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走幅跳選手の試合の裏側① 私が試合当日,一番緊張する瞬間

走幅跳は6回の跳躍で、誰が一番遠くに跳べたかを競います。1cmで勝敗が決まったり、逆転に次ぐ逆転で順位が入れ替わったり、誰かが圧勝したり。試合が始まってみないとどんな展開になるかわかりません。

そこで最高のパフォーマンスを発揮できるように、数週間、数ヶ月、数年をかけて準備します。そして試合当日、一番緊張する瞬間は...

朝ベッドから下りた1歩目です。

もちろん試合でも緊張します。助走を開始するとき、脚が震えるほど緊張するときもあります。ただ、ピットに立った時には、「あとはやるだけ、さぁいくぞ。」という気持ちなので、迷いや不安は消えていることが多いです。
しかし、朝起きたときの1歩目は、10年以上競技をやっていても慣れません。なぜなら、その1歩目でだいたいの調子がわかってしまうからです。「今日はバネがあるな」、「スッと腰が乗っているな」、「今日は身体が重いな」など。それは試合に限らずトレーニングの日も同じですが、特に試合の日は敏感になっているのか、それを強く感じます。

調子が良くあってほしい、痛いところもありませんように…と思うと、1歩目をつくのが少し怖くなったりもします。時々起きるのをためらって、布団の中でモジモジしたり、おや?と思ったときは、「気のせい気のせい」と思って、もう一度布団からやり直したりすることもあります。そんな自分に面倒くさいなぁと思うこともありますが...

起きてしまえば、あとは試合までの残りの時間で、少しでも良い状態で臨めるように準備をしていくだけです。食事やウォーミングアップ、心のもっていき方など、引き出しを多く持っていると臨機応変に対応できるので、日々のトレーニングや生活で試したり、勉強したりして、自分に合う方法を見つけています。

試合当日の朝、「きっと今頃、中野は布団の中でモジモジしているんだろうなぁ」と思い出してみてください。私は緊張の朝を乗り越え、最高の準備をして、ピットに向かいます。


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