名前の呼び方 #14

皆さんは普段の会話で相手の名前を言わずに先へ進めていくことはできるだろうか。


最近気付いたのだが、私は普段の会話でかなりの確率で相手の名前を口にする。質問する時はもちろん、何気ない会話でも相手の名前を口にしている。

え?普通じゃん?どういうことって?


口頭でもメッセージでも、例えば田中さんと喋っているならば「田中さんがこないだ送ってくださったデータなんですけど…」「あ〜!田中さんに教えていただいてからかもしれません」「もしこういうことがあった場合田中さんってどうされてますか?」などなど。

まぁこう並べてみれば特になんの違和感もないことなのだが、もう一度考えてみてほしい。私は自分がかなり相手の名前を口に出していることに気がついてしまってから、自分の周りの人は相手(つまり私)の名前を出さなくても自然に会話ができているのだ。

これを詰りたいとかではなく、純粋にそのスキルって素晴らしいものだと気付いた。どう素晴らしいのかは不明だけれど。私には相手の名前を口にせず会話をすることは不可能である。不自然なのだ。


振り返れば私は今までの人生の中で"名前"の存在感を人より強く感じることの方が多かったような気がする。自分の名前の呼び方一つとってもそうだ。私は苗字で呼ばれることが苦手だ。特に呼び捨てはもってのほかで、何故か少しショックを受けてしまう。人によっては距離が近くて苦手に感じる人もいるかもしれないが私は下の名前で呼ばれる方が嬉しいし、苗字で呼ばれると距離を感じる。だがマナー的には苗字呼びなのかな。あとやっぱ関係性が一番大事なのでむやみやたらと下の名前で呼ぶのは不愉快かもしれないな、ということも十分にわかる。

私自身、苗字呼びは相手に対して勝手にすごく距離を感じてしまうことと、苗字だと誰だかわかんなくなってしまうので下の名前で呼ぶことが多い。けれど周りとあまりに違う呼び方をしていると変な関係だと誤解されたくないため、そういう時は周りに合わせて苗字呼びをしてみたりする。

だがよく考えると、周りにも苗字で多く名前を呼ばれている方と、下の名前で多く呼ばれている方がいる。その違いってなんだろう。わからない。私は苗字で呼ばれることが多い。

佐野さん、と呼ばれるともう少し距離を詰めてほしいので(でも距離感を間違えたくないから自分からあまり最近詰めなくなったという面倒くさい人間です)、LINEの名前はいまだに"ひとちゃん"に設定しているのだが、そろそろ26歳になったわけだし普通の名前に変えた方がいいのかなとふと思う。お仕事などで出会い、LINEを交換する機会も増えてきた。痛いやつと思われていないだろうかと不安になる。

いい歳してちゃん付けを自分で設定しているのはいかがなものだろうか。けれど「佐野仁美」だとちょっと堅苦しいし、絶対佐野さんって呼ばれる。いやわんちゃん仁美ちゃんとか仁美さんはあるか。どんだけ苗字以外で呼ばれたいねん。そもそもLINEの名前はかなり長い間ひとちゃんである。学生時代からの名前を急に変えると、友人は私を探し出せなくなるのではと考えてしまい、結局「ひとちゃん」のままだ。


少し前に、小説での登場人物の名前を苗字にするのか、下の名前にするのか、そしてそれは漢字なのかひらがななのかカタカナなのか、それでどう変わってくるのかという内容の記事を読んだ。非常に興味深く、言われてみると確かに小説によってそれは異なってくる。今私が読んでいる小説は全員カタカナの下の名前だし、一つ前の小説は登場人物の名前は最初にしか出てこなかった。あとは物語が終わるまで主人公以外の人物から「あんた」と言われ続ける。


名前の呼び方で、呼ぶ方も受け取る方も少しずつ雰囲気が変わる。生き物同士はおもしろい。あっ、苗字で呼ばれると距離を感じると書いているが個人的なことだということと、名前を呼んでくださるだけで嬉しいので、今まで苗字呼びだった人もそのまま苗字で呼んでください。どっちやねん。



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