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授乳問題。おっぱいか、ミルクか。

”授乳”というワードを検索すると世の中の多くのママたちの意見の中に
おっぱいvsミルクの対立構造が垣間見える。
本来は対立するものじゃないはずなのになぁ、と個人的には思う。
もともとは母乳育児が困難な状況の時の補助としてミルクが存在していたわけでそれが必要な親子も居るわけで。
目が悪い人が眼鏡をかけるように必要に応じて使われるものだと思う。
いつからか、母乳で育てられるとしてもあえて人工乳を選ぶようなケースが増えてきて。それに対してとやかく言う声が出てきて。
そんでもってこんな風に対立しているのかもしれない。

究極、どちらを選んでも子は育つ。それは正しい。
それぞれの親子に(主に親だけど)選ぶ権利はあるし他人にとやかくいわれる筋合いもない。ただ、母乳育児でしか得られないメリットがあるのも事実。

自分の選択で母乳育児・混合・ミルク育児を決めたと胸を張って言えるママさんはどのくらいいるんだろうか。なんとなく、病院で言われるがまま、流れで。みたいなケースも多いんじゃないかと思う。
だから「本当は母乳育児をしたかった、ミルクを使うことは避けたかった」と思うママたちが、適切な情報・支援を受けられなかったことで母乳育児をあきらめていたとしたら、それはいたたまれない気持ちになる。
実際のところ妊娠中は母乳で育てたい意思のある妊婦さんは93.4%いるのに
産後1ヵ月で母乳育児をしているママは51.3%という調査も。(乳幼児栄養調査)
理想は母乳。でもできなかった。というママが4割くらいいることになる。
もちろん理由はさまざまあるだろうけど支援が足りていなかったことで諦めてしまったケースも多いんじゃないかと思っている。

ここからは私の個人的な意見と経験に基づくはなし。
双子の長女・次女は混合栄養→完全母乳→1歳2カ月で断乳という流れだった。
3年後に生まれた長男は完全母乳。ミルクを1滴も飲まずに現在10か月まで育っている。息子が生まれる時にはめちゃめちゃ勉強した。
そして母乳育児を選択したわけだけど、双子の時の混合栄養と人工乳を使わない育児が何がどう違うのか、単純に知りたかった。

双子の出産時


母乳育児に関する知識・情報ほぼなし。
36w2d予定帝王切開で術後、色んな管が外れてすぐ搾乳するように看護師さんから搾乳機を支給される。がほぼ出ない。そんでもって痛い。。。。
手絞りでにじみ出るわずかな初乳をスポイトで吸い取って赤子たちに届けた。今思い返すとそれがあったから私の乳は枯れずに済んだ。
人工乳を与えつつも直接母乳も続けて、3カ月くらいでやっと、人工乳の割合が減り長女は母乳、次女は人工乳を足すという感じに。
この頃は”2人分も出ないわ。。。”と思ってたけどその後双子の授乳について学ぶことがあり”不可能じゃなかったんだ。足りなかったのは知識(情報)と支援だったんだ”と気づいて悔やまれた。
次女はなかなか母乳でうまくいかないことが多く人工乳の割合が多かったけど断乳までの最後の3カ月くらいはがっつり母乳をのんでいた。
母乳育児の効果は量依存性、より長く・より多く飲んだ方が高くなるそうなので細々とでも飲み続けられたのは良かったのかな。

母乳育児について学ぶ


母乳育児ってやってみて初めてわかることだらけ。。。
今まで歯科の観点からだけの指導で患者さんに酷なこと言いまくってた…
と反省もあり、また次の赤ちゃんも考えていたのでこれはちゃんと学ばねば…ととりあえずこのへんの書籍を読み漁った。

左は一般向けであり右は医療者目線の内容

ラ・レーチェ・リーグという全国の母乳育児をしているママさんたちがリーダーさんとなり作られた組織があってそこではオンラインのお話会で悩みを相談したり他の方の母乳育児の様子について聞いたりもした。
発行されている冊子は有料だけど、なるほどなーっていう確かな情報が書かれている。(下の画像左)
息子の産後1ヵ月の時にpigeonさんでやっていたオンラインの講座”おっぱいカレッジ”もわかりやすくて、いち母親として母乳育児に自信を持てるようになった記憶がある。

左:ラ・レーチェ・リーグの冊子 右:おっぱいカレッジ資料

長男出産後に助産師さんの専門家向け講義とIBCLC(国際ラクテーションコンサルタント)の資格を持つ助産師さんの講義も聞けてだいぶ理解が深まったと思う。

3年後、長男出産時


母乳育児をしたいママには「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」というユニセフから委嘱された日本母乳の会が審査を行い認定する病院で出産すると母乳育児を適切にサポートしてくれるはず。
ただ私は帝王切開後の自然分娩(TOLAC/VBAC)を希望していたのでその条件で産める産院は限られていたから、BFHかどうかは二の次。
結果VBACで出産はできたけど、すぐに人工乳を足されそうな雰囲気だったからカンガルーケアの最中、「母乳を吸わせたいです」と伝え授乳した。
双子たちの時は2人とも低体重で自力で吸えたもんじゃないし何より全身管理が優先で直母できたのはずいぶん先のことだった。。。
だから嬉しかったし生まれてすぐこんなに力強く吸啜できるものかと感動した。
それから「いろいろな処置の為一時預かるね」と言われたので
粉ミルクは足さないでほしいこと、もし必要があるならば必ず知らせてほしいこと、足す場合は持参したアミノ酸乳(エレメンタルフォーミュラ)を飲ませたい事を伝えた。
これは慈恵医大の浦島先生の講義で下記のことを聞いていたから。
✾アミノ酸乳の使用で食物アレルギーを防ぐ可能性がある
✾生後数日間、人工乳を飲ませないことがアレルギー予防のキーになる可能性が大いにある

