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今年聴いたもの2021年

毎年恒例、今年聴いたものです。


Lyle Mays『Eberhard』
年の瀬に、今年こんな作品が出ていると初めて知りました。
アルバムではなくシングルなのですが、今年の私の一番はぶっちぎりでこれです。
ライル・メイズの音楽は私にとって、空を見上げてその先にある見えない世界への憧れのような、あの向こうにラピュタがあるかもって想像してしまうような、フィクションの力を現実につなげるパワーを感じていました。この世界がまた味わえるだけで、感無量です。


Kurt Rosenwinkel『Plays Piano』
カートのピアノソロアルバム。ピアニスト的なエゴがほとんど感じられないソロピアノは、非常に新鮮かつとても味わい深い。カートはピアノを弾いてもカートだなと思います。
たまに、他楽器奏者がこんな曲だよってピアノを弾いてくれるのがとても良かったりするんですが、その感じですね。ピアノを聴かせたいのではなくて、音楽を伝えたいから弾いている、という感じ。本来そうあるべきなのかもしれませんが。


Martial Solal『Live at Salle Gaveau 2019』
2019年の録音ですが、今年の新譜。今なお攻めまくる、御大のソロ演奏。
「Happy Birthday」の演奏、私が時々仲間内で洒落でやっているものをもっと極悪にやっていて、爆笑しました。これは酷い。(褒め言葉です)大好き。全体に冴え渡るユーモアは全く変わらず。お元気でいて下さい。


Makaya McCraven『Deciphering The Message』
文句なしに格好良いし、ブルーノートが今出すものがこれって、ジャズがその時代にある在り方みたいなものを体現しているというか、ジャズって根幹はダンスミュージックなんだなと、その上で時代と向き合ってきた音楽なんだなと改めて思いました。去年のイマニュエル・ウィルキンスもブルーノート。やっぱりブルーノートは名門でありトップランナーであるということを感じた一作です。


Yuri Honing & Wolfert Brederode『Avalon Songs』
昨年末のリリースなのですが、今年聴いたのでこちらに入れておきます。
ヴォルフェルト・ブレデローデのピアノは本当に好き。官能的だけど独りよがりにならない、精神の立ち位置というか、弾き手と音楽との距離感が、私がこうありたいと思うものです。ユリ・ホニングも好きなプレイヤーで、トーンに揺るぎない重心があり、来日時に見た時はトーンそのものでバンドを引っ張っていくアンサンブルに感銘を受けました。


Keenan Meyer『The Alchemy of Living』
南アフリカの25歳のピアニストだそうですが、最初の感想は、とても心の美しい音楽だなあと思いましたね。何風と言うことはできるのかもしれませんが、よく聞くと何風でもない。とてもオーガニックで、新しい風を感じました。


Chon『Chon』
2019年のリリースなのですが、今年聴いた中で本当に良かった、ギターインストのアルバム。
今年5月に日経新聞のインタビューのためにソニーに行った時に、ソニーの洋楽担当の方から沢山サンプル盤を頂いた中に入っていたのですが、これが滅茶苦茶良いんです。凄く上手いし、ジャンルに関係ない共鳴できるノスタルジーがある。アカセカトリオみたいな感じで聴いています。なんで私、これを2019年当時に聴いていなかったのだ。


LOVEBITES『Heavy Metal Never Dies - Live in Tokyo 2021』
凄まじく良かったです。Mikikiの連載にも書きましたが、3rdアルバムからこのライブ盤への流れが素晴らしくて、バンドの底力をビシビシ感じました。
バンド休止は本当に残念ですが、絶対にパワーアップして帰ってきてくれると信じて待っています。
しかし今年は年末に活動休止が多かった印象。



今年の自分の作品リリースは、下記の通りです。

『Calling』西山瞳トリオ

配信は販売のみで、サブスクはやっていません。後に書きますが、アルバムの性質上、おそらく今後もしないと思います。配信リンクはこちら。


それから、長年共演しているベース安ヵ川大樹さんと、ヴァイオリンmaikoさんとのユニットで一枚リリースしました。

『Mahoroba』The Tree Of Life(安ヵ川大樹、西山瞳、maiko)


それから、2020年『Vibrant』がサブスク解禁になりました。


振り返ってみると、今年も沢山音源を聴いているはずですが、ビシーっと印象に残った圧倒的一枚みたいなものが無くて、それは多分私自身の今年の音楽への姿勢がそうだったからなのだ思います。その時聴いて良かったと思った作品は、もっとあったはずですが、特別ヘビロテしないというか。『Calling』の関連インタビューで、強度についてお話ししていましたが、今年は9月までそういうマインドでした。だから、名盤を聴いている方が多かったですね。

『Calling』について、「失礼かもしれないけど、お葬式みたいな印象がする」とリスナーの方に言われたんですが、まさに私にとってはそういうことで、神戸のライブスペースCREOLEが無くなったこと、マスターとのお別れの喪失感がアルバムの大きなモチベーションとしてあったので、今回は完全に私自身の心のための録音。だから、全く失礼ではないし、そう受け取って下さったそのリスナーさんのご理解の寄り添いに、大変感謝しています。

9月の『Calling』リリースで、気持ちも音楽も一区切りして、10月以降は新しいサウンドを始めようと思って動いていましたが、とても晴れやかな気分で作曲も練習もして、違うメンバーでのトリオのライブも良い手応えでできて、良いリスタートが切れたと思います。



ここ数年は「今年聴いたもの+観たもの」で記事を書いていましたが、今年はまだコロナ禍で、観た映画は大分少ないです。40本ぐらいしか観てないですね。それぞれの感想は、最近月ごとのnoteに書いているので、ご興味あればそちらをどうぞ。


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