【箱根駅伝2022】総合優勝の青山学院大学を振り返る【箱根駅伝2023直前】
2023年箱根駅伝まであと少しですね。2022年の第98回箱根駅伝の展開を振り返りたい人も多いかと思います。
本記事では、2022年箱根駅伝で優勝した青山学院大学(以後青学大)について順位変動や出場選手の振り返りはもちろん、「誰が一番優勝に貢献したのか」について評価指標を用いて解説します。2023年の青学大を楽しく応援するため、順位予想や区間予想のためにぜひ参考にしてください。
2021-22シーズンの青学大
青学大の2021年は悔しいシーズンとなっていました。出雲駅伝は優勝を東京国際にゆずり2位。全日本大学駅伝は優勝を駒澤にゆずりまたしても2位。首位を走るシーンも少なく、序盤から流れを作り切れない展開が続いていました。
原晋監督は「パワフル大作戦」を掲げ、悔しい思いをぶつけようと意気込んでいた2022年の箱根駅伝。結果的には序盤から流れを作り、3区以降は首位を独走しました。2位に10分以上の差をつける快勝でした。
これから、青学大が総合優勝した2022年箱根駅伝を「展開」と「貢献度」の視点から紐解いていきましょう。
箱根駅伝2022のレース展開と青学大の順位変動
まずは、青学大の箱根駅伝2022の概要です。
総合優勝 10:43:32
往路優勝 5:22:06
復路優勝 5:21:36
1区は首位と45秒差の5位と好発進。2区と3区で順位を上げトップに躍り出て、4区からは独走しました。山上りの5区も区間3位で圧巻の往路優勝でした。
復路はそのまま首位を独走し、7区、9区、10区で区間賞をとるなど、復路優勝を達成しました。青学大の完全勝利でした。
青学大は3区終了時に首位になってから、勢いに乗ってどんどん2位以降を引き離していったことがわかります。特に9区と10区の傾きが大きくなっており、独走優勝の大きな要因となりました。
1区で首位に立った中央も、2区で首位に立った駒沢も、次の区間のランナーが平均並みの走り(グラフが横ばい)となり、順位を落としています。その中で青学大は2区3区のランナーがいずれも平均を大きく上回る走りを見せ順位を上げました。2区3区の好走が序盤から良い流れ呼びました。
1区
志貴選手がトップと45秒差の5位と好走を見せました。1区区間賞となった中央大吉居選手には先行を許したものの、2位集団による後半の上位争いに負けることなく5位でフィニッシュ。首位まで45秒差と好位置で2区へとタスキをつなぎました。
2区
近藤選手は5位でうけたタスキを2位にまで押し上げるエースらしい走り。駒沢大田澤選手が好走したためトップとの差は広がりましたが、それでも1分2秒に留めました。先述しましたが、1区に中央大の独走を許した後の2区で、順位を上げることができたのは流れの中で非常に重要でした。
3区
3区では太田選手が鮮烈デビューをはたします。東京国際大丹所選手との並走が続きましたが、最後の最後で振り切りチームを首位に押し上げました。最終的に2位との差を12秒としてタスキを渡しました。区間賞とはならなかったものの、区間2位の好走でした。
4区
4区を走ったのはキャプテンの飯田選手。首位に立った後で、2位の東京国際大とは12秒差でタスキを受けました。2位との差を広げて往路優勝を確かなものにしたい中で、序盤から快走。2位と1分半以上の差をつける区間3位の走りで独走態勢を作りました。
5区
山上りの5区を走ったのは1年生の若林選手でした。4区の飯田選手の好走で独走態勢になったとはいえ何が起こるかわからないのが山上りの5区。相当なプレッシャーもある中、上りに入ってからどんどん走りが良くなり、終わってみれば1時間10分台、区間3位のデビューとなりました。2位との差は2分37秒まで広げ、翌日の復路に首位でタスキをつなぎました。
6区
山下りの6区を任されたのは4年生の髙橋選手。2位とは2分半の差を持ってのスタートとなり、序盤は良いペースで入りました。中盤は思ったように体が動かなかったのか平均並みの走りでした。しかし最後の平地では傾きが大きく上昇していることから好走だったとわかります。結果的に2位と3分以上とし、前日の往路からの良い流れは渡しませんでした。
7区
7区を走ったのは3年生の岸本選手。2位との差が3分23秒まで開いた状態で受け取ったタスキを、ぐんぐん前へ押し上げ、4分51秒まで広げました。復路の2区で区間賞の走りを見せ、総合優勝への良い流れをもたらしました。
