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8月のいろいろ

今月は、久々に大阪に帰り、仕事をしました。
しかし、「帰ります、コンサートに来て下さい」などと言えない状況。東京でのライブも、「来て下さい」という文言では、しばらく案内していません。
関西では、東京から移動してきた身で気を遣うので、終演後に挨拶するのを控えたり、帰阪しても仕事以外全く外に出ないようにしていて、結構気を張っていて疲れました。

普段の生活でも外食をほとんどしなくなって、レッスンの合間の食事も以前なら食べに出ていたけどお弁当にしたり、行きたいライブも出かけなかったりで、これまでやってきたささやかな気分転換の機会が、ここにきて激減した実感があります。

これが状況が少しでも上向いているならばいいのですが全く逆なので、さすがに疲れますよね。今月もライブのキャンセルが数件ありましたし、仕事のキャンセル、レッスンのキャンセルなどありました。

来月は、名古屋、美浜町、大阪とライブがあるのですが、この状況だとできるかどうかわかりませんので、ある程度覚悟はしています。できたらいいな。

映画館には行っていました。
映画館は皆喋らないし換気もできているので、少し気が楽です。
家での鑑賞もいいのですが、映画は劇場鑑賞が一番です。映画に没頭する以外何もできない状況に放り込まれることで、かけがえのない〈体験〉となります。ある意味、現実逃避ですよね。その〈体験〉は、脳で理解するのではなくて、空気の共有、接触によるものだったのだと気付く毎日です。

ということで、映画鑑賞から。


【映画部】

「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」

やっと観れたワイスピ新作!
ヴィン・ディーゼルがいつもほぼ同じ顔をしており、ストリート・レーサーやメカニックがなんで肉弾戦に異常に強いのかはよくわかりませんが、楽しくて毎回見てしまうワイスピ 。やっぱり銀行の金庫かっぱらうあれが一番楽しかったですが、今回の強力磁石も楽しかった。ワイスピ はホブスのキャラが一番好きだったので、もう出てこないのは寂しいですが、ハンが戻ってきたのは嬉しい。ついでにジゼルも戻して。
全体的には「んなアホな」しかない映画ですが、楽しかったです。ワイスピに整合性とか求めても仕方ないし。あと、今回レティが沢山出てて良かった。


「ジャングル・クルーズ」

前々からエミリー・ブラントが好きなのですが、ロック様とエミリー・ブラントの掛け合いが想像以上に素敵でした。
なんだかひと昔もふた昔も前の娯楽映画を観ているようで、インディジョーンズの頃の雰囲気と劇伴で、おそらくそれは意図的でしょうし、わざわざこの時代にこういう映画作るのって贅沢だなあと思いました。
実は私、ディズニーランドに行ったことが人生で一度もありません。
というか、行きたいと思ったことが人生で一度もありません。子どもの頃からミッキーの目から狂気しか感じていませんでした。なので、実際のジャングル・クルーズがどのようなものか、あまりわかっていません。
でも、人生経験として一回ぐらい行けたらいいかなとは思っていて、UCCコーヒーの点数を集めてディズニーランドに行こうと思っていました。
が、なんとコーヒークーポンのディズニーランドのチケット景品が終了していました… いつか行くかな?行くなら先にUSJの方が行ってみたいし。


「イン・ザ・ハイツ 」

大傑作。ウスナビのキャラクターも優しくて新しいし、女性たちが本当にキャラ立ちしていて、めっちゃ美しいのだけどリアルから遠く感じず、生きてる!というエネルギーに満ち溢れていて。人間のエネルギーと歓びに満ちたミュージカル映画でした。
映画内の感覚はまさに今の感覚だけど、作りは意外とクラシカルなミュージカル映画で、こういうミュージカル映画が観たかったのよ!と、長尺も全く気にならない映画でした。このミュージカル自体は2005年初演らしいですが、今、ジャマイカ系のカマラ・ハリスやプエルトリコ系のAOCが出てきたことを考えると、先駆的なミュージカルだったんですね。

