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【突撃!ナレトーーク】第9回 柴田聡子さん(前編)

ナレーター界を盛り上げるべく始動したメディアプロジェクト『HITOCOE』。

ナレーターのさかし(坂下純美)とあこ(甘利亜矢子)が、ナレーターの皆さんのライフスタイルや人生観、それぞれの働き方を紹介していきたいと思います!

今回は、翻訳も手掛けるバイリンガルナレーター・柴田聡子さんです!

柴田聡子さん Shibata Satoko
日英ナレーター・映像翻訳者であり、地方在住の2人の小学生の母。
完全在宅の宅録スタイル。
カジュアルで親しみやすく、知性を感じる声。海外のクライアントからナレーション原稿の翻訳を依頼されたことがきっかけで、英日吹替翻訳も手掛けている。
留学カウンセラー、国際広報、海外営業、英会話講師など英語を使ってきた仕事の経験と、現在のナレーション海外案件での経験を活かし、英語に対して不安を感じているナレーター向けに「VO(voice over)のための英語活用術」講座を開催中。
【主な実績】
(CM) American Airlines, Amazon Alexa、(オーディオガイド)オーストリア国立図書館、(ドキュメンタリー)Operation Blessing Japan、(英語ナレーション)日本アセアンセンター、科学技術振興機構
Twitter:@satokovoartist

英語を使う仕事をしてみたい!

さかし:ナレーションを始めたのは何がきっかけですか?

柴田:独身のときは普通の会社員だったんですが、結婚後に夫の仕事の関係で山の中の社宅に引っ越したこともあり、最初の子どもが3歳になるまでは家にいようと思ってのんびりしていました。でもまた引っ越しをすることになったんです。
今度は実家の近くで、少しだけ町の方に引っ越してこれて。でも相変わらず郊外なので最寄りの駅までバスで約30分と不便なところだったから、これから就職活動して会社に通うというのはちょっと厳しいかなと思っていたんです。

会社員時代に海外営業や海外の方への広報など英語を使う環境にあったので、英語を使う仕事をしてみたいなと思っていたんですよね。それで、自分で教室を開いて、子どもたちに英語を教えたり、大人の方にも英語を教えてみようかなと思うようになって資格を取ったんです。せっかく英語が好きだったので、そこを生かしたかったんです。
でも月謝制じゃなくてその都度払いにしていたこともあり収入がなかなか安定しなくて…「子どもが発熱したのでお休みします」と言われると自分も子どもがいるからわかりますし。
それに、需要がある時間帯って夕方が多くて。自分の子どもの面倒とか、ご飯を作る時間とか、いつどうやって確保するんだろう?となって、いっぱいいっぱいになっちゃったんですよね。

子どもたちが幼稚園とか学校に行っている間にできる仕事をしたいと思って、今度は英語保育園の講師募集があったので、そこに申し込んで面接を受けに入ったら、パートで採用されることになったんです。
ようやくこれで子どもがいない間に落ち着いて仕事ができる!と喜んでいたんですけど、半年ぐらい経って突然その園が閉鎖することになっちゃって。

さかし:え!?

柴田:なかなか園児が確保できなかったみたいなんですよね。いきなり「もう、さようなら」ってことになってしまって。
その後も悩みながら、細々と英語を教えたりしてたんですけど稼げなかったんです。数も少ないし。

実は私、「英語を使って営業」は好きだったんですけど、英語がめちゃめちゃ得意かというと、そうでもないと思っていたんです。
「こういう場合は英語でなんて言うんですか?」とか聞かれるのがすごく怖かったんですよ、急に聞かれても知らないから。今思えば「じゃあ調べてみますね」と言えたらよかったんですけど、その時は「英語を教えている立場だから何でも知ってなきゃいけない」とか、洋画を日本語字幕なしで全部理解できないといけないとか、勝手にすごく高いレベルを自分に設定してしまって。
自分の実力との乖離に、勝手に苦しんで悩んでいました。思うようにも稼げないしどうしたらいいんだろうと。

そんな中で子どもを習い事に連れていったりすると、明らかに仕事をしているお母さんが子どもに「この習い事、気に入った?楽しかった?お母さんがいっぱい稼いで、なんぼでも習わしてあげるから通ってみる?」と言ってて、それを聞いてなんてかっこいいんだろうと。
それに比べて私は何もできていないと感じてすごくモヤモヤしてました。

