【突撃!ナレトーーク】第10回 岡田健志さん(後編)
ナレーター界を盛り上げるべく始動したメディアプロジェクト『HITOCOE』。
ナレーターのさかし(坂下純美)とあこ(甘利亜矢子)が、ナレーターの皆さんのライフスタイルや人生観、それぞれの働き方を紹介していきたいと思います!
前回に引き続き、マルチに活躍するナレーター・岡田健志さんです!
1週間のスケジュール
さかし:SNSを見ていると「いつも忙しそうだな」と思う反面、「いつもコーヒーを飲んでるな」とも感じて、結局どっちなの?と事前にお聞きしたら、なんと1週間のスケジュールを送ってくださいました!
月火木に授業、水金は基本オフ、土日も本番なければオフ。
授業は週8時間。
とはいえ、7月中旬〜9月初旬、12月中旬〜1月初旬、3月初旬〜4月初旬は長期休暇のため音楽の授業はないので、実際は1年のうち9ヶ月くらい。
ルーティン
*1日にカフェに2回行くこと
*鼻うがいをすること
*2時までには必ず寝ること
*朝ご飯は食べないこと
心がけていること
*ストレスを溜めないこと
*無理をしないこと
さかし:とても細かく…ありがとうございます!
岡田:フリーランスなので重なる時はとことん重なりますが、基本は半日しか働きません。心身共にそこまで丈夫ではないので、喉のコンディションを保つためにもなるべく無理をしないようにしています。
ナレーション収録は、平日の日中に福井や金沢のスタジオに行く、または自宅収録。20時以降に帰宅して、自分のペースでゆっくり収録してから寝ることも多いです。
土日は司会や歌、朗読の本番にあてています。最近は県外での本番も増えてきて刺激になっています。
さかし:SNSを見ていてとても忙しそうな印象もあり、でもいつもカフェでリラックスしている印象もありましたが、どれも本当で、しかもちゃんと自分の中でルールを決めているんですね…!
※月1回収録している「Dino★ラジ!」で
川本真琴さんとお話したそうです(羨ましい!)
9月30日放送です!
心の報酬
さかし:地域の町おこしであったり、音楽文化振興のための活動もかなり積極的ですよね。
岡田:心の報酬を得たいからやっているのかもしれません。
《報酬》というのはお金という形での報酬もありますが、それだけでは本当の意味で豊かにはなれないので、心の報酬も得たいと考えています。
だから「お金にもならぬ腹の足しにもならぬこと」を昔からずっとやっています。
…まぁこれについては、やりたくてやってるんだと思いますが(笑)あとは「求められたら応えたい」「地元のため」とか、使命感に近いものもあったりします。
直近開催で携わっているイベントは、「福井コーヒーフェスティバル」という大型野外イベントです。
全体の企画運営はもちろんなのですが、実行委員に了承を得て、持ち込み企画ストリートピアノ《PIANO OJISAN》をやらせてもらったりしています。
芝生の上にアップライトピアノ置いたら素敵だなぁって思って(笑)
そのほか、地域の文化振興事業として、
*さかい九頭竜音楽コンクール(来年で10周年)
*0歳からのクラシックコンサート(今年で9回目)
*おんたまコンサート(今年で20回目)
*さかいおんがくノート(HITOCOEの地域密着型音楽家対象版インタビューブログ)
などを企画立案、運営を担当しました。
また、昨年から自主開催にて朗読公演をするようになりました。
今年度は2023年2月に、福井県坂井市・ハートピア春江大ホールにて、吹奏楽、合唱、朗読のための「銀河鉄道の夜」を公演予定です。
10月23日(日)に埼玉県・北本市文化センターホールで行われるイベントにもお呼びいただきました。こちらではオーケストラとの共演になります。
これから取り組んでみたい作品、やってみたい編成など、夢が膨らんでいます。
さかし:近年、地元の名物イベントでもある三国花火大会の司会も務めていらっしゃいます。
岡田:ナレーションは仕事なので求められたことに応えることが大切ですが、朗読公演、少なくとも自主公演については自分のやりたいことを舞台の上でやれたら、という気持ちでいるので贅沢ですね。
ナレーションは、当たり前ですが岡田健志の一要素に過ぎない、one of themなんです。軽んじているわけではなく、それ以上でもそれ以下でもない、というのが本音です。
でも、自分が今ゆとりを持って、やりたいことをやらせていただく機会を得られているのは、間違いなくナレーションのおかげだと思っています。
仕事は手段
さかし:先日「どのナレーターさんにインタビューしてほしいですか?」というアンケートを取ったんですが、そのとき岡田さんの得票数1位だったんですよ。
「どんなことを聞いてほしいですか?」という項目もあったんですが、「稼ぎ方を聞きたい」「仕事の取り方を聞きたい」とのことでした。ぶっちゃけどうでしょう?
