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衣装作ってます2023 (3)そしてデザインは完成した

<前回のあらすじ>
衣装の問題点を解決しながらエッセンスを活かす。試行錯誤しながら考えたところ、結果的に良さそうなデザインに落ち着いてきた。

ラフスケッチを描きながら詰めていく。

帯にあった装飾を上着に移すことで、結果的にシンプルでかわいいデザインに落ち着いた。残るは、そのについて。


牛心。「マント留め具はこれでいいと思う。あとは、そうなってくると帯がシンプルすぎる感じなってしまうね」
あしめ「そうですね」
牛「それでちょっと考えたんだけど、帯にラインを1本入れるのはどうだろうかと」

なにかしらラインを入れようという提案。

牛「何色が良いかはイメージついてないんだけど」
あ「ラインいいですね」

俯瞰して少し考える。
全体像を眺めて、この衣装はとても洋風だなぁと感じながら・・・・・


牛「この装飾具、軍人みたいになるのよね?」
あ「そうですね」
牛「闘う巫女再びだ、2010年はそういう裏テーマがあったような気がする」


片袖の攻めた衣装、「なんとなく格ゲーっぽいよね」てなったやつ。

戦う巫女、当時は僕らは何と戦ってたんだろう笑
けど女性のチームだから”おしとやかに”とか”かわいい”とかだけじゃない雰囲気にしたかったんだと思う。攻めてるチームを目指してたのだろうか、あんまり覚えてない。


牛「なんかさ、コロナの期間もそうだったけど、今年踊り子さんがよさこい祭りに出るって決めたとすると、色々なものと戦わなきゃいけないじゃない?まだ周りには祭り開催自体に否定的な人もいるし、職場が子どもや老人や、病人を相手にしてるとマスクもつけなきゃいけないだろうし」
(※まだ2月頃で雰囲気は暗かった)
あ「そうですね」
牛「僕らは何と戦っているんだろうって考えてみると、いま一番のモンスターは『世間』だと思うんだよね。SNSがなかった頃はイタズラして怒られても、”世間”からリンチを喰らうようなことはあんまり無かったんだよね。だけど今は、すごくカジュアルに私刑にあってしまうし、デジタルタトゥーになって、もう永遠に掘り起こされて傷付けられることになる。それって魔女狩りみたいなもんだと思うんだよね。弱い者いじめの習性というか」

だいたい僕が喋ってる。←いつものこと

喋りながら『魔女狩り』という言葉が口をついて出た。

牛「そういうストーリーと考えると、この肩の黒レースは使い魔を乗っけてるみたいに見えないかな」

見えなくもないが・・・・牛さんの妄想は続く。


牛「今回の衣装って洋風のイメージを押したいわけだから、ストーリー性も西洋のモチーフでありたいと思ってて。スカートのデザインもブルガリアとか中央ヨーロッパの伝統衣装みたいになってるじゃない?」
あ「そうですね」
牛「それでさ、うちらは東洋の、日本の巫女じゃない。巫女ってシャーマニズム(自然崇拝)とか、イタコ(降霊術)の文化を受け継いできて、言い方は語弊あるけど『日本の魔女』なんだよね。そこが西洋と東洋につながるんじゃないかと思って」
あ「そこをつなげますか笑」


俺めっちゃ喋るんや。


牛「魔女の性質って血で伝染すると言われて。魔女の宅急便も『魔女は血で飛ぶ』ってセリフがあるけど、そういう言い伝えが実際にあったのよね。だから魔女狩りの時代、子どもや親類、交わった男性もまとめて焼かれたっていう歴史があって。日本でも血縁は重視されるじゃない・・・・・だから、僕は帯の紐は赤色にして、編み上げの部分がDNAの二重らせん構造の暗喩、それが繋がってるようなラインが前に出てるってのが、イメージにあうんじゃないかな・・・・コルセットスカートの紐にストーリー性をつけるというか・・・・・」

めっちゃ喋る、終わり。
あしめ氏、僕の妄想は一旦スルーして、


あ「帯にラインはいいですね」
牛「必要だよねきっと。あしめ氏の良いと思う色の紐とラインになればいいと思う」

こういうディスカッションを経て「じゃあ、そういう感じでデザイン絵を描いてください」とお願いして、デザインは完成したのでした。

あしめ氏のデザイン絵。
パーツ、スカートと帯。
パーツ、上着のレースと装飾具。


帯のラインは金色が良いということで、金の紐がコルセットスカートから伸びて前まで伸びているようなラインに。コルセットの紐がつながってるイメージに。
元のアイデアとは少し違ったデザインになったけど、求めている方向性が定まり、よりソリッドな衣装になった。


装飾部分をどうやって装着するのか、コスセットスカートをどうすればちゃんと”コルセット”に見せることができるのか。クリアすべき問題はあるものの、デザインは出来上がった。

こうして出来上がったデザインをドリームカンパニーさんに持っていくことになったのだが、そこで告げられる”現実”とは・・・・・

<つづく>


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