感染症対策マニアが、新型コロナについて雑に語る④ 「手洗いってどれくらいすれば良いの?」

手洗いってどれくらいすれば良いの?


前回、少しコロナの話からは逸れましたので、今回は実用的な話をば。


新型コロナウイルスの感染予防の為には、手洗いうがいの励行というのはとても大切です。


では、一体どれくらいの頻度で手を洗えば良いのでしょう?


この件に関しては、1日に何回とか、何時間に1回、みたいな目安は、一切当てにならないと思います。


感染予防の為には、手洗いは、必要なタイミングに必要なだけ、行うことが大切です。


例えば、あなたがもし医療関係者や、飲食の仕事に就いている人なら、それこそ1つの作業が終わり、次の作業にあたる前に1度ずつ、洗剤を用いての手洗いをすることも、必要なことであると言えます。


しかし、あなたがそれ以外の、一般的な仕事に就いていて、日常生活の中で、自分に感染しないよう、また人に感染させないように気を付けるだけの為なら、それほどの熱心な手洗いは、必要ではないと言えます。


むしろ、手洗いのしすぎによるデメリットの方が、気にかかってくるくらいです。


例えば今よく言われているような、「石鹸を用いての30秒手洗い」を、「手洗い動画」と検索すれば出てくるようなやり方で行い、その後、ペーパータオルなどでよく水気を拭き取り、アルコール消毒を行った場合、あなたの手に付いていたウイルスは、ほぼ100%死滅します。


しかし同時に、人の手には常在菌と言って、皮膚にとって有益な働きをしている菌も、とても多く生きているのですが、上記のような手洗いは、こうした常在菌までも、殺し尽くしてしまいます。


更に、いわゆる皮膚バリアも破壊してしまう為、結果こうした手洗いを頻繁に行うと、酷い手荒れになります。


「あれ?最近いつもより手が荒れてるなぁ」とあなたが思っているのなら、それは、手の洗いすぎ、かもしれません。


手荒れになると、別の病気の要因になることもありますし、何より、石鹸での手洗いに痛みが生じるようになりますので、手を洗うことが億劫になり、結果的に、本当に必要なタイミングの時でさえ、十分に手を洗わなくなってしまう可能性もあります。


ですので、上記したような丁寧な手洗いは、本当に必要なタイミングだけに絞った方が良いかもしれません。


では、本当に必要なタイミングとは、いつでしょうか?


①調理・食事前


まず確認しておきたいことは、新型コロナウイルスが、手の皮膚から感染することは有り得ない、ということです。


ですので、どれだけ手にウイルスが付着していたとしても、その手のウイルスが体内に入る、もしくは粘膜に触れる、ということが無い限り、感染はしません。


ですから、本当に手を洗うべきタイミングというのは、自ずと限られてきます。


手のウイルスが体内に入りやすい、その最たるものは、何といっても食事でしょう。


ウイルスの付いた手で食材や料理に触り、それを食べると、ウイルスはいとも簡単に体内に侵入することができてしまいます。


ですから、調理をする前、また食事をする前には、必ず丁寧に手を洗いましょう。


また一つ、そもそも手を使わないと食べられない料理を避ける、ということも大切です。


今回の新型コロナウイルスの感染で、中国・韓国・日本といった東アジアの国々は、最初期から感染の拡大があったにも関わらず、今になってみれば、欧米各国の方が遥かに多い感染者数と死者数を出しています。


その背景には、文化の違いがあるのではないか?と言われています。


例えば、欧米人はキスやハグといった濃密なコミュニケーションを取る機会が多いですが、東アジアでは、お辞儀のように、距離感を保ったコミュニケーションが取られます。


また、東アジア人は表情から感情を読み取る時、「目」の動きを最も重要視する傾向にありますから、顔の一部を隠したい時に、目を残してマスクを着用する傾向にあります。


対して、欧米人は表情の中で、「口」の動きを最も重要視しますから、顔の一部を隠したい時には、口を残してサングラスを付ける、という傾向があるそうです。


この違いは顔文字にも表れていますよね。

・日本の笑顔・不機嫌→(^^)・(- -)