しかし、この原作のリン・マニュエル=ミランダの『ハミルトン 』を見たいのですが、ディズニープラスで字幕が付くのはいつになるのでしょうか…


「プロミシング・ヤング・ウーマン」☆

強力な映画を観てしまいました。7月からこれは観なきゃとは思ってたんですが、近所の映画館でやってなかったので、出遅れた。

こんなに何か言いたいけど何も言えない映画を観たのは久しぶりです。ブスブスと心を突き刺してくる映画、女性と男性では刺さり方が違うと思います。
私や女性の場合は、映画で出てくる扱いを常に受けているというか、おかしいと思ってるし傷付いてるのに自衛のために笑顔でスルーしてきた体験が多すぎて、実生活ではスルーしてても映画で描写されると「こんなの絶対ダメやん」と、グサグサ刺してくるんです。それが直接って感じじゃなくて、「見てるお前も考えろ」という目線で。
傍観者は加害者であると、はっきり伝えてくる映画でした。

最後のオチが悲しすぎるとか、ああじゃなくてもよかったのでは、という意見も沢山見ましたが、現実的にあれだけ犠牲を払わないと復讐はできないのも、女性としては想像できます。

実際、小田急線の傷害事件で、女性が標的にされ誰の目にも酷い目に遭う事件がありました。実は私もその前日、大体同じ時間に小田急線上り快速に乗っていて、月に3回はその電車に乗っています。真っ先に思ったのは「刺されたのは私だったかもしれない」ということ。同じことを考えた女性がどれほどいたか。
そして、それをきっかけに女性憎悪犯罪は無くさないといけないと女性たちが声を上げても、普段リベラルで社会の公平さを訴える男性が〈加害男性の生きづらさを考えなければ〉と発信してしまう。絶望しかありません。どれだけ痛い目に遭えばこっちの問題を直視してくれるのかと考えると、この映画のオチは「映画の方がまし」とも思えます。リベンジ完遂できるんですもん。

この映画、男性も女性も、たまたま出会い頭事故みたいにこの映画に出会う機会があった方がいいと思いました。NetflixやAmazonプライムなど、サブスクで流してめっちゃ面白いエンタメ映画として、砂糖菓子と見せかけて宣伝して、ガツンと出会った方がいい映画だと思います。
良薬は口に苦し。

こちら、監督エメラルド・フェネルと主演女優キャリー・マリガンのインタビューですが、とても良いインタビューでした。上を書いてから見たのですが、やはり「恋人や友達と見たいと思える作品にしたかった」とおっしゃってますね。
というか、この監督、声も話し方も素敵だし、聡明でリスペクトしかない… この人の撮ったものなら無条件で観ていきたいと思いました。


「ザ・スーサイド・スクワッド」

前のスースクよりはテンポも良く、役者も良く、面白かったです。ただ、私は映画ファンとして、ジェームズ・ガンが快調だとちょっと引いてしまう方でして(笑)、悪趣味についていけないところもあったりします。イドリス・エルバとジョン・シナがいい感じでした。ジョン・シナはワイスピでも大活躍でしたが、すっごい存在感ですね。なんか目を引いちゃう。


「孤狼の血 LEVEL2」

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今回は鈴木亮平独壇場の映画になっていました。それに加え、村上虹郎が素晴らしかったです。
たまたま今月大阪でTOKYO MERを30分ほど見たのですが、爽やかで頼れるイケてる鈴木亮平を見たので、こえーよ!と思いました。いや、孤狼の方じゃなくてTOKYO MERの方の鈴木亮平の笑顔が信じられなくなるレベルじゃないですかね… 劇場で、来場者特典のポストカードを頂いたのですが、「鈴木亮平の描いた松坂桃李の肖像」でして(上の写真)、何者だよ鈴木亮平…とさらに謎が深まりました。
村上虹郎はるろうに剣心でも沖田総司をやっていましたが、何というかちょっとクラシックな邦画に合う顔というか、フィルムっぽい影のあるコントラストの強目の映画映えする顔と存在感で、出てたらグッと惹き込まれますよね。
面白かったのですが、このシリーズはもうちょっとヤクザの群像劇を見たかったので、"鈴木亮平力"一本でガーっと突っ走った感じでしたから、もっといろんなキャラクターの泥臭い駆け引きを見たかったかな。時代が平成になっちゃったから、もうこのシリーズはここで終わりなんでしょうか、もうちょっと観たいな。

公開日の朝一の回に行きましたが(なんと7:40、レイトショーの代わりですかね)、前日の晩に千葉真一の訃報。ヤクザ映画の一時代を築いた俳優はほとんど亡くなってしまいましたが、受け継がれていっていることも胸にグッときましたね。


