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3-2-5 vs 5-3-2:2021 J2 第38節 松本山雅×アルビレックス新潟

髙澤ゴールおめでとう!!!!

この1点で終わってしまってションボリだが、この試合はワールドワイド戦術トレンド2021である3-2-5攻撃と5-3-2守備という組み合わせになったのでその辺りを書いてみる。

4バック破壊の3-2-5を防ぐために用意される5-3-2

基本的な考え方はこれ。

戦術の歴史としてはベーシックかつ強固な守備を構築できる4-4-2ブロックを破壊する目的で編み出されたのが可変後3-2-5になる。始祖はグアルディオラ。

可変前のフォーメーションは4-3-3だったり新潟おなじみの4-2-3-1だったりするが、このあたりは4バックならなんでもいいんじゃね?みたいなところはあるけどサイドが大外に張り出す形がやりやすい。

とりあえず4-2-3-1から3-2-5の可変の仕方を見てみよう。可変の仕方は世界中で多々あれど、紹介するのは新潟の右サイドバックスライド式とボランチサリーダ式。

新潟の3-2-5可変方法はこの2パターンが中心だが、本家グアルディオラシティは左サイドバックがボランチに入って最終ラインをスライドさせて3-2-5を作る形とかもやる。

可変なんかカッコイイな!と思うものの、それ一体なんの意味があるのさ?と誰もが考えるところでもある。答えは4-4-2ブロックという守備陣形から読み解くことができる。

簡単に言ってしまえば「最終ラインの守備が4人なら5人で攻撃すれば破壊できるよな?」という単純な理由である。

だったら可変とか難しいことやらないで最初から3-2-5の陣形でファイヤーすれば良くなくない?とか言いたくなるが、サッカーはずっと攻撃し続けることができるゲームでは無いので守備の事も考えなくてはいけないし、サッカーは1点を取るのが難しいゲームで1点先制されるとその後のゲーム運びが難しくなるゲームでもある。

従って、守備陣形をどうするかということはなかなかに重要な事項となる。「まずは守備から。点を取られなければ負けることは無い」という考え方は割と重要。

こんな感じで、サッカーは相手の守備をどうやって攻略するかというゲームでもあるので、自分達が点を取られずに相手の守備を攻略する手段として編み出されたのが可変3-2-5となる。

前置きが長くなった。いわゆる噛み合わせを見てみようボロノイ図。

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松本戦はこの配置にはならなかったけど可変方法としては左サイドバックのゴメスがスライドして3バック、右サイドバックの長谷川巧を爆上げ&両サイドハーフも元気に突撃する形。

注目してほしいのは相手の4バックと新潟の前線5人。

中央の谷口にボールが入れば両センターバックが谷口に寄せるので高木とハセタクにスペースが生まれて高木やハセタクを意識させると中央の谷口や両サイドの小見ロメロにスペースが生まれる。

こうやってブロックの網目を広げてゲットゴールだぜ!が基本になる。いわゆるアタッキングサードにおける5レーン活用。

攻撃的なチームが3-2-5を使う理由はこういったもので、この超火力にどうやって対抗すれば良いか?というメタゲームに対する答えが5バックになる。

守備で5バックと言えばドン引き5-4-1だろ!というのが常なので、まずはその辺りを噛み合わせてみよう。

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これなら超火力の攻撃5枚をマンツーマンで防いでボランチの2人は4人で完全ブロックすればOKだな!となる。

となるのだが、どんな屈強なフィジカルストライカーがいても新潟のセンターバック3人は突破できなくて90分間タコ殴りになってしまう。勝つためには点を取らなくてはならない。タコ殴りにされたく無いけど点も取らないといけない、さてどうするかということで編み出されるのが5-3-2ブロックになる。

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この守備ブロックならば最終ラインはマンツーマンで対応して攻撃側ボランチは2列目の3人ブロックという守備側数的優位で対応し、前線の2人でハイプレスしてもいいしカウンター要員で残しておいてもいい。

5レーンは5バックで全て埋めることができるので、4バックの時のように守備陣形を乱されることはない。加えてハーフスペースは2列目のブロックで埋めることもできるので3-2-5に対しては非常に合理的な守備陣形となる。

ちなみに千葉も新潟に対してシーズン早い時期に5-3-2で挑んだが、当時は新潟も3-2-5をやっていた訳では無いので同じ5-3-2でも意味合いが違う。毎日が輝いていたシーズン序盤。

3-2-5を攻略するための5-3-2と5-3-2を攻略するためのセオリー

サッカー戦術はメタゲームであり、半年もすれば戦術トレンドがガラッと変わってしまうのが現代サッカーである。インターネットの情報伝達スピード速すぎだろ。

ということで、5-3-2攻略は既にセオリーとして確立されていたりする。

その方法は「2列目の3を横にズラして逆サイドにスペースを作る、または3の両脇を吊り出してアンカー脇にスペースを作る」である。

いわゆる片寄せとか片攻めとかオーバーロード(密集)発生させてアイソレーション(逆サイドにスペース創出)みたいな。3枚ブロックの脇とかアンカー脇にスペースを作ってブロックに亀裂を入れてもいい。

さて、新潟はどのようにして松本の5-3-2ブロック攻略を試みたのか見てみよう。答えはアンカー脇方式からの高木ターンでブロック破壊である。前半22:35のシーンは決定機創出だったがゴールならずだったが、似た形は試合を通して何度も確認された。

本当にあとはゴールさえバシバシ決まってくれれば戦術的攻撃的なサッカーで圧倒的な強さを持った新潟が完成するので、アルベルト監督は来年もこのスタイルを継続して決定力についてはフロントとコーチ陣頑張れということです。ピッチの90分ではなく1年を掛けた総力戦です。アルベルト監督の続投は俺的決定事項です。

本当にあと一歩な俺たちの新潟。ここで諦めちゃいけないのでフロントは超頑張って下さい!


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。