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【突撃!ナレトーーク】第10回 岡田健志さん(前編)

ナレーター界を盛り上げるべく始動したメディアプロジェクト『HITOCOE』。

ナレーターのさかし(坂下純美)とあこ(甘利亜矢子)が、ナレーターの皆さんのライフスタイルや人生観、それぞれの働き方を紹介していきたいと思います!

今回は、マルチに活躍するナレーター・岡田健志さんです!

岡田健志さん
福井県坂井市三国町生まれ。福井大学教育地域科学部音楽科(声楽専攻)卒業。
広告代理店を経て、現在は歌うナレーター、MC、朗読家、音楽指導者。ナレーションを篠原さなえ氏に師事。主なレギュラー番組として、福井テレビ(CX系)「日本全国福むすび」(TVerにて配信あり)、NHK福井「Dino☆ラジ!」(らじる★らじるにて配信あり)などをはじめ、番組・CMナレーション多数。
自宅スタジオ完備、北陸のみならず全国の制作会社とも取引実績がある。
ナレーションだけでなく、MC、朗読、音楽指導などマルチに活動しており、北陸最大級のイベント「三国花火大会」や堀江貴文氏講演会など式典、ブライダルのMCも務める。県内外にてオーケストラや吹奏楽、室内楽との朗読共演、コンサートMCを務めるなど幅広く活動している。
HP:https://www.kenji-okada-voice.com/
Twitter:@kenj10426

宅録界のスター・おかけん

岡田:片岡さんとはなんだかんだで喋るの初めてですね。知り合ってもう2、3年くらい経ちますが。
 
片岡:そうなんです。ちょっと僕今ワクワクしてます。
 
さかし:というわけでインタビューに入ろうと思いますが…
 
岡田:坂下さん、別に聞かなくても大体わかってるでしょ?(笑)

さかし:お互い家知ってますからね(※岡田さんとさかしは地元が同じで、同じ中学校出身です)
逆に直接会ったことがない人たちからはどう見えているんでしょうね?

岡田:よく知ってる人から見たらふざけたイメージなのかな。でも前に使っていた宣材が無表情だったから怖いイメージ持ってる人もいるかも。
 
さかし:「宅録界のスター」だから気軽に話しかけちゃいけないと思っている人もいるかもしれない!
 
あこ:篠原さなえさんから「岡田くんって生徒がいてね、地方で成功している一番の例だからあなたも岡田くんを目指しなさい」って言われ続けていたこともあって、私のナレーターの目標はもうずっとおかけんさんです!
以前おかけんさんが東京で宅録セミナーを開催したことがあるんですが、それに参加して初めておかけんさんにお会いしたら、想像以上におもしろい方で。
そのときにいただいた名刺を大切に財布の中にしまって、どこに行くにもその名刺を持ち歩いて「私はおかけんさんのようになるんだ!」とずっと強くイメージしてきました。そうしたら私も地元のナレーター・司会事務所に受かることができたんです!財布に入っていたおかけんさんの名刺を、自分の名刺に変えたんです!
 
岡田:そんな思ってるほどたいそうな人間ではないですけど、それでも力になれたのならよかったです。
 
あこ:地方のナレーター、宅録ナレーター皆さんのパワーになっているおかけんさんにお話聞けることになり嬉しいです。今日はよろしくお願いします!

歌が好きな青年はなぜナレーターになったのか

岡田:学生時代から歌と司会の仕事を既にしていたので、声を使うことは人よりできると思っていました。だけど、ナレーター、アナウンサー、声優…どれが向いてるのかわからなかったんです。
そんな時に篠原さなえさんと出会ってご指南いただいたのがナレーターを目指したきっかけです。もちろん教員の挫折も含めて。すべてが必然ですね。

さかし:ご自身でnoteにまとめていらっしゃる記事があるので、そちらをまず引用させていただきますね。

さかし:吹奏楽をずっとやっていらっしゃったんですよね。
 
岡田:小学校高学年のトランペットクラブに始まって、中学、高校と部活動でやっていました。大学も。

さかし:歌はどちらかで習ったんですか?

