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緑の羽根を手に入れた

先日娘を連れて散歩していると、「せーのっ」「おねがいしまーーーす!!!」と、元気な声が響いてきた。
揃いの服を着て、募金を呼びかける少年たちと、保護者。ボーイスカウトだろうか。

街頭募金はどうしても詐欺を疑ってしまうので苦手だ。嫌な大人になってしまったなぁとも思うけど、実際に多いのだからしょうがない。そこに子どもの声が響くと(子どもを使うなんて卑怯だ……)なんてつい思ってしまうのだけれど、いや彼らが必ずしも『正直めんどくさいのに、大人にやらされてる』のだと決めつけるのもひねくれすぎかなと、少し反省をする。
彼らは私とは違い、前向きにボランティアに参加しているのかもしれない。まぁあとこういうのって、いざ参加しちゃうと結構楽しかったりするんよな。会社の飲み会みたいなもん(?)。

そんで、今回の募金は『緑の羽根募金』だった。
まぁそれなら詐欺募金ではないだろうと、ちょっと安心できる。名前が一般に浸透してる大手募金、そういうところが良い。助かる。

で、そうなるとな。
『緑化運動に貢献したい』というよりは、『子どもたちに成功体験を与えてあげたい』という気持ちが前に出てきた。私も親だな。
駅前で子どもが呼びかける街頭募金、誰一人として反応しないってことはないだろうけど、こういうのは反応があればあるだけ嬉しいし、ないと心が辛いものだ。彼らに「自分たちの呼び掛けに応えてくれた!」っていう気持ちを与えたい。
ついでに娘にも募金体験をさせてみるか。

財布を開けたら10円出てきた。
まぁささやかだけど、今回は『お金を入れた』が大事なので。ほら娘、持ちたまえ。
10円玉を持った娘を抱き上げて、少年の持つ募金箱にお金を入れるよう促す。む、そういえばいわゆる『貯金箱』的な細い投入口だけど、これ娘に入れられるか?募金箱を抱えた少年が小さく「頑張れ~……!」と応援してくれる。
一緒に真剣になってくれるの愛おしいな。

少年の応援が届いたのか、娘は無事に小銭を箱に投入することができた。
(小銭を握りしめて離さないとか上手く入れられないとか、色んな失敗パターンがあったなと、後から気づいた。空気読めて偉いぞ娘)
小銭が投函された瞬間、少年たちはわっと沸き立ち、我先にと羽根を差し出してくる。もみくちゃ。待って待って、1枚、1枚だけでいいからwwwそんなにいらんから羽根wwwww
なんとか1枚だけ羽根を受け取り、その場を去った。いやー、なんかあれだな、鳥の餌やりみたいだったな……1つの餌箱にわーっと鳥が集まってついばんでいくみたいな羽根の差し出され方をしてしまった。めっちゃ可愛かった。10円だと申し訳なかったかもしれない。せめて100円にすべきだったかしらなんて考えてしまう。チョロい。

娘としては、訳わからんかったろうな……。
いきなり小銭渡されて、箱に入れろって言われて、すごい勢いで羽根を渡されて。
親は見てて面白かったけど。笑

とりあえず、もらった羽根は娘のハーネスにくっつけた。娘はそれを誇るでもなく、嫌がるでもなく、それより引き続きの散歩を楽しんでいた。


最初に否定的な目線を書いたけど、募金という行為自体は素晴らしいものだと思う。単に自分の懐に余裕がないのと、正しい使われ方をされない募金が実在する世の中がよくないという、それだけの話で。
娘が大きくなった頃、娘の気持ちも私の懐事情も、募金に対して前向きに参加出来るものであってほしいなぁと思う。

また募金しようね、娘ちゃん。

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