PC上での動画の長期保存について

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動画の保存方針

このようにしてPC上で保存する動画は、もちろん貴重なものです。少なくとも自分にとっては。従って、これが何らかの事故により失われることは、少なくとも自分が生きている間くらいは、可能な限りは避けたいものです。

まず大前提として、PCを使用する場合の常識として、僕らのPCのディスクに記録したファイルは、何らかの障害で不意に読めなくなる可能性があることはみなさま理解されていると思います。

そして少なくとも動画ファイル群をWindows PCの「Cドライブ」の下に置いておくなどというのは色々な意味でたぶん論外ですので、すぐ止めましょう。

それはいつハードディスクが壊れて泣く羽目になっても不思議がありませんし、たとえ障害が何もなくても数年後にでもPCを買い替えるだけで、すぐ困ることになります。

基本的には、何らかの外部ストレージを利用して、PCを乗り換えてもそのまま使い続けられる方針を決めて、環境を自宅に構築すべきです。
これはPCの一般運用として皆様が好みとご予算の範囲で好きにやってもらっていい話なのですが、ここでは自分が採用している方法を、その理由とともに書き留めておくことにいたします。

バックアップについて

大前提として、PCを使用する場合の常識として、僕らのPCのディスクに記録したファイルは、何かの障害で不意に読めなくなる可能性があります。

これに備えるための基本的な手段は「バックアップ」に尽きるわけなのですが、筆者はここで述べているような動画の保存については、バックアップ作業に頼る運用には否定的です。主な理由は次の通りです。

・動画ファイルは1ファイルでもギガ単位であり、最終的にはテラ単位のファイルを自分で管理する必要があります。
・自分で試せば分かりますがファイル1個のコピーだけでも何十秒かはかかり、テラ単位の分量になれば軽く何時間もかかります。
・これを都度「バックアップ」するのはとても時間と手間のかかる作業です。
・少なくとも「手作業で何か月かに1回自分で行う」のは不可能でしょう。
・あるいは自分でバッチをプログラムして、複数の独立したHDDに対してコピーを行うようなシステム構築も可能かもしれませんが、そんな面倒なことはやりません。
・そして定期バックアップでは、次のバックアップまでにHDDが壊れてしまった場合、それまでそこで保存していた部分は失われてしまいます。
・基本的には、自分でファイルを作ったら、それを同時にただちにどこかに保管しておくという作業をルーチンとして組み込む必要があると思います。

NASのRAID-1について

上記の理由から、自分は膨大な動画の蓄積としては「バックアップ」には頼らずに、ストレージとして購入しているNASの基本機能のRAID-1により二重化しています。これは複数のHDDに自動でコピーしているようなものなので、PCからは1台のHDDに保存するのと同様に扱え、何も悩む必要はありません。単純なディスクエラー程度であれば大丈夫だろうと考えています。

もちろん二重化してあるディスクの片方がエラーを出したら即座にそのディスクは交換すべき話で、そのまま使い続けることは厳禁です。幸いにしてこれまでNASを何年も使い続けている限り、まだエラーには遭遇していないのですが。

ここまでを読んで「RAID-1はバックアップではありませんが…」とか言いたくなる方はここで読むのを止めていただいても結構です。自分はあくまで、現状の手間とコストと利便性に見合う範囲で、より最善の運用方法を模索している次第です。

NASのRAID-1は同じ筐体に2台のディスクを入れているので震災時などにいっぺんに壊れる可能性もありますしドリルには無力なのは理解しています。ただまあ、そこまで考えても仕方ないし、少なくともVHSテープやDVD-RAMディスクのままで保存しておくよりは相当にマシだろうと考えているのが自分の基本的な理念です。

VHSテープやDVD-RAMディスクのまま保存しておくのは、文字通りの意味で「いつ読めなくなってしまって映像が永久に失われるか分からない」状況であるからであり、せめてそれを何とかしたいというのがこのマガジンで伝えたい一番の主旨です。

NASの値段と番組の保管コスト

基本的には「NASを購入してRAID-1の設定のまま使用してくださいね」で終了する話なのですが、数万円はする買い物なので、保管のためのコストについて、ここで具体的な数字をあげておきたいと思います。

まず基礎データとして、DVD-RAMの1枚(片面)は4.7GBのデータを入れられます。RDの場合、SPモード(ビットレート4.6)で2時間を録画してだいたいそれで一杯になります。

当時のRDユーザーには30分番組をCMカットをして片面に5話入れたり、そのうえさらにビットレートを落として片面に13話を入れたりして今はそれを後悔している方も普通にいる(笑)と思われるのですが、話を簡単にするためにここではSPモードで1枚に4話入れているものとします。

従って、30分番組の1話あたりの最大データ量は1.2GB。
1クール13話の場合には15.6GB、4クール52話の場合には62.4GBになります。これは最大値の話です。

次にストレージであるNASは、いまは容量どれだけのものが、いくらくらいで売られているものなのでしょうか。これはヨドバシなどのページで探せばすぐ分かります。変動要素もありますがストレージの常として、新しくなるほど大容量になり安価になります。またコストはディスク以外の部分にも大きく依存するので、基本的には大容量のものほどお得です。

たとえば自分が一番多くの台数を購入したバッファローの2018年10月発売のこの製品は8TBで6万円くらいですし、これからはコレを買おうと思っているバッファローの2020年12月発売のこの製品は16TBで12万円くらいです(2021年6月時点)。

話を簡単にするためにここでは「8TBで6万円」とし、さらにRAID-1なので実質容量はその半分の「4TBで6万円」と考えます。

1024を1Kと見做したりディスクの管理領域の話などがあるので厳密な数字ではありませんが、そこまで細かい数字を見る意味はありません。どのみちこれは僕らがギガ単位でファイルを追加し、テラ単位のNASを増設する際の話です。

以上の「1クールで15.6GB」「4TBで6万円」という2つの数字を割り算・掛け算することで、1クールの番組をNASに保管するコスト規模は単純に求められます。
すなわち「1TB(1024GB)で1.5万円」であることから「1GBは15円」くらいですから、ざっくり言うと

・1クール13話の30分番組を丸ごと保存して250円
・4クールの30分番組を丸ごと保存して1000円

という数字が出ます。これは最大見積もりであり、これより少ない可能性もありますが、いずれにせよこれはとても安いという結論になるのではないでしょうか。これは当時のVHSテープやDVD-RAMの生メディアの値段よりも安いし、何よりもこれは単なるレンタル料金などでなく、自分のPC環境で今後も半永久的にアクセスしていつでも再生できる(もちろん私的利用の範囲で)ことを含んでいるのですから。

まあ、そう思えたからこそ、自分は「これは割に合う」と思ったので8テラ6万円のNASを導入して過去のVHSやDVD-RAMをどしどしPCに保管することにしたわけですが。
さらに言えば、これを「高い」と感じるようであれば、もうこの記事を読む意味もないと思われますので、ここで「さようなら」という感じです。

とりあえずNASを購入して手持ちのVHSテープやDVD-RAMの保存を始めることは、ただちに始めるべきだと思います。レッツトライ。

(次の記事)DRMの話-あとがきにかえて









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