8区
2年生の佐藤選手が8区を任されました。2位の順天堂大津田選手の好走もあり、2位との差は詰められましたが、津田選手に次ぐ区間2位の好走。後半の遊行寺坂でも平均以上の走りで流れは渡しませんでした。
9区
9区を走ったのは3年生の中村選手。区間記録を上回るタイムで序盤から攻めた走りでした。後半もペースは衰えず、区間記録を大幅に更新する素晴らしい走りでした。区間2位の國學院平林選手も好走しましたが、52秒差をつける圧巻の区間賞となりました。中村選手の走り凄さは後半にもご紹介します。
10区
アンカーを務めたのは9区の中村選手と同じ3年生の中倉選手。中盤以降走りが良くなり、9区に続いて区間記録を大幅に更新する快走を見せました。復路、総合でも新記録となり、2位とは10分以上の差をつけました。青学大が圧勝の箱根駅伝となりました。
青学大総合優勝の要因と各選手の貢献度
ここからは、青学大の優勝の要因と各選手の貢献度を振り返ります。ひと目でわかる箱根駅伝オリジナルの指標を用いて解説していきます。
ひと目でわかる箱根駅伝オリジナルの指標はこちらの記事で解説しています。
ここからは指標を用いて、総合優勝した青学大を分析していきます。
青学大総合優勝の要因
箱根駅伝2022を走った210人を貢献度、タフさ、速さの3つの指標で評価し、ランキングを作成しました。
まずは貢献度(Height)ランキングです。
次にタフさ(Area)ランキングです。
最後に速さ(Slope)ランキングです。
貢献度ランキングトップをその駅伝大会のMVPとしていますが、箱根駅伝2022のMVPは青学大の中村選手(9区)と算出できました。
貢献度ランキングのトップ10に青学大のランナーが5人入りました。貢献度ランキングトップ30の大学ごとの人数を見ると、
総合優勝 青学大 7人
総合2位 順天堂大 4人
総合3位 駒澤大 2人
総合4位 東洋大 2人
総合5位 東国大 2人
となっており、青学大の圧勝っぷりと総合力の高さがよくわかります。2位以降の大学は、好走を見せたランナーの数を揃えることができず、反対に青学大は数を揃えることができています。これが優勝の要因と言えます。
流れを考えると、前半を走ったランナーが高スコアであることが求められますが、3区の太田選手が7位にランクインできたことは、流れを呼び込みました。
がもとになっているため、差のつきやすい区間(ばらつき・標準偏差が大きい区間)のランナーがランクインすることが多いです。今大会では6区、1区、7区の順で差がつきにくかったのですが、そんな中で7区の岸本選手がトップ10入りしていることは驚くべき結果でした。
総合優勝へ 各選手の貢献度
圧勝で総合優勝した青学大。チームの記録に最も貢献したのは9区を走った中村選手です。次いで10区を走った中村選手になります。しかし先述のとおり、1人2人が好走したから圧勝だったのではありません。210人いるランナーの中で、トップ10に5人ランクインする総合力で圧勝になったといえます。(1区の志貴選手と6区の高橋選手の数値が低いですが、これは1区と6区の差のつきにくさによるものです。どのチームも1区と6区のランナーの評価は低く算出されます。)
まとめ
それでは本記事のまとめに参ります。
本記事では、青学大が総合優勝を「展開」と「貢献度」の視点から紐解いていきました。
展開については2点
特に9区と10区のグラフの傾きが大きくなっており、独走優勝の大きな要因となった
2区3区のランナーがいずれも平均を大きく上回る走りを見せ順位を上げたことで序盤から良い流れつくることができた。
貢献度についても2点
箱根駅伝2022のMVPは青学大の中村選手(9区)と算出できた。
貢献度ランキングのトップ10に青学大のランナーが5人入る総合力が圧勝優勝の要因
以上が本記事の内容になります。
引き続きnoteでは、ひと目でわかるようデータを見える化して駅伝の振り返りを行っていきます。
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本記事を読んでいただきありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。