルとエアバトル

最後にデュエルとエアバトル。デュエルの定義がよくわかっていないのだがフィジカルコンタクトを伴う奪い合いとしておく。ドリブルでボールにも相手にも触れることなくブチ抜かれるのをデュエルとしてカウントしたりするのだろうか。結果的にはデュエルとエアバトルには不安が多いというプロットになる。元気に飛び出してエアバトルに突っ込んでいく回数がそこそこ多い。ペイショットとのエアバトルにあっさり負けた結果としてのジャーメインは苦い経験となったことだろう。

課題の残るデュエル&エアバトル。気持ちと肉体と技術がガッチリ噛み合ったボール奪取がいくつかあったのでポテンシャルに期待せずにはいられない。

前半15:00のシーン。磐田川島から飛んでくるキックに対してセンターサークル付近でジャーメインとデュエル。結果としてジャーメインにキープ&ターンされてしまうがその後をデンがキッチリ回収して宮本のショートカウンターを発動させる。デュエルに勝てなくても味方を信じて相手に自由を与えないプレイに期待できる。

前半16:00のシーン。ダニーロのパスが味方と噛み合わずに相手に渡ってカウンターを受けてしまう。カウンターのターゲットは当然ジャーメイン。がしかし、ジャーメインにボールが入るピンポイントを狙って遠藤が後ろからガッツリ足を伸ばしてジャーメインにボールを渡さない。セカンドボールは磐田に拾われてしまったがカウンターを止めたこのプレイをこれから何度も目撃できるのかと思うと遠藤に期待せずにはいられない。後半87:50も磐田カウンターをハーフウェイライン上で食い止める遠藤がいた。

前半37:00のシーン。押し込んでいる中央に上がっている巧を目視した上で磐田がサイド深くに蹴り出したボール。このボールにいち早く反応して持ち場を離れてハーフウェイラインの右サイドタッチライン際までカバーに入る遠藤。見事にボールを奪って攻撃へと繋ぐ。

後半61:55のシーン。本人もエアバトル勝率が高くないことを自覚しているのか磐田川島のゴールキックに対して飛び出す形で190cm94kgのペイショットの後ろから弾き返す。やればできるので強い気持ちでボールを弾き返し続けてほしい。その流れの中で再びペイショットとのエアバトルになり強い気持ちで挑んだが手で押してしまってファウルの判定に。後半72:05にもペイショットとのエアバトルに勝利するし後半85:40なんかは元気に飛び出して高い位置でボールを奪い取る。強い気持ちは見えているのでデュエル技術の伸び代に期待せずにはいられない。いわきで育んだ筋肉の解放率100%を目指してほしい。

後半72:50のハンドのシーンについては何も言うことがない。VARやOFRが無くてもPKなのは本人が一番わかっていたことだろう。

そして後半78:00の失点シーン。さっきまで強い気持ちでエアバトルに勝利していたペイショットに対して完璧なまでのエアバトルを披露されてからのジャーメイン。ペイショットはこのタイミングのために手を抜いていたんじゃないかとか「お前のレベルは見切ったよ」みたいな感じだったのかもしれない。そのくらいアッサリとエアバトルに負けていた。負けていただけではなくジャーメインへの完璧な落としまでも目の前で披露されてしまう。磐田からしたら川島が蹴れば遠藤が食いついてくるので空いたスペースにジャーメインだ!という意思疎通があったのかもしれない。実際どうだったのかはピッチ上のプレイヤーにしかわからないことではあるのだが。

遠藤凌。新潟式ビルドアップを理解して実践できているので、今後はいわきで育んだ筋肉をフル活用したデュエル&エアバトルの伸び代に期待せずにはいられない。期待しているからね!

試合雑感

磐田の442守備が前から来ないんだがそれなりに固い。ハーフスペースに縦パスをズバッと通したいのだが全部引っ掛かる。一本通れば磐田も慌てるだろうから、これを続けてこのプレイでゴールをこじ開けてもらいたい。

星と宮本のコンビは星が後ろで宮本が前というのが基本のような気はするのだがあんまり拘りはないもよう。交互に入れ替わる。2人とも上がって帰ってこなかったらどうしようかと思っていたけど2人ともちゃんとしてた。

磐田の守備が前から来ないという状況はあるものの遠藤は普通にできている。最後の対人ゴール前はヒヤリとしたものの後半も安定してこなすんじゃないだろうか。

磐田の攻撃はワイドからのクロスがメインウェポン。左サイドバックの猛烈オーバーラップとかなんか懐かしさを感してしまうのだが躍動感があって良い。

そしてジャーメイン。これは強い。本人も自分のストロングを理解しきっていると言わんばかりのフィジカル魔神です。これは良い。

がしかし、我らの長倉も負けてない。このプレイスタイルの最上位モデルが現時点では上田綺世にになるんだろう。2人とも上田綺世を降ろす勢いで代表まで行ってもらいたい。

磐田は宮本が落ちるともれなくボランチも付いてくるので、その辺りを使えないだろうかなみたいに見えるのでがどうだろうか。ハセモトは本人にとってのビックリ決定機を途中で諦めるプレイが今日もあったのだがキチンと最後までやってもらいたい。呼吸が合わないという表現しかない。味方を信じて飛び込んで!

後半もハーフスペースの縦パスは狙うだろうし、それが遠藤からの一閃だったら大興奮するしかない。

そんなところを見所にした後半だったのだがジャーメイン!

結果的にデンをちぎってのゴールは大迫力。PK献上とか競り合いにあっさり負けて抜け出されて決定機キッチリ決められるとか遠藤には苦い経験にしかなってない。

後半の新潟はワイドにボールを置いて中央を開けてから中を通す、をやっていたのだがジュビロの442グリッドで絡め取る守備が効果抜群だった。ハセモトがワイドに開いて小見がフリーロールで中に入ってとか工夫はしていたものの崩し切れず。

語れることがあんまりない試合となってしまったのだが決定機がいくつかあったので運が悪かったということにしておく。川島め!

もう一人の新潟デビューだった奥村はプロのピッチの強度にビックリしてフワフワしていたのか持ち味が良くわからなかった。細かいレイオフがスタイルなのかいっぱいいっぱいの結果なのかは次の出番での確認事項となる。なんか狭いところで動けるとかありそう。

DAZN成岡解説員は声も良くて安定していました。

「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。