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ロケットペンダントに入れる写真を考える

小学生の頃、写真が入れられるロケットペンダントが流行ったことがある。


写真を入れて、胸からぶら下げると言うペンダントは、鍵付き日記帳と同じように、ちょっと大人で秘密の香りプンプンで、とっても魅力的だった。

欲しくて、近所に1軒だけある、可愛いものを売っているお店に行っては、眺めて楽しんでいた。


でも、フト思った。

ロケットペンダントの中に誰の写真を入れるのだろう?


同級生は好きな人の写真を入れるのだと言って、写真選びをしていた。

選ぶと言っても集合写真のようなものしかないので、新しく撮るためにはどうすれば良いのだろうか?など考えていた。


わたしはと言えば。。。祖母の写真を入れようか?両親の写真にしようか?

それよりも、好きな人を作らなければいけないのではないか?

など、ペンダントを買う前に、入れる写真を考えることとなった。


数日後、入れる写真がないんだから、ロケットペンダントなんて必要ないんじゃない?と気がついた。

そして、ス~っとロケットぺンダント熱は冷めてしまった。


友達が購入して写真を入れて、キャーキャー言って騒いでいるのを見ても、わたしには関係ないことだと思っていた。

でも、心の底には、「羨ましい」気持ちと、キャーキャー騒げるのが「可愛くて良いなぁ」って気持ちがあり複雑だった。

それでも、もう買おうとは思わなかった。


そして、翌年の正月に購入した福袋の中に、ロケットペンダントが入っていた。

どこの福袋だったのか想い出せないが、一時は欲しいと思い燃え上がっていたものが、売れ残ったものなんだなと悲しくなった。

その頃は、福袋は売れ残った在庫を入れるものだと思っていたのだ。


福袋に入っていたロケットペンダントには、しばらくの間、漫画の主人公の顔を切り抜いて入れていた。


感謝いたします。