助産師指導から担当されてた助産師さんには一瞬怪訝そうな顔をされたけど
分娩に入ってくれたもう一人の助産師さんは「そうよね、考えとか方針があるものね」と言って快く受け入れてくれたことがすごく嬉しかった。
そこから母乳育児が軌道に乗るまでは1ヵ月くらい。
詰め込んだ知識と双子の時の経験があっても不安になることもあったし
これで良いのか?と思うこともあった。
何度か資料を見返して学び直しながら少しずつ自信に変えていった。

近代化されて便利になった環境のなかで本能に頼るには心許ないし
根拠もあいまいな余計な情報とか、おせっかいな周りの声も多すぎる。
お手本にできるような身内もすぐ近くにはいない。
一般のママさんたちが支援者の支援なしに、ましてや初産婦で母乳育児をするには難しい環境と世の中なんだと思う。

母乳育児の歯科的なメリット


母乳の一般的なメリットはいろいろなところで目にするから割愛。
歯科的メリットについて少しだけ。

1.上顎を育てるのに一役買う
生後3か月ほどで上顎は急激に成長する。
その間上顎に適切力がかかることがポイント。
適切な力とは舌で上顎に圧をかける力。
上顎が大きく育つと歯が並ぶスペースができるしその上に存在する鼻腔も大きく育つ。上顎の成長は呼吸にも影響するということ。

生後28日の上顎と生後3か月の上顎の模型(息子のもの)

2.むし歯の予防に有利(と言われている)
生後12カ月までの母乳育児はむし歯のリスクを軽減させることと関係があるという論文もあるし、海外にはむし歯予防のために母乳育児を推奨するガイダンスもある。(WHOでは生後6カ月までの母乳育児を推奨)
ただし12カ月以上母乳育児をしている児はそうでない場合と比べてわずかにむし歯が出来やすくなるという論文もあるけどこれは、母乳以外の食事(主に砂糖)の習慣やその他の生活習慣の影響が大きいと言われている。
長期授乳していてむし歯になるからやめるように、というよりは
その他の要因を見直す方が現実的。
むし歯予防のために母乳育児をあきらめる必要は無い。
それだけ母乳育児にはメリットが多いと思うのでね。

3.自律授乳からの離乳食移行で”自分で”という意欲を育てやすい
完全なる私見だけど。双子の混合栄養と息子完全母乳を比べて
圧倒的に違うのが飲む頻度一回分の量。
母乳はどれだけ飲んでいるか測ることは難しいけど感覚的にその時々で全然違うのがわかる。
人間だもの。たくさん飲みたい時もちょっとつまみたい時もあるよね。
体が急成長するときはたくさん・頻回に飲みたいし。
風邪ひいてるときは免疫物質たくさんほしいから吸い続けたいよね。
息子も、何回かもらってきた流行りものも、病院行かず数日中に治っているし母乳ってすごいと本気で思った。
そうやって自分で飲むタイミングも量もコントロールしてきた子は
食べることにも同じようにできるはずだからテーブルの上から上手に選んで
体の声を聞きながら、意思をもって食べ物と向き合えるんじゃないかと思う。
とはいえ双子は混合→完母だったけど食べる意欲育ちまくりなので離乳食の時期からでもやり方次第で取り戻せます。
要は長い間受動的に”給餌される”スタイルでは意欲は育ちにくい。
食べものに興味がない。自分で食べない。みたいな幼児期によく聞くお悩みの原因、その根っこは授乳の時期から始まっているのかもしれない。

さいごに。


息子10か月。ここまでの時点で母乳育児、良いことばっかり!ってわけでもなく湿疹の問題(乳児湿疹なめてた、という記事を書く予定)もあったし
人工乳を使った場合がどうだったのかを知る由もないからわからないけど
最終的には子と親が納得できたか、満足できたか。
それでいいんじゃないかな。
だって、お乳を吸っている息子の顔は世界一かわいくて愛おしい。
授乳している時が幸せで、かけがえのない時間だと感じているから。
人工乳を与えていたって、同じように感じるママもいるはずだし。
”何を”より”どう”の方が大事だよね、きっと。
近いうちにその時間が終わってしまうと思うとその姿がより一層愛おしくて
今はただ、吸っている顔をじーっと眺めています。

いつか来るその日に ”幸せだったよ、ありがとう” と言えるように。
今を大切に過ごしたい。

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