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おうち性教育はじめます 〜読書感想文〜

性教育はいつから・・・?

性教育は幼児期からやった方がいいらしい ーー

最近よく聞くが、具体的に何を教えればいいのかわからない人が大半だと思う。
私もどうしたらいいのか全く知らなかったし、小学校に上がってからでいいかと何となく先延ばしにしていた。

そんな時、私が所属している子育ての学びのグループ(と言っても緩やかな集まりで、皆で同じ本を読みながら子育ての悩みを共有し合うだけなのだが)の中でも「小学校に上がる前に伝えるべきことがあるのでは?」と今年1月頃話題になった。

その後は性教育講座にも誘われた。ちょうど自粛の時期だったのでzoomで配信されることとなり、参加もしやすい状況ではあったのだが、あれこれ理由をつけて参加しなかった。

というのも、講師をされている方は子育てについての本を出していらっしゃる外国の方(国籍はわからず)で、以前著書を拝読したのだが私の子育ての感覚と合わない部分があり、性教育においてもまた違和感を感じるのでは…と思ってしまったのだ。
(初回のネントレの記事でも書いたが、育児本が好きで多く読んでいるが、違和感に出合うこともしばしばである)

それ以降、頭の片隅にはあったものの具体的な勉強もせずに過ごしていたら、絵本の定期便でお世話になっている童話館からの便りの中に性教育の特集があった。これは!と思い、早速紹介されていた本を注文してみた。

「おうち性教育はじめます」

一見ボリュームが多いのかと思いきや、全編マンガなので性教育初心者には大変読みやすくわかりやすい。全く知識のない人の入門書としては最適な本である。

子どもの幸せを守るための教育

一番初めに、「おうち性教育=子どもの幸せを守るための教育です」とあった。全て読み終わって思うのは、これが全てということだ。

「性教育」というと、中学生の頃保健体育で男女の体の仕組みと受精の仕方を学び、女子だけ集められてナプキンの使い方やブラは派手なものを着ないことなどをこっそり学んだくらいしか私の記憶にはない。中学生で学ぶ内容ですらそれくらいだが、本書では中学で学ぶ内容はもちろん、「それよりも前のこと」、そして「それよりも後のこと」までも幼児にもわかりやすく説明する方法が書かれている。早速ではあるが、それぞれの内容と私が既に実践したことを紹介したい。

それよりも前のこと

ざっくりと「それよりも前のこと」と書いた。これはどういう意味かというと、
自分を大事にする方法と、自分の周りの人(家族・友人・好意を持った異性)を大事にする方法だ。
幼児期から性教育をした方が良いとされる理由はここにある。

本書ではそれをプライベートパーツとして説明している。
人が勝手に触ったり見たり、人に見せたり触らせたりしてはいけない部分をプライベートパーツと言い、それらは大切だから、他人が触ったり見ようとしたら「嫌だ!」と逃げていい。

プライベートパーツ : 口・胸・お尻・性器
  →人が触ったり見たりしようとしたら逃げる
  →人に見せない、触らせない

それは親でも、ふざけてお尻を触ったりするのは良くないそうだ。
相手がふざけていたり楽しそうだったら、本当は嫌でも「嫌だ」と言ってはいけないんだと思ってしまうからだ。

また、これはママの胸を触るくせのある幼児にも「おっぱいはプライベートパーツだから触らないよ。」と伝えてよいという。

この部分を読んで私自身も行動を改めたし、息子がふざけて私のプライベートパーツを触ってきた時に説明をした。
4歳でも案外あっさりと理解し、それ以降プライベートパーツを触ろうとすることはなくなった。

さらにもっと良い変化があった。
男児が集まるとありがちな、「ちんちん!」「おっぱい!」「ギャハハハハ!」の大合唱にほぼ参加しなくなったのだ。

幼稚園に入った頃が一番酷かったが、ブームが過ぎて頻度はかなり減ってはいた。
しかしそれ以降も、お友達が言っていると一緒に吊られて言ってしまっていた。

そこで
「ちんちんやおしり、おっぱいのように、外で人に見せないプライベートパーツの名前を言うと、嫌な気持ちになる人がいるから、外で言うのはやめようね」
と説明してみた。息子も多少の後ろめたさがあったのだろうか、これ以降すっかり言わなくなった。

つい先週は、外で水鉄砲で遊ぶ際に、芝生のシートの上で息子を水着に着替えさせようとしたら、
「おしりとおちんちんがみんなに見えちゃうからダメだね」
と言って、自らテントに入って1人で着替えていた。物凄い進歩である。4歳でもちゃんと理解して、自分を守る術を身につけてくれていた。

中学で学ぶ保健体育の内容

さて次は、私が中学で学んだような男女の体の違いについてだ。これについても詳しい記載がある。

幸いにも我が家は長男が年少の時に次男が生まれているため、私のお腹が大きくなったこと、おしり付近から生まれたことは長男なりに理解していたようだ。しかし私はリアルタイムでは上手く説明できていなかったように思う。