岡田:あくまで仕事というのは手段でしかなくて、稼ぐということも含めて手段でしかない。じゃあ目的は何かというと、それは広い意味で「幸せになること」だと思うんです。そこから外れて「やりたいことをやっているはずなのに苦しい。これは本当に幸せ?」って感じている人もいるんじゃないかな。
ナレーションは才能職だと思うので、きっとみんながみんなできる仕事ではない。苦しいんだったら別の形でやってみたほうがもっと幸せになれる可能性があるんじゃないかと。
僕はだからこそ「営業してみてください」と言うんです。クラウドソーシングで出品して受注して…でもいいけれど、営業を必ずやってみてくださいって僕は言っています。
いろんなお客さんがいるので言い切れませんが、ものすごい数の制作会社に当たっても仕事がもらえない、連絡が来なかったのならば、それはもう向いてないのかもしれない、この先考えたほうがいいって、そういったことを僕は遠まわしに伝えているつもりです。
追い続けることが本当の幸せなのかって考えてほしい。なにせ時間は有限だから。夢がないけど、それが現実なんだと思います。
さかし:どこかで切り替えることもまた、幸せに生きるために必要ですもんね。
岡田:ナレーションで稼ぐことは手段であって目的ではない、という考え方です。僕の場合はとりあえず自分が生活できるくらいの収入が得られればいいと考えています。
もちろん稼ぐことがダメだ、と言っているわけではありません。どんどん稼いで、個人単位ではできないようなことがしたい、業界全体やコミュニティに還元していきたい、という大きな目的を持った方もいらっしゃるはずです。ただ僕はそうではない、というだけです。
もしかするとそれは、以前広告代理店や学校の先生として働いていたときに「自分が自分じゃなくなるような状態までやる」のを経験した上で、そういった働き方は健全じゃないな、少なくとも僕にはそれが合ってないと感じた経験があるからこそ、「これからはゆっくり生きよう」って今みたいな考えになったのかもしれません。
さかし:さきほどもおっしゃっていましたが、1つ1つを必死にやってみた上で「これは自分にあっている」「あわなかった」を選択してきたんですね。
片岡:おかけんさんのその「個の幸せ」を軸にした働き方って今っぽいですよね。そのおかけんさんのライフスタイルに魅力を感じて、おかけんさんをモデルケースにしてナレーターをやってみたい、やっていきたい人も多いかもしれません。
岡田:「おかけんさんみたいになれたら」と、同じく地方で活動するナレーターさんに言っていただけることもあります。ありがたいことです。ただ自分としては、狙ってこうなったわけではありません。いろいろやっていく中で、求められることに応えていく中で、それが歌になり、司会になり、ナレーションになり、はたまた学校、こども園、お寺へ教えに行ったり、講演したり。求められたことに応えていった結果、今みたいな働き方になったんです。
とにかく何度も言いますが、僕がナレーションでそんなにバリバリ稼いでるわけじゃないということは言っておきます(笑)僕は食べることしか趣味ないので。
さかし:カフェは行けないとね。
岡田:1日2軒はやっぱり行かないと(笑)
いつでも自然体
さかし:カフェの写真に始まり、SNSでも結構生活感がそのまま出てますよね。それが親しみやすく感じる理由のひとつだと思いますが。
岡田:Twitterの講習会を受けたときに「有名芸能人でもないのにお前の素の生活なんかどうでもいい、上げてもバズらないからやめろ」って聞いて「俺やってる!」ってなりました(笑)
でもそれでも生活できているならいいのかなと。ビジネスアカウントとしてSNSをどう運用するかを考えた時に、飾ったり大きくみせることで仕事に繋がることもあるでしょうし、逆に隠すことでブランディングしてそれによって数字を立てていけるんだったらそれもひとつのやり方だと思う。
いつも通りの自分を出して、それである程度仕事をいただけるのならこれでいいって最近は思っています。…もしかしたら相当な機会損失をしているかもしれませんが(笑)
片岡:これまでおかけんさんがナレーターとして作り上げてきたものは、ある程度確立しているんじゃないかと思っています。
おかけんさんの人間味そのままを感じることができる発信には価値を感じます。そこから皆が学べることは多いです。
あこ:お金にもならぬ腹の足しにもならぬことばかりしていると言いながら地域に貢献したり音楽文化振興を担う生き方が本当に魅力的で、今日はSNSで見ている以上におかけんさんのいろんな部分を知れました!
岡田:地域貢献活動って地域のためにしているようで結局は自分のためにやっている気がしています。お金を調子よく稼げたり、いろんなことがうまくいっていると、人間どうしても横柄になる生き物なので。お金にもならぬ腹の足しにもならぬようなことをすることで、自分の中のバランスを保っているのかもしれません。
こういうバランスを取った生き方をしているのは、自分の歌の師匠がそういう人だったからです。元来そういう人間じゃないからこそ気をつけるんです。
あこ:さすがです…今回の記事を見た方たちが、またさらにおかけんさんのファンになると思います!
岡田:ファンなんかいる!?(笑)
あこ:いっぱいいますよ~!!
岡田:言って!自分で自己申告して!ファンや、ファンって。
片岡:僕ファンですよ!
さかし:というわけで?ありがとうございました!
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ひとつひとつの活動に必ず「そこに自分は幸福感は感じられるのか?」を問いかける。それは自己中と取られるかもしれない。でもその生き方に魅力を感じついてくる人がいて、そして成り立っていくんだろうなと感じました。ありがとうございました!
(同じ福井県三国町出身のさかしとしては、今回紹介している地元イベントにも皆さん興味を持っていただいたり、足を運んでくださったら嬉しいです!笑)(by さかし)
【ライター】
さかし(坂下純美)
東京在住のナレーターで一児の母。都内スタジオでの収録を主に活動。1年半前に宅録を開始。人間観察が好き。
〇HP…https://www.sakashitamasami.com/
〇Twitter…@sak1013
あこ(甘利亜矢子)
静岡在住のナレーター。司会業を中心に伊豆半島全域を走り回る日々。只今育児の為、司会業は育休中。宅録のお仕事を本格的に始めました!
〇note…https://note.com/amariayako
〇Twitter…@amariayako
片岡あきら(HITOCOE編集長)
国際ナレーター芸人。声の仕事でお寿司を食べまくっている人。プレイヤーとしてだけでなく、スクールや大学での講師、個人レッスンなども。
〇HP…https://kataokaakira.com/
〇Twitter…@akiranarrator
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