・アメリカの笑顔・不機嫌→ :-)・:-<


そうしたことから、欧米では日本に比べて普段からマスクを付ける習慣が少なく、また抵抗感もあるようです。


そうした違いの中で、私が最も感染拡大に影響を与えていると考えているのが、食生活の違いです。


これは何も、和食が栄養豊富で免疫効果がある、などと言うことが言いたいのではありません。


重要なことは、手を使って食べる頻度です。


洋食の主食は、パンです。


そしてパンは、大抵の場合は手を使って食べられます。


その他にも洋食には、手を使って食べるものが多くあります。


対して、和食は多くの場合箸を使って食べられます。


この違いは大きいです。


今回の新型コロナウイルスのように、空気感染せず、飛沫感染と接触感染によって広がっていくウイルスの場合、手→口のルートを辿って感染に至る場合が非常に多いです。


その手→口のルートを辿る回数が、食事によって格段に多くなるわけですから、やはりこの違いは大きいのです。


ですから、この期間中だけでも、朝食はパンからご飯に切り替えたり、その他の手で使って食べる物を避けたりする必要が、あるかもしれません。


私も、今まではポテトチップスを箸を使って食べる人を笑っていた側の人間でしたが、今回のことから、あらゆるお菓子も箸を使って食べるようになりました。


すると、今までよくお腹を壊しがちだった私が、お腹を壊さなくなったのです。


この手→口の感染ルートを抑えておくことは、新型コロナウイルスだけに関わらず、他の多くのウイルス・細菌感染症に効果があると言えます。


②咳・くしゃみの飛沫や鼻水が手に付いた時や、トイレの後


食事の他の感染ルートとしては、ウイルスの付いた手で顔を触る、というのがあります。


といっても顔のどこを触っても感染するというわけではなく、口・鼻・目の3ヵ所に気を付ける必要があります。


意外に多いのが目で、この時期は花粉症で目がかゆくなり、かいてしまったその手にウイルスが付いていると、もうその目の粘膜から感染をしてしまいます。


この感染ルートへの対策としては、顔を触らないようにする、というのが一番ですが、これは無意識の内に癖として触っている場合が多いので、なかなかに難しいです。


対処法の一つとしては、常にマスクを付けること、が挙げられます。


マスクには、咳やくしゃみの飛沫を飛ばさない効果の他に、口や鼻を直接触らないようになる、という点でも、感染予防が期待できます。


無意識に今まで触っていたとしても、触ろうとしてマスクを外そうとする時に、「あ!」と、気付けますよね。


もう一つの対処法としては、「手にウイルスが付いているイメージ」を持つことです。


例えば、たった今あなたが丁寧に手を洗ったところだとしましょう。


その手に付いているウイルスの数はほぼゼロです。


ですが、そこから何か物を触る、その瞬間から、その手にはウイルスが付いている可能性がある、というイメージを持ちます。


すると、驚くほどに、手で顔を触らないようになります。


しかし、この方法は、精神的に不安定な気のある人にはおすすめできません。


このイメージがいきすぎると、強迫性障害といって、常に手を洗わずには居られないようになってしまう可能性があるからです。


そんな場合におすすめしたいのが、流水手洗いです。


「え!?テレビとかであれほど、水で流すだけじゃダメだってやってたのに!?」と、思われるでしょう。


確かに、流水だけでの手洗いでは、手にウイルスが残ってしまいます。


では、どれくらい残ってしまうのでしょうか?


答えは1%です。


流水で15秒の手洗いでも、99%のウイルスは、流してしまうことができます。


しかし、この1%というのも、なかなかバカにはできません。


1度くしゃみを手で直接受けてしまった時に、手に付着するウイルスの数はおよそ10万個だと言われています。


その99%を洗い流しても、約1000個のウイルスが手に残ってしまいます。


確率上は、たった1個のウイルスが体内に入ったとして、そこから感染する可能性は全く無いとは言い切れません。


しかし、それはとてつもなく低い確率です。


前回述べたように、ウイルスは自分の意志で動くことができませんから、体内に入った後も、流されるままに漂うだけです。


そして、そのままどの細胞にくっついても感染にもっていけるのかというとそうではなくて、ウイルスによって、この細胞のこの部分にならくっつける、というレセプター(受容体)が決まっています。


流されたまま漂った結果、たまたまそのレセプターの位置にくっつく、そういうかなり低い確率の出来事が起こらない限り、感染には至りません。


しかし、そこはスマホのソーシャルゲームのガチャと同じで、どんなに低い確率であっても、回しまくればいつかは当たるんです。


ですから、私たちはなるべくウイルスに感染ガチャを回させないことが肝心です。


1個のウイルスが入っただけでは、感染する確率はほぼ皆無だったとしても、侵入したウイルスの数が、100個、10000個、1000000個と、増えていくごとに、感染の確率は格段に上がります。


1個のウイルスの侵入も許さない方法は、今のところまずありません。


ですから、なるべくその数を減らすことが大事なのです。


その意味では、流水手洗いも、大きな意味を持ちます。


しかし、先ほども言ったように、咳やくしゃみを直接手で受けてしまった場合や、鼻をかんだ時に誤って鼻水が手に付いてしまった時などは、手に付着していると考えられるウイルスの数が多いので、石鹸を使って手を洗った方が良いと言えるでしょう。


また、排せつ物には多くのウイルスが含まれています。


ウイルスは一度個体への感染を完了してしまうと、次は他の個体に感染を広げるため、ありとあらゆる方法で、今度は身体から出ようとします。


排せつ物の中に侵入するのも、その方法の内の大きな1つです。


また、ウイルスは実はトイレットペーパーをすり抜けてしまいます(知りたくなかった事実ですよね)。


ですから、トイレの後も、石鹸で手を洗った方が良いと言えます。


そして、そのような場合ではなく、ただ何か物に触れてしまって気になるという程度なら、流水手洗いで十分なのです。


また、この流水手洗いなら、手の常在菌や皮膚へのダメージも少ないですから、気にせず頻繁に行うことができます。


なのでむしろこの流水手洗いの数を普段より増やし、石鹸を用いた手洗いを、上記したような、調理・食事前、咳・くしゃみの飛沫や鼻水が手に付いた時、トイレの後だけに絞ることで、手の皮膚も守りつつ、感染も予防できて、良いのではないかと考えます。


さて、流水手洗いをするタイミングの基準ですが、例えば帰宅時や出社時などの、屋外活動から屋内活動に移る際には、必ず流水手洗いをすると良いでしょう。


また、この時には同時にうがいもした方が良いです。


またこのうがいも、やりすぎると喉が炎症を起こす原因になり、のどが炎症を起こすと感染リスクが高まりますので、あまりにもやりすぎることは逆効果です。


屋外から屋内に移る時、また、食事の前くらいに絞った方が良いでしょう。


飛沫や鼻水が付いた後の手洗いや、トイレ後の手洗いの際には、うがいをすることはむしろおすすめできません。


また、公共交通機関を利用する直前直後や、多くの人々が触る可能性があるものを触った後なども、流水手洗いをした方が良いタイミングと言えます。


こまめな流水手洗いと、必要時の正しい石鹸手洗いの励行で、新型コロナウイルスから、自分と周りの人の身体を守りましょう!


次回は、「武漢で最初に新型コロナウイルスが発生した時、どう対処していれば良かったのか?」についてお話します。

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