岡田:習ってはいなかったんですけど、元々得意でしたね。「何もしてないけど足速い子」みたいなもので、気付いたらビブラートかけて歌ってました。小学校のときから普通に歌えたから「人よりは歌が得意かもな」と感じていました。

さかし:以前歌のコンテストか何かに出て、結構いいところまでいったことがあるとSNSに書いていらっしゃった覚えがあるんですが…
 
岡田:高1のときNHK-BSの番組のオーディションに応募したんです。書類審査、1次審査、2次審査…と運よく勝ち進んで。そのときの審査員が秋元康さん、彼の前で歌いました。
このとき最終審査の2人まで残ることができたんですが、最後の最後で負けてしまいました。勝った女性の方は秋元さんが作詞した曲でデビューされたので悔しかったですね。

でも、そのオーディションに出たことが次につながっていきました。 
文化部の甲子園とも言われている「全国高等学校総合文化祭」が2年後、ちょうど僕が高校3年生になる年に福井県で開催されることが決まっていました。それに先駆けてイメージソングのソロシンガーオーディションがあったんですね。
そのとき「NHKに出てたあの男の子はこれに出ないのか?」と学校側に声がかかって。受けてみたらこれまた運よく受かって、その翌年1月にレコーディング、高2の夏にはサンドーム福井で歌って…と、いろんなことに繋がっていったんです。
たまたま思いつきでやってみたことが人の目にとまって、また別の本番に出られて…と繋がっていった。今思えばあれが第一歩だったんですね。

その後、高3の9月ごろにそろそろ進路を決めないとって…いや、遅いんですけど。「先生になりたい」って言ったけど学力が低すぎて、先生に「5教科は無理」と言われて…「あ、でも音楽の先生ならなれるんじゃ?」と…今考えたら失礼な話ですが。
だから大学受験をきっかけに声楽を習いました。元々歌が得意だったことも幸いして無事推薦で受かりました。
 
さかし:「先生になりたい」という思いはどこから来たんですか?
 
岡田:吹奏楽がしたかったんです。部活にかなり入れ込んでいて、高校時代の顧問の先生への憧れが非常に強かったので。
今どきの言葉で言うとメンターでしょうか、「あ~、俺も先生みたいになりたいな」って。その先生が福井大学(以下、福大)出身で、吹奏楽部で指揮を振って全国に行ったりしてたから、「じゃあ俺も福大に行って、指揮者になって…」と後を追っていました、当時は。

やりたいことよりできること

さかし:SNSの発信を見ていても吹奏楽への熱が伝わってきますもんね!
 
岡田:好きですね。でも「やりたいこと」と「できること」が一致するとは限らないんですよ。スターと言われるような人は一致しているのかもしれないけど、僕はやりたいことができなかったから。

最近「好きなことを仕事に」「やりたいことをして生きる」みたいな耳障りの良いことを聞く機会が増えましたけど、少し違うなぁって。
僕にとって吹奏楽がそうであったように、いくら好きでもやりたくても、スキルが足りなければ仕事にはならないし、苦しいです。
だから学生対象の講演会でよく話すんです。「やりたいことより、できること」って。でも学生たちは自分の「できること」がわからないっていう。そんな時は「やりたいことを1個1個潰していくと『自分は何ができるのか』が見えてくるよ」って話しています。
そのためにも、ちょっとでもやりたいと思ったら後回しにせず、ひとつずつやっていくこと。「私、これ向いてるな」とか、「これはできるけど、やりたいことではないな」とか、いろいろ見つかるから、早いうちにそうやっていくといいと思うんです。

僕の場合はナレーションが「やりたいこと」というより、人よりほんの少しだけ「できること」という感覚なんです。
そういう意味では、吹奏楽に比べるとナレーションに関してはちょっと情熱が足りないかもしれないです(笑)

さかし:「先生になりたかった」というのが、小さいころからの夢なのかと思ってました。

岡田:子どもの頃は芸能界に憧れがありました。歌手とか芸人とかタレント、MC、声優…それってみんなありませんか?テレビに出ている人に憧れるって。クラスでおもしろいって言われたら「じゃあ俺も吉本入ろうかな」とか。
今振り返ってみると、何かの仕事に就きたかったっていうよりも、ただ「有名になりたかった」ってのが正直なところだったのかもしれません。だから有名になれれば別に何でもよかった気もします、別に声じゃなくても。
 
