見出し画像

厳島神社は名カニスポット【生き物からのラブレター#36】

研究をやっていて楽しいことの一つに学会への参加がある。最新の研究内容を聴ける貴重な機会・・・という真面目な理由もある。けれど楽しい理由はもうひとつ。学会は毎年違う場所で開催されるので、プチ旅行も兼ねているのだ!

2015年の動物分類学会は広島県で開催された。せっかく広島へ来たのだから!と立ち寄ったのは、厳島神社。海の上に建つ幻想的な神社には誰もが憧れるのではないだろうか。

訪れるのは中学校の修学旅行以来だった。なので記憶はあいまい。安芸の宮島へフェリーに乗って降り立つと、気になるものがいろいろある。

距離感が近すぎる「シカ」。バラエティ豊かすぎる「もみじ饅頭」。大きすぎる「しゃもじ」。

でもでもでもでもそれよりも気になるのが、神社が建っている足元の「カニ穴とカニ山」。ありすぎ。どんだけカニいるんだよ!!!

厳島神社は干潟へ張り出して建てられている。そのため境内は高床のようになっていて、潮が満ちていると土台となる下の部分は海へ浸かるようなかたちになる。

この時はちょうど潮が引き始めた時間だった。潮が引いて表れた砂地には黒く盛られた小さな山だらけ。これは、カニが土を掘ったものを積み上げた跡だ。そして無数の穴。

厳島神社の境内
無数のカニ山

よーく目を凝らして見ていると、ほらやっぱりいたいた。カニだ。目がびょーんと長いオサガニらしきものや、がっちり体形のアシハラガニ。他にもいろいろいそうだ。

足元をチラチラと気にしながら、ゆっくりと参拝を終えた。さらに周辺をぶらぶらしたり、宮島水族館へ行ったりしているうちにすっかり潮が引いたようだ。(ちなみに宮島水族館がとてもよかったので、また今度紹介したい!)

海の中に建つ大きな赤い鳥居まで歩いて行けるようになっていた。ぞろぞろと人が向かって行くのが見えたので、私もさっそく向かう。

大鳥居。潮が引く前。

潮が引いて砂地が表れると生き物にとってはお食事タイム。カニたちはさっきより多く顔を出し、そのカニなどを食べにサギ(鳥)などもやってくる。

大人が手を広げたほどの太さのある大鳥居の柱には、びっしりとフジツボが付着していた。カキもちらほらいるけれど、フジツボ優勢!潮が満ちた時に、どの高さまで海水が来るのかよくわかる。

その辺にいたカニを一匹捕まえてみた。カニ博士(夫)が一緒に来ていたので、「これは何というカニ?」と聞いてみた。

夫「あ〜ケフサイソガニかなぁ。」

私「ケフサ・・・?」

夫「ハサミの間にモコモコついてるでしょ。」

私「毛ふさ!・・・フサフサ!かわいいー!!!!」

タカノケフサイソガニ

初めはハサミの間に泥が詰まっているだけかと思った。がしかし、よく見ると確かにフサフサとした自前の毛だった。

こんな可愛いカニがいるとは!こんな羨ましいカニがいるとは!

あまりに気に入ってしまったので、家に帰ってからケフサイソガニについて調べた。すると何やら今までケフサイソガニとされていたものには2種類のカニが混ざっていたらしい。

そしてその2種がケフサイソガニとタカノケフサイソガニとして発表されたのが2005年!最近やないかーい!とまたまた大興奮なのだった。

厳島神社に行ったら、ぜひカニにも注目してみてほしい。お気に入りのカニが見つかるかもしれない。


☆生き物との出会いや体験を綴るエッセイ連載中☆

他のラブレターも読んでみてね♡

地球レーベルの活動資金として「自然を守る」ために使わせてもらいます!ぜひサポートよろしくお願いします。