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オーストラリアの大学のカリキュラム(大学院編)

まだまだコロナ・デルタ株が猛威を振るい、オンライン講義が続いています。今日はオーストラリアの大学院のカリキュラムについてまとめたいと思います。

1.履修期間

日本の大学院は大抵2年のカリキュラムですが、オーストラリアでも、だいたいの大学院のコースは2年です(例外はありますが).入学要件は、学部を卒業していること、などがあります。(留学生は英語のスコアもあり)

ただ、その2年間の間に、コースによっては、半年或いは1年の時点で一旦修了できるgraduate certificate (半年)、graduate diploma(1年)という学位があります(exit pointと言います).また、2年というのは、フルタイムでの期間ですが、働いている方など、フルタイムで履修できない場合は、ハーフタイムを選択でき、その場合の履修期間は4年となります.


2.日本との主な違い

私がオーストラリアの大学で大学院のコースのコーディネーターになった時に、一番最初に「あれっ」と思った違いは、オーストラリアの大学院は、定められた科目を履修して、単位を取得して修了するというものですが、そこに、修士論文が含まれていないことです.もちろん研究・実習プロジェクトで小論文並みのレポートを課されることは一般的です.こうした、科目を履修して終了するコースをcourse workと言います.論文を書く(つまり、研究に集中して取り組む)修士課程は別に存在します.そしてこうしたコースは一般的にMasters by research thesisと呼ばれています.或いは、Masters of XXXXX (Research)などど表記される場合もあります.このような研究課程に進む学生はcourseworkに比べると多くありません。

Coursework だと、フルタイムだと大抵1学期当たり4科目を履修します。当然ながら、課題もreading(できれば講義前に読んでおく資料)もたっぷりありますので、4科目でかなり大変だと思います。

Research だと、コースによっては研究枠組みなどを勉強する科目を履修することもあります。分野によって様々です。

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(大学を出て、色々なところに見学にも行きますし、そこで専門の方や担当職員の方にお話を聞きます。)

3.なんのために大学院に行くのか

オーストラリアでは、理系、文系に関係なく、学部を出れば、大抵は就職します.日本のように、理系の〇〇た゛から大学院に行くのが望ましい、と言うのはありません。では、何のために大学院に行くのかと言うと、それは専門性を高め、既に働いている職場で次のステップにあがりたいなどの明確な目標があるためです。また、先ほど修士課程において、graduate certificate やgraduate diplomaで修了できるシステムがあると書きましたが、それも、個人それぞれの目標によって選択できるわけです。中には、新たな専門性を身につけて、キャリアを完全に変えたいと言う理由で大学院に通う学生もいます。オーストラリアでは転職などはとてもフレキシブルに考えられているので、その分野の専門知識がなくても大学院に進むことができるように、入学要件が設定されています。また、私の教え子の中には、職場からサポートがあって(学費や、大学院に通うための休暇、早退など)勉強しに来ている学生もたくさんいました。

4. 学費

大学院の学費は、コースによって様々です。各大学が、コースのホームページを設けて、表示していますので、それを参考にしてください。決して安くはありません。また、コースによっては、連邦政府指定の、学費の一部免除措置が取られたものもあります(CPS, commonwealth supported placeと言って、要は連邦政府が学費の一部を負担してくれる制度です)。
また、留学生は国内の学生とは全く違う学費が設定されていますので、オーストラリアの大学院に留学を考えている方は、注意された方が良いです(日本の大学院に行くのとは数倍違うと考えてください)。また、原則留学生は、アルバイトの時間などが制限され、大学でface to faceの講義を一定割合以上受けなければいけないなどの規定があります(コロナ禍で留学生がそれぞれの国からオンラインで講義を受けているのが現状ですが、これも政府のアップデートなど気をつけてチェックしないといけません)。

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(留学生が100%の割合を占めるクラスも)

5.まとめ

オーストラリアの大学院は、コロナ禍になる前の2019年まで、履修者数が伸び続けていました.その主な要因は留学生の増加です.オーストラリアの大学院へ留学する学生数が多い国は、中国、インドネシア、インド.また最近は中東諸国からの留学生も増えています.留学生の学費は日本での数倍と書きましたが、これに生活費などを含めると、相当な費用になりますが、それでもオーストラリアの大学院で勉強したいという学生は伸び続けていたわけです.しかし、コロナ禍で、新たな留学生のオーストラリアへの入国は今のところ認められていません.これがいつ再開するかは、オーストラリア国内でのワクチン接種の状況や、感染の抑え込みなどの状況によると思われます.教える側としては、教室に、多様なバックグラウンドの学生がいると、議論の幅も質も高まり、それが学生の学習経験の向上につながっていると思っています.個人的には、できるだけ早く、また留学生を受け入れられる状況になることを願っています.

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