片岡:今はどうですか?ナレーター界隈ではもう有名人ですよね。正月のヤマダ電機のCMも(※2021年の年明けにCMにご出演されました)。
 
岡田:いやいや、有名ではないですけど…(苦笑)でもあれはホント運が良かった。MC MASA!さんのおかげです。
今は別に何かを目指してるわけではないです。有名になれたらいいなってぼんやりとは思ってるけど、、、それでも「何が何でも俺は有名にならなきゃ」ってわけでもないですね。
でも、ありがたい事に小さいながらも昔やりたかったことは大体全部今やれているので幸せだなと思います。

自分にとっての「幸せの条件」

さかし:有名になるということよりも、やりたいことがやれている今が幸せなんですね。

岡田:僕のテーマは、「幸せに生きる」こと。その条件は、心身の健康を前提として「自由に使える十分な時間」「自由に使える少しのお金」「心地よい人間関係を選択できる」、この3つのバランスだと考えています。
世の中の36歳と比べると自由に使える時間が多いと感じています。お金持ちならぬ時間持ちですね。自分の時間は心のゆとりに繋がると実感しています。
お金は、世の中の36歳と比べるとそんなにある方ではないと思います。稼いでいるイメージがあるらしい?ですが、決してそんなことはありません。自分が思い描く生活のできる必要な分だけお仕事をする、という感じです。
お洒落もしないし、趣味もないので、唯一のモチベーションは美味しいものを食べることですね。

さかし:人間関係はどうですか?「この人は苦手だけど仕事上付き合わなきゃいけないんだよな…」というときありますよね。

岡田:人とのご縁は大切にしたいと思いつつ、だんだん「この人とは合わないな」と思ったら必要以上には関わらない、あるいは関わらなくてもいい生き方ができるようになってきましたね。
今はだいぶ心地よく過ごせていると思います。自分を偽らず自然体でいられるようになりました。
人との繋がりを大切にしている、繋がっていくチカラがすごい、と、師匠のさなえさんはじめ、よく周りの人に言われますね。

さかし:地元で岡田さんにお会いしていると、会う人会う人知り合いですごいんです、いくら地元とはいえ。県内だけではなく県外にもどんどん繋がりを広げていらっしゃって、ずっと只者ではない!と思ってました(笑)

岡田:自分ではまったく意識していないんですが…。
自己中心的な性格ですし、余裕のない時は誰とも会いたくない、ワガママ勝手に生きてきました。
ただ振り返ってみると、本当に人のご縁に恵まれて生きてきたなぁと。自分はなんて運が良いんだろう、とつくづく思います。
運命的な出逢いばかりの人生です。感謝です。
この人と会ってみたい!話してみたい!と自分に強く思わせてくれる魅力的な人が偶然目の前に現れてくれます。ありがたいことですね。

さかし:自分を偽らないで生きているからこそ、自分と空気のあう人がたくさん集まってきて、連鎖を生み出しているのかもしれませんね。

あこ:おかけんさんの人間力の高さを感じます!

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岡田さんは講演にも呼ばれるそうで、そこでも「やりたいことよりできること」の話はされているそうです。ひとつひとつのご縁を、素直な気持ちで感謝しながら受け止めて、そして返していくことで次に繋がっているのではないかと感じました。
後編では、多忙なおかけんさんの過ごし方から価値観などを探っていきます。お楽しみに!(by さかし)

これからも「HITOCOE」ではナレーターに特化した上質な記事を連載予定です。今回の記事を気に入っていただけたら、スキやフォロー、サポート(投げ銭)をいただけると幸いです。

【ライター】
さかし(坂下純美)

東京在住のナレーターで一児の母。都内スタジオでの収録を主に活動。1年半前に宅録を開始。人間観察が好き。
〇HP…https://www.sakashitamasami.com/
〇Twitter…@sak1013

あこ(甘利亜矢子)
静岡在住のナレーター。司会業を中心に伊豆半島全域を走り回る日々。只今育児の為、司会業は育休中。宅録のお仕事を本格的に始めました!
〇note…https://note.com/amariayako
〇Twitter…@amariayako

片岡あきら(HITOCOE編集長)
国際ナレーター芸人。声の仕事でお寿司を食べまくっている人。プレイヤーとしてだけでなく、スクールや大学での講師、個人レッスンなども。
〇HP…https://kataokaakira.com/
〇Twitter…@akiranarrator

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