感染症対策マニアが、新型コロナについて雑に語る② 「そもそもウイルスって何?」
そもそも、ウイルスって何だ?
さて、今日はウイルスというものの基礎知識について、ごくごく簡単に説明していきます。
前回もお話ししましたが、私は専門家ではなくただのマニアなので、正確さよりも分かりやすさ重視でいきます。
その点、ご了承くださいませ。
そもそも、私が感染症対策マニアになってきっかけは、奈良県天理市にある百母屋という所で、医療機器メーカー勤務の細菌学者の方と、一か月共同生活をさせてもらった経験にさかのぼります。
その時、「細菌やウイルスの世界ってこんなに面白いんだよ!」と、嬉々として語ってくださるその方の話に、私もすっかり呑まれてしまったわけです。
そうです、細菌やウイルスの世界って面白いんです。
そもそも、ウイルスって何か?
さっそく、分かりやすさ重視で全然正確ではない表現をしますが、ウイルスとは、「遺伝子だけの存在」だと思ってもらえたら結構です。
遺伝子と言えば、人間にもその他の動物にもある、身体や機能の設計図のようなものであり、親から子へ受け継がれたり、コピーされたりしていくアレですね。
ウイルスには、基本的にはこの遺伝子とそれを包む殻くらいしかありません。
そもそも、ウイルスにはまず細胞がありません。
「は?細胞がなければ、生きていけないじゃん」って、思いますよね?
その通りなんです。
ウイルスは、ウイルス単体では生きていけません。
生きていくために必要な「エネルギー」を自分で作ることもできませんし、自力だけで増殖することもできません。
なので、自力で生きていける「生物」に寄生するわけです。
別の生物の細胞の中に入って、その生物の細胞からエネルギーをもらい、その細胞が元々持っていた、たんぱく質を合成する働きを勝手に使って、増殖していく、そんな存在です。
これだけ新型コロナウイルスの脅威にさらされていると、ウイルスというのが意志を持って能動的に「ゲッヘッヘ。感染してやるぜー」と人間を襲っているようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ウイルスには自分の身体を動かす機能すら備わっていませんから、自分を感染させていく働きすら、自分では持っていません。
それすら寄生した生物の働きに依存しています。
自分自身では何もできない、遺伝子しか持っていない存在、それがウイルスです。
しかも唯一の持ち物である遺伝子も、例えばヒトなら現在の研究段階では、約2万5千ほどの遺伝子を持っていると考えられていますが、対してウイルスが持つ遺伝子の数は3~100だと言われています。
遺伝子の数が少ないと、それだけできることも少ないんです。
本当にちっぽけな存在、それがウイルスです。
「え?じゃあ、なんでそんなちっぽけなウイルスに、人類はここまでしてやられているの?」
って、思うでしょう?
それは、ウイルスにもウイルスなりの、生存戦略があるからです。
ウイルスに唯一できること、それは、寄生した生物の遺伝子に、自分の遺伝子を入れることです(もちろんそれすら能動的にではない場合が多いですが)。
そうして、その生物の細胞が本来持っていた働きを、ウイルスに都合の良いように書き換えてしまいます。
簡単に言うと、寄生した生物の細胞を、乗っ取ってしまうことができるわけです。
乗っ取られた細胞は、普段とは違う挙動を始めます。
ウイルスにエネルギーを渡してしまい、その増殖を手伝い、最後には細胞膜を破って自死して、大量に殖えたウイルスを外に放出してしまいます。
そうやってどんどん他の細胞の中にもウイルスが侵入します。
その内に、一つ一つの細胞だけでなく、その細胞を持つ生物個体自身が、普段とは違う挙動をするようになります。
例えば、咳をする、くしゃみをする、鼻水が出る、などです。
これらは元々は、生物が自分の身体から菌やウイルスを追い出す為の免疫反応だったんでしょうが、ウイルスは逆にそれを利用して、既に感染し尽くした身体から外に出て、更に他の個体へと感染を広げていきます。
ウイルスって、恐ろしいやつですね。
もちろん、ウイルスの全てがこうした病気を引き起こすわけではありません。
逆に、生物にとって有益な働きをすることで、いつまでもその身体に居させてもらい、ウイルス自身の増殖を助けてもらう、共生関係を築くウイルスもあります。
病気も起こさず、有益な働きもせず、ただ増殖するスピードを緩めることで、生物に気付かれないように勝手に寄生して生きているようなウイルスもあります。
ウイルスにも色んな種類があって、それぞれがそれぞれのやり方で、増殖を目指しているわけです。
じゃあそもそも、ウイルスはなんで増殖することを目指しているの?
という質問には、また次回で答えます。
ネクストコナンズヒントは「利己的な遺伝子」です。
ではまた明日。