Voiceover Japanとの衝撃的な出会い

柴田:そのころ、英会話講師のためのビジネス講座というような3ヶ月のオンラインコースに申し込んだんです。集客の方法からどうやってオンラインで教室を開いたらいいかなど、オンラインでビジネスパッケージを学べる内容でした。
いろいろ学びがあって良かったんですけど、最後の最後にコーチの先生から「聡子さんは本当はあんまりその仕事にパッションを感じてないんじゃないですか?」ってズバッと指摘されて…最初はちょっと傷ついたんですけど、でも今になってみれば図星でした。

そんな矢先、そのコーチの講座を受けた方の受講生のインタビュー動画を見たら、そこに野口美穂さんが映ってたんですよ。

野口美穂さん
岐阜県在住のバイリンガルフリーアナウンサー、ナレーター。
愛知国際放送(Radio-i)の日英バイリンガルニュースアナウンサーや番組パーソナリティーを経て、国際会議や企業のグローバルイベントのバイリンガルMC、ステージ通訳、音声コンテンツ(Googleマップアプリのカーナビ機能や企業CM)の在宅ナレーターとして活動を開始。
現在はYouTubeチャンネルで「人前で話す英語力」UPに役立つ動画を配信中。英語の声と話し方オンラインスクールVOICE YOUR DREAMスピーキングアカデミー、また海外マーケットで日本語ナレーターとしてデビューを目指すためのオンラインスクールVoiceover Japanも運営。

柴田:美穂さんのインタビューを見て、ボイスオーバージャパン?何ですかこれは!って食い入るように見て、「私こういうのをしたいのかもしれない!」ってすごく衝撃を受けたんです。家にいながらいろんな国と繋がって仕事ができるっていうのがすごいなと思って。一目惚れしたというか。
それからいろいろ調べてVoiceover Japan(以降、VOJ)を知りました。そのときは次期の準備中で、募集開始などについては順次メルマガでお知らせしますという状況だったんです。だから早速登録して待ちました。ワクワクが止まらなくて「募集開始のお知らせをお待ちしているんですけど、いつごろになりますか?」ってメールを打ったほど。VOJとはそういった出会いだったんです。

※Voiceover Japanについては、
前回の藤村由紀子さんの記事も参考にしてくださいね

柴田:それでいざ入ったら同期があまりにもすごい経歴の方たちで…。「私大丈夫なんだろうか」と焦りましたが、先生方を始め同期の皆さんがとても優しい方達で、励まし合いながらボイスサンプル作りから海外案件の営業方法まで一通り学ぶことができましたので、おかげさまで少しずつ稼いでいけるようになりました。

好きなSNSで役立つツイートを

さかし:ナレーターに役立つ英単語「VO英単語」を発信していらっしゃいますよね。100ツイートおめでとうございます!

さかし:こういった情報はどこで仕入れているんですか?

柴田:何でもネタにしています。自分が過去にクライアントさんとやりとりしたメールの中の単語であったり、海外のナレーターさんのウェブサイトやポッドキャストの言葉であったり、オーディションメールの中の単語であったり。自分が知りたいなと思った単語を調べるとどんどん関連記事がヒットしてくるんです。そこからまた更に「この単語もいいなぁ」って…。
なんだかんだと続いています。いつかネタ切れになるのかなと思ったんですけど出てくるものですね。

さかし:「この単語わかる」ってなったときに、その人自身のアンテナがもっと広がる可能性もありますもんね!

柴田:はい、英語に対する苦手意識も軽減されるんじゃないかなって思います。英語の文章を見ると「やだ~!」と、苦手に感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、ボイスオーバー業界の単語がひとつでもわかれば「もしかしてこういうこと言ってるのかな?」と、ちょっと親しみやすくなるのではないかと。業界の単語を少し知っているだけでも負担がちょっと軽くなるかなと思って。そういった意味でも発信させていただいています。

さかし:この発信を始めたことには何かきっかけがあるんですか?