だが最近ちょうどよいタイミングがあった。
産後1年1ヶ月で私の生理が再開したのだ。妊娠期間も含めると約2年近く止まっていたわけだから、1ヶ月に1回お風呂で私が多少の血を流していたことを4歳の息子が覚えているはずもない。

案の定、私がお風呂で血を流しているのを見た長男がびっくりして「ママ!血!大丈夫!?」と言ってきた。

これはチャンス!と思い、覚えたての説明法で伝えてみた。息子は真剣な顔で、「うん、そうなんだ、へえ」と聞いてくれて息子なりに理解した様子だった。
腰痛や倦怠感などの生理痛もあったのだが、「ママは血が出てるから痛いんだね!」と自分で理解していた。

これ以外はまだ説明のタイミングがないが、下記のような、誰にも聞けないけれど間違うと一生心の傷を残しかねない事項について対応方法が記載されている。

・女の子が初経の時の父親の対応
・精通の時の親の対応
・異性の親はお風呂にいつまで一緒に入っていいのか  etc.

これを読んで、「私の父もこのような本で勉強しててくれればなあ…」と心から思った。(父の話はまた後で)

それよりも後のこと

こちらもざっくりと書いたが、つまりはセックスのことである。
4歳の息子はまだこの範囲の質問はしてきていない。どうして赤ちゃんが生まれるの?と言う質問もなかった。
行為の方法の質問も今後あるかもしれないが、愛に基づいていること、「赤ちゃんが欲しいな」と好きな人と自分が思った時にすることをきちんと伝えていきたいと思う。
しかしある程度子どもが大きくなると、同性の親が説明する方が良いそうだ。
私の出番はないかもしれないので、夫にこの本を読んでもらおうと、トイレにそっと置いてみている。

SOGIやジェンダー

最後にLGBT(最近ではSOGIという言葉を使うそうだ)やジェンダーについても、詳しい記載がある。幼児に説明するのには難しいかもしれないが、親が理解していないと不用意に自分の偏った価値観を押し付けかねないので、知っておくことが重要であると感じた。

女子高出身の私のSOGI観・ジェンダー観

ここで私のSOGIに対する感覚の話をしたいと思う。
私は地方の女子高出身で、学区の中では進学校であった。女子だけの高校生活だったが、いじめもなく、中学で学級委員をしていたような女子ばかりが集まる中で楽しく生活していた。

女子高特有なのか、恋愛対象が女子である友人もいた。普通に付き合っていることを公言している先輩もいたし、「女子を好きな人もいるよな」くらいの感覚であった。

女子の彼氏・彼女(本人の性や感覚によって、パートナーの呼び方が違うことがあったのでこのように記載している)がいても普通にみんな友達だし、誰もその事実に嫌悪感を抱かない場所で多感な時期を過ごしていたおかげか、自分とは違うけれど、多様な愛があるよな〜という感覚が知らぬ間についていた。

ジェンダーの感覚については、自分の中で強いジェンダーイメージが根付いている部分があり、度々それが自己嫌悪の原因となっているので、できるだけ緩やかでありたいと意識している。この点においては、私が知識を増やして考えを改めていきたい部分である。

息子のジェンダーイメージの変化

息子は2歳の頃「ピンクと赤が好き」と言っていた。意識的に「いいね〜良い色だよね〜」とだけ言い、否定の言葉は一切かけなかった。しかし幼稚園に入ってから、息子が言う言葉が変わってきた。

「ピンクは女の子の色だから、青にする。」
「幼稚園ではおままごとは女の子のおもちゃなんだよ。だから男の子は遊べないの。」

園でジェンダーイメージに関わるような発言を先生やお友達がしているのだろうか。
こういうことを言われる度に、
「男の子がピンクを好きでもいいんだよ。」
「おままごとを男の子がやってもいいんだよ。お店でお料理している人は男の人も女の人もいるでしょう?」

と説明している。地道な説明や、親の些細な態度の積み重ねが大事だと本書を読んで感じたので、これからも向き合っていきたいと思う。

改めて性教育とは

「性教育」というと、「汚らわしい」「伝えづらい」と思いがちであるが、「自分と、自分とは異なる他人と、幸せに生きるための教育」という広い意味の性教育を本書によって知ることができた。そして子どもに教えるためには親が正しい知識と態度を示す必要がある。
学校はそういった面において制度や教育がすぐに変わるとは到底思えないし、我が家の場合は海外赴任で日本にいない期間もある。私と夫が教えていく分野であることは明白だ。

4歳の今は息子自身がお友達と楽しく生活するために、そして犯罪に巻き込まれないために、さらに将来は女性を傷つけないために、男児の母として責任を持って継続して性教育をしていきたいと思う。

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