「フリー・ガイ」

軽い映画だろうと思って行ったら、めちゃくちゃ良かったです、泣きました。全人類にお勧め、あなたはモブキャラではないし背景ではないと、あたたかく伝えてくれる本当に優しい映画。ただ全ての人に自分の人生を生きる価値があると、真っ直ぐユーモアをもって軽やかに伝えてくれる、そしてフィクションの世界を祝福してくれる素敵さに溢れていました。お馬鹿だけど馬鹿には絶対作れない映画でしたね。あのカメオ出演が映った時、「あっ」って言ってしまいましたよ。これ本当に舐めてた!予想の100倍良かった。今月一番かな。

いやー、こういう予期しない超おもしろが適当に映画館に行って出会えるって、本当豊かなことです。
効力のない緊急事態宣言はもういいから、映画館は閉めないでほしい。


【配信視聴】

スターウォーズ「バッド・バッチ」が終わりました。
ドロイドからクローンへ、クローンから徴兵したトルーパーへ、という移り変わりって、テクノロジーは退化してるじゃないですか。それが、モノを消費するところから人を消費するという、どんどん人でなしの方向=銀河帝国になっていくのを、はぐれクローン目線で描いた物語でした。最後の着地もとても良く、胸の熱くなる展開でした。シーズン2も楽しみです。


マーベルの「ワット・イフ」も始まっちゃいました。
これ、MCUを見てきたファンに対するご褒美みたいなドラマ・シリーズです。マーベル初心者には何もわからない内容かも。
ティチャラの声で泣きそうになっちゃった。


配信は、最近はディズニープラスの視聴が多くなってきていて、一旦Netflixをお休みしました。またコブラ会の次のシーズンが始まったら入ろうかな。
一瞬で休会できるNetflixは親切ですね。ディズニープラスはとにかく落ちるのをなんとかして欲しいです。


【音楽鑑賞】

今月はライブ参加はゼロですが、フジロックの中継をかいつまんで、King Gnuだけは全部見て、4s4kiを半分ぐらい見ました。
開催前に、参加するアーティストやキャンセルしたアーティストの悲壮感あふれるメッセージがどんどんSNSで流れてきて、辛いなあと思っていたのですが、King Gnuのパフォーマンスは圧巻でして、本当に素晴らしかったです。元々センスのレベルが違う音楽をしている認識はあって少し聴いてはいましたが、ライブを見たことがなかったので、何というか音楽的に素晴らしいうえ、誠実でした。

そう、素晴らしかったですけど、フェス自体がキャンセルの判断をした方が良かったと、ずっと、今でも思っています。
アーティストは主催者とお客さんに求められたら、ステージに立たない選択肢はなかなかとれないですし、そういう状況に追い込んで欲しくなかった。

他のバンドのパフォーマンスを見ていて、「Love & Peace!」って叫んでいてましたが、現地の医療関係の方にはこの言葉はどう感じるだろう、恐怖に感じないだろうかと思いました。君たちが音楽で一時LoveとPeaceを感じたいから行動したせいで、こっちのLoveもPeaceが壊されるんだよと思われても仕方ない。
これは平常時には思いもしないことで、この非常時に開催しているから思ったこと。このバンドも、いつも通り(か、それ以上)のパフォーマンスをしているでしょうし、状況のためにそんな風に思われるのは可哀想です。

主催者、アーティスト、スタッフ、観客の四者の責任は全く違うもので、一緒くたにできません。
アーティストは観客に音楽を届けスタッフを養う責任を持ち、スタッフはアーティストにベスト・パフォーマンスを、観客にスムースな会場運営をする責任を持ちますが、履行の是非に対して責任があるのは主催者です。
全ての選択の一番上位にあるものは、開催の履行の判断。
キャンセルしたアーティストも勇気ある行動で非常に尊敬しますが、こんな判断したくなかったでしょう。フェスの中でアーティストは、中間管理職みたいなものですよ。

自分でも驚いたのは、King Gnuの完璧で音楽的にハイレベルで人間臭いパフォーマンスを見たら、この人たち凄いなと脳と感情がねじ伏せられたことです。
ミュージシャンを長くやってるし、仕事で音楽誌にレビューを書いたりライブ・レポートを書いたりしており、口でなんだかんだ言ってても頭では相当冷静に分析的に聞いている方だと思いますが、やっぱり素晴らしく体力のあるものを見せられたら、納得してしまった。

だから、主催者には中止してほしかったと、King Gnuの素晴らしいパフォーマンスを見て心から思いました。〈非常事態に開催することで、アーティストが本来受け取るべき価値を毀損するかもしれない〉ということは、最初からわかっていたはずです。アーティストを守り、音楽ファンを守り、ライブ文化を守るためには、中止もしくは無観客オンライン開催が妥当だったと思います。

