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今年の夏、ってやつ


やあやあ、皆んな〜何をしているんだい。

久しぶりにちゃんと、noteを書くよ。


穂波さんに、龍村さんはnoteをちゃんと書こうって言われたから、ちゃんと書こう。


私の文章なんて誰も読んでないし、楽しみにもしてないとずっと思っているんだけど、時々会った人にnote読んでるよって言われる。

なんか、全部知られちゃってるみたいで、すごく恥ずかしくなんねん。


排気口新作公演「時に想像しあった人たち」も終演しました。

これは千秋楽の前日に書いているので、厳密には終演してないけど、終演したことを想像して書いているよ。

今年の夏、大学2年生の夏、10代最後の夏、私は本当に文字通り心身をすり減らしながら過ごしました。

友達のストーリーに流れる、海海花火遊園地とまた花火、「夏休み暇すぎる〜」の文字を見つめながら、毎日毎日電車に揺られて、小田急線と中央線と京王線を往復し、家ではパソコンを見つめながら、台本を開くという時間を過ごしました。

正直ほとんど記憶がありません。何をしていたら夏が終わっていたのか、私は私ではない何かに動かされていたような気もします。

でもこれは私が選んだ結果なので、やっぱり私の意志なのです。

舞台2本に出演して、大阪にゼミの映像作品の取材をしに行き、個人の作品の編集をする、本当に終わらせられるのかわからなかったのですが、何とか全部やりきっていました。

いや、もうこれは意地です。本当に。

負けず嫌いの私が、自分で選んだ選択をやり切らないなんてプライドが許さなかったのです。

Oi-SCALEも、排気口も、本当に楽しい現場で、確実に自分を成長させてくれた時間でした。酷い暑さの中でふらふらした小悪魔のような女の子になったり、雨が降って冷たい風が吹く中で過ぎていった時間を想像したり。

本当に夢のような時間で、ふわふわして、全てに出会えたことに感謝しています。
生意気で、甘えてばかりの私を見守ってくださって、本当にありがとうございました。

さて、目まぐるしく過ぎていった時間のせいで、一番好きな季節である夏を、今年は何とも心に落とし込めないままに、終わらせてしまいました。

終わるってことわかっていたはずなのに、どうしていつも気が付くことができないんだろう。

始めたのなら、始まったことは、必ず終わるのに、どうしてそのことをいつも忘れて、私たちは生きているのだろう。


お芝居するの、本当に楽しくて、自分が唯一できることだと思っていて、舞台に立って、袖から見る照明の明るさとか、舞台から見えるお客さんの笑顔とか眠っている姿とか、裏で共演者と目配せをして小声で喋る時間とか、誰もいなくなった客席を見つめるのとか、全部全部、その瞬間にその場所でしか感じ得ないもので、その魅力に気がついてしまうと、もうきっと簡単には抜け出せなくて。


普通に日々を生きていたら、息が止まりそうになることもあります。

満員電車でおじさんの肘が当たるとか、人を避けようと体を縦にして歩く時とか、教室を出て人が大勢いるキャンパスの中を一人で帰るとか、好きな人から返信がこないまま眠りにつこうとしている時とか。


私はきっとどこかで、その栓抜きをしなければ、立ちすくんだまま歩けなくなってしまう。


でも、演技をするという行為が、生活の中にあれば、風船に開いた小さい穴みたいに、そこから息ができる。息をしようともがいてもがいて、やっと空気が吸えれば、私は私の目を、世界を開くことができる。


何者かにならなくてはいけない不安と、何者にもなれない恐怖を、自分ではない何かに寄りかかることで見ないようにしている気がする。

でも、それは永遠じゃない、空気も溜めなければ、風船は萎んでいくだけ。


私にとって芝居はそういうものなのです、きっといつか辞めてしまう、ずっと続けられないということはよくわかっている。


選ばれた側の人間だと思われることがよくあるけれど、全然そんなことない。常に自分が必要のない人間になってしまうことが怖いし、“才能”というものがないことを認めるのも、愛されなくなることも全てが怖い。だから本当はずっと必死で、本当はずっと泣いてしまいたい。


それでも私は、私がどのくらい恵まれているのかを知っている。

だから、息をし続けなくてはいけない。


私は私のことが一番好きで、私のことが一番嫌いだから。


この夏で、時間というものが有限じゃないことも、若さというものがずっとではないことも感じてしまったや。


一人だと寂しいね、鼻先が冷たくなってきて、もう靴下も履かなくちゃ。

電車を待つホームが何だか灰色に見えて、だんだんと白くなる指先を見ながら、また誰かが隣にいてくれることを想像する。


あんなにも永遠だと感じていた夏も、気がついたら過ぎ去るようになってしまうから。

大人になって、その寂しさも懐かしくなるのかなと思ったり。

忘れたくないね、明日ぐらいまでは。



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