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キミのともだち、アオウミウシ。能登の海②【生き物からのラブレター#39】

うちの息子はぬいぐるみが大好き。

我が家には大小さまざまな動物のぬいぐるみがたくさんある。その中でも一軍に属するものたちは、息子との添い寝を許され、時には共にお出かけすることもある。

一軍の地位を確固たるものにしているものの一つが、アオウミウシの大きなぬいぐるみだ。実際のアオウミウシは5cm程度の小さな生き物だが、このぬいぐるみは60cmほどはある。“うみ”と名付けられたそのぬいぐるみは、元々は私が新潟県にある水族館マリンピア日本海で購入したものだ。

ウミウシそのものの愛くるしさ、そして大きいがゆえに抱き心地が良いのか、いつの間にかすっかり息子のお気に入りになっていた。

しかし、息子は本物のアオウミウシを見たことがなかった。

私たちが普段フィールドにしている茨城県ひたちなかの海は、他のウミウシはいるものの、アオウミウシは見たことがない。水族館でもアオウミウシに巡り合うことはなかった。

そんななか、この夏やってきたのは日本海。石川県能登半島の内海(東側)。私は以前、同じ日本海の新潟の海でアオウミウシを見たことがある。「アオウミウシいるといいね〜」なんて言いながら、いよいよ息子と海に入った。

日本海は太平洋側とは違い、潮の満ち引きが少ない。そのため浅瀬でも生き物探しはシュノーケリングが基本だ。海に潜ると、海藻の森が広がっていた。その間をさまざまな魚が泳いでいる。

一番目につくのは細長いベラの仲間。砂地ではハゼの仲間がいたかと思うと、ものすごい速さで消える。大きなクロダイは近くを通ると迫力満点。アマモの影にはスズメダイの仲間の群れ。魚の観察だけでも飽きそうにない。

私は水中でも使えるアクションカメラを回して、1匹のベラを追いかけ始めた。なかなか速いがくらいついていくと、他のベラの仲間たちがたくさんいるところへ連れて行ってくれた。それでもなお追いかけていると、視界の右端に青い塊が入った。こ、こ、これはまさか!!!

急停止して目を凝らして見ると、やはりアオウミウシではないか!!!しかも2匹。海藻の先端のほうにくっ付いている。場所をしっかり確認して、私はすでに一度海からあがって休憩していた息子を呼び戻した。

ちなみにこの時まだカメラは回しっぱなし。アオウミウシを見つけて動揺する様子と、息子を急いで呼ぶ声もしっかり動画に残っている(笑)。

「アオウミウシいたー!!!おいでー!」と呼ぶと、水中を覗ける箱メガネ付きのボートに乗って息子がやってきた。

「見えた?いるの分かる?」
と聞くと、神妙な面持ちでコクンと頷く息子。

あれ?嬉しくないのか?と一瞬戸惑ったが、彼なりにこの会合の感動を噛みしめていたようだ。

「よかったね〜。まーくんが来たから会いに出てきてくれたんだね。」
と言ったらニッコリした。

これは子供を喜ばせるためのウソではなくて、本当にそうなのだと私は思っている。

だって私が何度も経験しているから。〇〇に会いたいな〜と思っていると出てきてくれたり、思いがけない生き物が「こんにちは!」と挨拶してくれたりする。

大好きな人が、大好きな人を、大好きになってくれる感覚。こんなに嬉しいことはないのだ🥰

すっかり気をよくした私たち親子は、このままアオウミウシ飼うことにしたのだった。続く。


☆生き物との出会いや体験を綴るエッセイ連載中☆


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