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ワンピース×考察:ルフィの説得のされ方を”精緻化見込みモデル”で考える【Ep25】

こんにちは、ひとかどさんです。
前回の”精緻化見込みモデル”はいかがでしたか?
今回は、このアイディアをより深く理解するために、漫画『ONE PIECE』から「ルフィの説得のされ方2パターン」を紹介したいと思います。

前回の振り返り

説得のされ方は、「動機」「処理アプローチ」という2つの要素から2パターンに分類され、1つは「周辺ルート」と呼ばれ、説得の持続性は低く(意見が変わりやすい)、もう一つは「中心ルート」と呼ばれ、説得の持続性が高い(意見が変わりにくい)というものでした。

ルフィの説得のされ方パターン1:「ジャヤ舵いっぱ〜い」のシーン

冒険の途中、空島へ行くための情報を集めようと「ジャヤ」という島へ立ち寄ろうとしたルフィ一行
その時の航海の方法で、意見がコロコロ変わるルフィは、まさに「周辺ルート」で説得されていたと言えるでしょう。
この場合、「動機(その話への興味や、聞く時間があるか)」はそれなりにあったようですが、いかんせん「処理アプローチ」が低すぎたのです。
つまり、表面的な情報から物事を判断していたことになります。

ジャヤ舵いィっぱ〜〜い!!!ジャヤ速前進〜!!!(ルフィ)

はっ!!おい!!ちょっと待てよ…このままそのジャヤって場所へ行くとしたら、そこでまた”記録(ログ)”は書き換えられちまうんじゃねェか?つまり、”空島”へは行けなくなる(ウソップ)
※『ONE PIECE』の”偉大なる航路(グランドライン)”では、”記録指針(ログポース)”の針が示す先に島があり、”記録(ログ)”を辿って、冒険をしています

ジャヤ舵やめだ〜〜!!!おいナミ!!こりゃどういう事だ(ルフィ)

何よ、ジャヤへ行くってあんたが決めたのよ?(ナミ)

あっ、ホントだ…でもこうなるとは思わねェじゃねェか!!(ルフィ)

思わない方が悪いんじゃない。”記録指針(ログポース)”って始めからずっとこういうものよね(ナミ)

あっ、ホントだ。よーし!!よく聞けよ、おれは船長だからおれが進路を決めるぞ!!!おれは”空島”へ行きてェんだ!!!(ルフィ)

ええ、いいわ。どうやって?(ナミ)

そりゃ人に聞くのが一番(ウソップ)

そうだな、ジャヤで聞いてみよう。よーし、ジャヤ舵いっぱーい!!(ルフィ)

まて、一緒じゃねェかァ!!!(ウソップ)

巻二十四 第222話“大型ルーキー”

ウソップとナミとの間で行われる会話から、コロコロ意見が変わるルフィは、相手の話を表面的にしか受け取っておらず(低い処理アプローチ)、「周辺ルート」を通って説得されている好例かと思います。

ルフィの説得のされ方パターン2:「うん、ごめん!おれ間違ってた」のシーン

一方で、ルフィが「中心ルート」で説得された事例、それが、ドラム王国上陸時です。
ナミが高熱を出し、近くの島に上陸することにしたルフィ一行。
しかし、上陸に際し、海賊であるルフィ達は、国民から銃を向けられ上陸を阻まれます
その際、国民が打った銃弾がビビの腕をかすめたことで、国民に対する怒りを露わにしたルフィに対して「戦わない」ことを説得することを試みるビビ
この時のルフィは、「動機」も「処理アプローチ」も高かった、つまり、ビビの言葉を、深く理解し、自分の中に落とし込んでいたと考えられます。

おれ達、医者を探しに来たんだ!!(ルフィ)

ここは我々の国だ!!海賊など上陸させてたまるか!!さァ、すぐに錨を上げて出てゆけ!!さもなくば、その船ごと吹き飛ばすぞ!!(ドラム王国の国民)

ー銃弾がビビの腕をかすめるー

ビビ!!お前らあ!!!(ルフィ)

ちょっと待って!!戦えばいいってもんじゃないわ!!傷なら平気、腕をかすっただけよ!!(ビビ)

だったら…上陸はしませんから…医師を呼んで頂けませんか!!仲間は重病で苦しんでます、助けてください!!(ビビ)
※ドラム王国の国民に向かって土下座し、頭を下げるビビ

ビビ…!!(ルフィ)

あなたは…船長失格よ、ルフィ。無茶をすれば全てが片付くとは限らない…!!このケンカを買ったら…ナミさんはどうなるの?(ビビ)

…うん、ごめん!!!おれ、間違ってた!!!
医者を呼んでください、仲間を助けてください(ルフィ)
※ビビと同じく、土下座して頭を下げるルフィ

巻十五 第132話“ね”

この時のビビの説得効果が持続的だったことは、その後、女人国「アマゾン・リリー」にて、ルフィがマーガレットを助けた際に証明されています。

こいつら、おれを庇ってくれただけだ、何も悪くねェ!!(ルフィ)

確かに、その石化はわらわなら自在に解ける
しかし、そなた船で行きたい場所があると言っておったな
聞ける望みは一つじゃ…!!
その者達の石化を解くか、そなたがこの島から出る事をとるか!!
どちらか一つを選び、一つを切り捨てよ!!(ボア・ハンコック)

そうか!!ありがとう!!じゃ、こいつら助けてくれるんだな!!
どうもありがとう!!(ルフィ)

……!!(ボア・ハンコック)

…一切の迷いなし
あれ程の覇気を有する男が…恩人の為に頭を下げるか…(ニョン婆)

巻五十三 第521話“天駆ける竜の蹄”

相手と揉めることは短絡的な方法であって、世の中、まさに「無茶をすれば全てが片付くとは限らない」のですよね。
ウィスキーピークからアラバスタまでの短い航海ではありましたが、ルフィはビビから学ぶことは多かったことでしょう。

【参考資料】
『ONE PIECE』巻十五 “まっすぐ!!!”
『ONE PIECE』巻二十四 “人の夢”
『ONE PIECE』巻五十三 “王の資質”

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#心理学

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