老人パラダイス☀️フロリダ

ミシガン州の冬は長い。10月の中頃から雪がちらつき始め4月になって暖かい日が来ても次の日は寒くなるかも知れないので油断ならない。氷点下が当たり前で積もった雪は次第に汚れた塊と化し殆どの州がそうだが車社会のミシガン州では冬の移動は危険極まりないが慣れている住民はかなりの速度で走って行く。

ロックンロールとテクノとジャズ、アーティストだのバンドマンだのDJだのと名乗る若者と夢を追いかけ続ける中年とカジノのあるグリークタウン、メキシカンタウン、郊外に行けば東南アジア系のお店の連なる地域、アメリカ最大のムスリムの街、何故かインド人とポーランド移民が混じる街、黒人も勿論たくさん住んでいて彼らしか立ち入らない地域も多いカラフルなデトロイト。そこから車で1時間程の森の中に佇む大学都市のアナーバー。小金持とお金持ちの子供が多く通う大学は文化的で先進的だ。

はっきり言って広すぎて海にしか見えない大きな湖に囲まれ、川を挟んで橋を渡ればお隣のカナダ。都市部を除いて森と大小の湖だらけの自然豊かなミシガン州。色々な種類のメープルが紅葉する秋の風景は美しい。

デトロイトもアナーバーもかなりヒップスターな若者の街で50代になっても夜の街に繰り出すロックンロール人生を送る人たちを除いてあまり老人を見かけない。アナーバーでは教授だとか品の良い老人はたまに見かけるけど。

長い冬の間、老人の外出は危険だし実は猛暑な夏も危険だ。そんな事もありあまり見かけないと思っていた。

14年暮らしたデトロイトを後に一変、南のフロリダに引っ越してみて驚いた。アメリカでは定年後、フロリダ、アリゾナ、メキシコなど中米の国への移住は一般的だと知識としては知っていたが実際にフロリダに来てみるとそこは老人天国であった。

地域にもよるとは思うけど私の引っ越した海岸沿いの緑の豊かな静かな街は55歳以上が人口のほとんどを占めるリタイヤメントタウンで私は若者ではないけれど全然若い方で、ビキニを着たり肌を露出し人生を謳歌している老人が主役!元気!な光景を初めて目にした私はちょっとカルチャーショックを受けた。2年目の今は慣れてきたのでそうでも無いが最初の頃は何となく目立たないようにひっそりとしていないといけないような気がしていた。

高齢化の進む日本でもこういう光景を見るようになるのだろうか。若者も元気だが俺らが主役!バーに繰り出し友人たちとパーティーに明け暮れ人生を謳歌しまくっている彼らはとても眩しく、逞しい。

夏の間は暑すぎるフロリダを離れ北の方の涼しくて閑静なサマーハウスに移動し、寒くなってくると暖かいフロリダに戻ってくる渡鳥のような彼らをフロリダの人はスノーバードと呼ぶ。50代は若造で70代でも元気溌剌。コロナにも負けず自転車を乗り回しボートで海に繰り出す彼ら。

タフなアメリカを支えてきた彼らは定年後もやっぱりタフで、元気に自由を謳歌している。


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