また、開催したことで、ライブ文化そのものが敵視される環境を作ってしまわないか、非常に不安に思いました。

※8/25追記
上記を書いた後でこの記事を見て、100%同意なのでシェアします。



【読書】

『フェミニズムに出会って長生きしたくなった。』 (幻冬舎文庫) アルテイシア

ネットで連載しているコラムは毎回3回ずつぐらいは読んでいるので、既読のものばかりでしたが、最後の田嶋陽子さんとの対談は胸アツでした。

うちも、『愛という名の支配(田嶋陽子著)』文庫版が出たときに、こんなのあるのよと実家に置いてきたら母親が読んで、「こんな本があるって知らなかったし、TVで見ていた田嶋陽子さんは一部分だったのね」と言っていました。この本は随分前の本ですが、逆に今同世代ぐらいのフェミニズムに興味ある人の方が読んでるんじゃないかな?

アルテイシアさんは、同世代のフェミニストで、とにかくボキャブラリーが面白い。時々突っ走り気味ですが、「わかる」のオンパレードで、私もちゃんと物言えるJJ(熟女)として生きていきたいと思います。



【美術鑑賞】

「DC展 スーパーヒーローの誕生 @TOKYO CITY VIEW」

前の週に、TBSラジオの番組「アフター6ジャンクション」でアメコミ特集をやっていて、この展覧会があることを初めて知りました。

私はコミックは全く見たことがなくて、アメコミ映画は沢山観ている、という程度です。そして、MCUは全部見てるけどDC系は見たり見なかったり。歴史が長すぎるし、神様の話はちょっと遠すぎてわからんと思いつつも、よく考えたらダークナイトぐらいからは全部見てるので、この13年ぐらいは全部見てますね。
前売りチケットのサイトを見ていると、割と常時空いている感じだったので、仕事と仕事の合間にふらっと行ってきました。

最初からダークナイトの時のバットモービルがお出迎えで、爆上がりですよ。バットポットもデカかった。
コミックの原画はもちろんですが、クリストファー・リーヴの着ていたスーツから、ヘンリー・カヴィルのスーツまで展示してあって、ヒース・レジャーの被っていたお面や、ホアキン・フェニックスのスーツなど、映画ファンとして心拍数の上がる「本物やあ…!」に溢れていました。映画のコンセプト・アートのパネルが本当に美しくて、神話の絵画を見ているようでした。セミッシラのアマゾンの皆さんのコンセプト・アートが最っ高に格好良い。まじで強そう…

スーツ系でいうと、バットマンの歴代スーツが多くて、ベン・アフレックのバットスーツは物凄くゴツかったです。バトルスーツとか、相当いかつい。ベンアフ、結構でかいのかな。ハーレイ・クインのびらびらのお洋服も超いけてたし、ピース・メイカーは映画観たばかりで、アホっぽすぎて笑いますね。

ということで、人も少なくて一人でたっぷり楽しめました。
売店に、よく映画で見る昔のニューススタンドで売ってるような薄っぺらいアメコミがあったら買おうと思ったんですけど、グッズばかりでアメコミがなかった。ヴィレッジ・バンガードとかには、きちんとした装丁のアメコミが売ってますが、アメリカで昔売ってた感じのアメコミがほしかったです。

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私自身の一番好きなスーパー・ヒーローは、DCではないですが、なんてったってキャプテン・マーベルです。まじであんな風になりたい。"I have nothing to prove to you."、あんなに勇気もらった映画はないですよ。退かぬ!媚びぬ!省みる!です。

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【書き物】

【西山瞳の鋼鉄のジャズ女】第43回 馬場孝喜・則武諒――メタルを通ってプロのジャズマンになった2人に訊く、スタイルの変遷やメタルとジャズの共通点

今回は、前からやりたかった、ジャズ・ミュージシャンにメタルの話を聞く回。
この連載以外でこんな内容でジャズ・ミュージシャンがインタビューされることはほぼないと思いますし、私もミュージシャンとしてとても面白い話を聞けました。
メタルもジャズも、話に出てきた音源を沢山貼っていますので、ぜひご覧下さい。

発売前ですが、8/31発売のヘドバンvol.31も少し書いています。


ということで、月末には少し早いですが、ワクチン2回目接種で発熱とだるさで何もできないので、8月まとめを書きました。1回目はどうもなかったのに、2回目は結構きてます。


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