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『明日から仕事始めです』


 今年も、一瞬にして年末年始の休みが終わろうとしています。「これはもはや時空が歪んでやいまいか」と思うほどにそりゃもう一瞬のできごとで、地元に帰って過ごしたこの約一週間は、ひょっとして夢だったのではないかと。何か『千と千尋の神隠し』の最後の千尋です。ということで、すっかり陽が暮れた帰りの電車の中で、このどうしようもねぇメランコリックと友達以上恋人未満という複雑な関係。はぁぁぁ、楽しかったなぁぁぁ。


 レーベルメイトたちとの忘年会では「名古屋に魂を売った」と散々イジられ、駅の地下道の天井の年季の入った錆を誤って舐め、入店してすぐ「そこ、アルコールで拭いといてくれる?」「(注文したメニューができるまで)朝まで掛かるよ」と女将さんが気さくに出迎えてくれて「良い店見つけた!」と確信するやいなや、さきいかの天ぷらに驚嘆して黒霧島をボトルキープし、終いには真夜中に人様の家のリビングに赤ワインをぶち撒けてからなか卯で締めました。その翌日は大晦日。朝から友達と友達の子どもの男三人で魚市場に行って『将太の寿司』から得た赤貝の知識を二人にひけらかして、良いお年を。


 年は明け、ヒトカゲのぬいぐるみを手放さない姪のために引っぱり出してきたポケモン緑に、小学生の時のセーブが残っていればエモくもなります。もう七、八年続いている同級生たちとの新年会では、日の高い時分から蓬莱泉可の力を授かって夕方から飯田線で街に繰り出し、レトロな飲み屋でさつまいもの天ぷら論争を繰り広げ、格式高いバーでウイスキーを知ったかぶり、カルピス+ウィルキンソン=スコールという方程式を導き出し、突拍子もなく本長篠に思いを馳せ、ラーメン屋が閉まっていたのでまたもやなか卯で締めました。


 この一瞬で過ぎ去っていった時間を、ジップロックに閉じ込めて封をしたい。


 そんな焼き増しみたいなキモいことを考えていたら、間もなく名古屋に着きそうです。

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