柴田:VOJのナレーター仲間が「英語がやっぱり苦手だな」と悩んでいるのを聞いたり、SNS上で英語の悩みを呟いている方を見て、それで私がVO英単語を呟いていけば何かお役に立てるかなと思って。
私はSNSはTwitterぐらいしかまともにしてないんですけども、Twitterは楽しんで活用しています。気楽に続けられる。どんなことを投稿しようかって決まってるほうが、ネタも探すモチベーションにもなるし。そんなに深く考えずに、日々気楽に投稿しています。

さかし:自分が気持ち的に楽に投稿できるSNSで、みんなの役に立つんじゃないかということを発信しているんですね。

柴田:はい、無理なく自然体で発信しています!実際「ノートに毎日書き留めてます」とか、「いつも見てます。ありがとうございます」とご連絡いただくことがあり、とても嬉しいです。おかげさまで繋がりも増えて、ありがたいなと思っています。

英語の不安を具体的に

さかし:講座も最近始められましたよね!「ボイスオーバーのための英語活用術」。

※次回は8月に開催予定だそうです。
気になる方は柴田聡子さんのツイッターアカウント
フォローしておいてくださいね!

さかし:「先生をやっているのにわからない英語があって怖かった」「何でも答えられなきゃいけないんじゃないか」ってお話がさっきあったじゃないですか。
この講座を始めたのは、その時に感じた思いも背景にあるんでしょうか。

柴田:ありますね。そのエピソードも講座でお話していますよ。VOJの仲間とかツイッターで繋がった方が、海外案件自体は思い切って飛び込んでいけたんだけど、それでもやっぱり英語が不安だという思いを抱えていらっしゃって。
でもそれは、「何が」「どう」不安なのかがご本人の中でわかっていないから余計不安なんじゃないかと。英語力をつけたいと思っても、「英語力をつける」ってすごく漠然としすぎてますよね。まずは何を不安だと感じているのかというのを掘り下げ、たくさんある英語力向上の方法を整理してあげると役に立つことがあるのかなと思ったのがきっかけです。

さかし:実際どういう人が受講していらっしゃるんですか?

柴田:これまでに3回開講してみて、既に海外案件されている方がほとんどですが、これからチャレンジしたいという方もいらっしゃいました。

さかし:TOEICどころか英検も持ってないようなものだ、学校英語しかわからないよ、という私みたいな方はいらっしゃいますか?

柴田:いらっしゃいますよ。私自身も英検やTOEICは持っていないので、絶対にそういう資格がないとナレーションの海外案件ができないってことはないです。
だから、ナレーターとして海外案件にチャレンジするときにどうやったら英語力をアップできるのか、どういうところから情報を得たらいいか、そういう情報をきちんと整理してお伝えする講座にしています。

さかし:じゃあ私みたいに単語しかわからないという人でも?

柴田:もちろん!私だって完璧じゃないし、AI翻訳使って仕事してますから。
でもAI翻訳を使っても、果たしてそのAI翻訳で使った英語があってるのかどうかがわからないからしんどい、悩んでるという話も聞きます。悩みはひとそれぞれですね。
自分が思っているより実は英語ができているかもしれない、できないって思い込んでるだけかも知れない。ひとりひとりのそういった悩みをすっきりしていただけたらなと思います。
クライアントさんにお届けするサービス(商品)は日本語のナレーションなので、そこは堂々と取引をするといいかなと思います!

さかし:発信で繋がりが生まれていて、更に広がりそうですね。
聡子さんは具体的にどうしていったらいいかをちゃんと考えて発信していらっしゃるので、発信を見ていらっしゃる方や受講者の方にとって仕事に繋がるイメージがしやすいんだろうなと思います!

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英語を活かしたい!という思いでVoiceover Japanに飛び込み、海外案件を本格的に始めた柴田聡子さん。「自分の力で皆の役に立つことはなんだろう?」を常に考えて行動する素敵な方ですね!
後半では、今回の記事の中にあった「英語に対する苦手意識」について、そして聡子さんが考える次の野望!?についてお聞きしています。
お楽しみに!!(さかし)

これからも「HITOCOE」ではナレーターに特化した上質な記事を連載予定です。今回の記事を気に入っていただけたら、スキやフォロー、サポート(投げ銭)をいただけると幸いです。
いただいたサポートは、今後の活動費として役立たせていただきます。

【ライター】
さかし(坂下純美)

東京在住のナレーターで一児の母。都内スタジオでの収録を主に活動。1年ほど前に宅録を開始。Twitterで情報を集めながら日々勉強中。
〇HP…https://www.sakashitamasami.com/
〇Twitter…@sak1013

あこ(甘利亜矢子)
静岡在住のナレーター。司会業を中心に伊豆半島全域を走り回る日々。只今育児の為、司会業は育休中。宅録はスタートラインに立ったばかり。
〇note…https://note.com/amariayako
〇Twitter…@amariayako



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