ドキュメンタリー映画とアーティストのニュースレター

最近、素晴らしい内容のドキュメンタリー映画を続けて2本、Netflixで観ました。

『トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして』(原題 Disclosure)

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

前者は〈トランスジェンダーの役をシスジェンダーが演じること〉の問題を、日本アカデミー賞の関連ニュースを見ていて自分は全く無知だなと思って、評判の良かったこのドキュメンタリーを見たのですが、これは見る前と見た後で、映画を見る目が変わってしまう内容でした。見て良かったです。

後者は、スタントウーマン凄いぜって内容だけじゃなくて、ハリウッドで女性たちがどのように扱われてきたのか、その歴史を知ることもできて、見終わった後には非常にパワーをもらいました。

私はジャズをやっているので、アメリカの文化と音楽を学んで自分の表現活動にしていますが、ものをはっきり言える、権利を勝ち取っていくというアメリカのエンタメ業界のパワーにもとても憧れがあって、このようなドキュメンタリーを作れたり、ミュージシャンがそれぞれBLM運動や大統領選挙について頻繁にSNSで発信しているのを見て、本当にパワフルだなと思います。

ジャズ・ミュージシャンにサヨクが多いと言われるのを時々見かけましたが、まあ揶揄的に言われるからわざと揶揄的なサヨクというカタカナ言葉で書いていますけれども、所謂リベラルと呼ばれる考えの人が多いということですね。それは、当たり前すぎることだと思っています。
理由は、自由と個性を大切にする音楽だから。イコール、人権の尊重無くしてできない音楽だからです。
違う人間同士がその場で集まって一つの音楽を作るので、相手の価値観を上から押さえつけたり否定していたらできません。「あなたにはどんな考えがあるの?」と聞き合いながらアンサンブルを進めていく。だから、ちゃんと自分の考えと言葉を持っていないとアンサンブルできないし、相手も自分と違う考えを持っていることを尊重せねばならない。全体主義的なものとは全く相容れない音楽です。

アメリカのジャズ・ミュージシャンは、特に黒人音楽をやっているという事実から、BLM運動や差別を助長することに対して非常に敏感に発信していました。

大統領選挙の後少し落ち着いたのか、最近そういったポストが少なくなっていましたが、昨日届いたピアニストのアーロン・ゴールドバーグのニュースレターが非常に素晴らしい内容でして、一部分を引用したいと思います。

All these responses to the ‘big pause’ remind us that our music has always been created against the obstacles.
Birthed of the blues, raised to defy injustice, and nurtured by genius into a high art form of human affirmation.
 Jazz always been political; today as relevant to public health as to BLM.
 The path forward it offers is that of love, aiming at common cause despite difference and demanding justice because of, not in opposition to this love.

Jazz is a Black art form that became a universal gift.
 For its creative geniuses could not be suppressed nor their beauty dehumanized.

It still has so much to teach us:
Equality and respect are first moral principles.
Democratic music also requires empathy, mutual support and engaged conversation.
Only thus can we build a community of creators.

We are flawed yet still perfectible.
We caught the virus.
But we can cast it out.

この引用する前段に、我々がこの1年受けてきたダメージと、この社会は壊れやすいのだと書いていました。

この方の演奏が好きなので、2年ほど前の来日ツアーでは2日間聴きに行きましたし、ワークショップも行きました。ニュースレターにも登録していたのですが、音楽活動の案内は全然送ってこず、時々こういう内容のメッセージが送られてきます。
素晴らしいことだなと、改めてアーティストとして尊敬を深めました。


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