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【突撃!ナレトーーク】第13回 いつか晴るさん

ナレーター界を盛り上げるべく始動したメディアプロジェクト『HITOCOE』。

ナレーターのあこ(甘利亜矢子)とみぽりん(遠藤美帆)、そしてHITOCOE編集長のあきら(片岡あきら)が、ナレーターの皆さんのライフスタイルや人生観、それぞれの働き方を紹介していきたいと思います!

今回は、クラウドソーシングサイトで活躍中の宅録ナレーター・いつか晴るさんです!

いつか晴るさん
横浜在住。元役者で舞台・映画・企業VPなどの出演もあり、現在はクラウドソーシングサイトを中心に宅録でナレーション・朗読・CVの仕事を受けている。宅録での実績は600本以上。
ナチュラルで中高音の聞き取りやすい声質で、今勢いのある宅録ナレーターの一人。
〇Twitter…@itsuka232
〇HP…https://itsukaharu.wixsite.com/cv-site

役者を目指していた青年時代

あこ:ナレーターになるまでの経緯を教えてください!

いつか:中学生のときにドラマを見ていて「俳優さんになりたいな」という気持ちが芽生えたのですが、すごく緊張しいで人前が苦手だったのでこの夢は誰にも言えず、一人で日記に書いているぐらいでした。

大学生のときにバイトを探していたら、「新郎新婦モデル募集」を見つけ面接に行くと、芸能事務所の社長が見に来ており「あなた身長低いけど、事務所入らない?」と言われて。「もしかして俳優になれるかも!」と淡い期待をして事務所に入りました。今考えるとただのレッスン事務所で、月に1回レッスンするだけで仕事もありませんでした。

モヤモヤしながらも就職活動をし、大学を卒業して、結局企業の経理部に所属しました。数字が大嫌いなのに経理部に入ってしまい、「なんでこんなことしているんだろう…」と思う毎日でした。そんな日々がつらくて「やっぱりお芝居をしてみたい!」と思い1年で辞めました。

ある日、事務所のレッスン講師に「もっと芝居の勉強をしたいです!」と話すと、「じゃあ、文学座にでも入れればいいけどね」と言われ、文学座に入ることがどれだけ大変か全然知らず、探してちょうどすぐに入所試験があったので受けたんです。

筆記も全然わからなくて「戯曲を書いた人と作品名を合わせなさい」みたいな問題も、たぶん全く合っていなくて!
一次試験でセリフの実技もあり、「あ~もう駄目だ」と思っていたらなぜか受かり、二次試験で歌があると聞いたので急いで楽譜を買いに行って歌の練習をしたりして、もう本当に付け焼き刃みたいな感じでした。
二次試験も奇跡的に受かり、研究所に入れてもらうことができました。そこで初めてお芝居の勉強をさせていただいて発声や滑舌を学びました。

みんなで一つの作品を作っていくのがとてもおもしろく、セリフ練習をみんなでしているときには今まで感じたことのない「生きている」という感覚を味わえたんです。後にも先にも「生きている」実感はお芝居をしているときしか味わえていないなと思います。

お芝居に打ち込んでいたころのお写真と、今も毎日発声練習に使っている『基本訓練』

そのぐらい演技やお芝居が楽しくて、台本についてみんなで真剣に話し合うんですよね。「この人はこういうふうに言っているけれど、背景はこうじゃないか」とか、「この人はこういうふうに生まれて、こういうふうに生きてきたんじゃないか?」って。みんなで役を掘り下げていくのも楽しくて。想像力で話し合うみたいな。

そういう感じで1年経ち、上には上がれないかなと思ったのですが、奇跡的にその後2年間研修科にいさせていただきました。
その中である作品の主役をやらせてもらったときに演出家さんから「君は本質的に役者に向いていない!君の世界は狭い。君は高みに飛べない」と言われたんです。(その演出家さんは今はもういらっしゃいません)

もう「ガーン!」ってなって。「役者になりたい!」という気持ちでやっていたので、世界が全部閉じちゃったみたいになって、寝ても覚めても泣いているみたいな状態で落ち込んで。座員に残るか残らないかの審査では、「もうこれ以上否定されたくない」と思い「受けないです」と言って辞めました。若かったな、と思います。

でも「芝居はずっと続けるんだ!」という気持ちはあったので、その後も友達と自主公演をしてはいたのですが、そのままフェードアウトして主人と結婚して娘が生まれました。

子どもと向き合う日々、ココナラを見つける

いつか:主人の転勤で横浜から愛媛へ引っ越しました。愛媛はとても過ごしやすくて大好きだったのですが、娘が小学2年生のときにまた転勤になり愛媛から他県に引っ越したら、娘が登校拒否気味になりました。私がずっとそばにいないと不安で混乱するようになってしまったんです。

私は娘と一緒に登校し、教室の一番後ろの掃除用具の隣にずっと座っている状態で、何から何までずっと一緒。娘の給食を私が食べて、娘には私の作ったお弁当をあげて、掃除も私と一緒にして…みたいな、常に娘の黒子のような生活で。
娘は不安で混乱し、私も共感してあげようとすると私自身も揺れて不安になってしまって、2人でぐちゃぐちゃになって。

スクールカウンセラーの方から「発達障害かもしれない」と言われたので、病院も何個か転々として勉強もしました。すると、友達からは「違うと思う。発達障害だと思って接しちゃうと、本当に発達障害みたいになってしまうから、絶対やめたほうがいい」と言われたりもして。

カウンセリングを受けたときには、「お母さんは自分の軸を持ちなさい。ドーンと構えて、娘と自分の間に境界線を引いて、娘の話を徹底的に聞いてあげなさい」と言われました。
「傾聴」といって、娘が話すことを「うんうん。そうなんだね。あなたはつらいんだね」と聞いて、もし自分と意見が違ったとしても、「あなたはそう思うんだね」と絶対にこっちの意見を言わない。そういう「傾聴」の方法を学びました。
そうすると、娘自身も言いたいことを言うようになって、だんだん考えがまとまってくるようになったんですね。

娘さんも大好きな、夜寝る前に読んでいた絵本

あとは、「させない、やらせない」ということを徹底的にしました。「これしなさい、あれしなさい」と一切言わないという方法で、散らかしても淡々と私が片付ける。「それ片付けなさい」と言わない。
すると、母親から言われることに対して反発することに使っていたパワーを、自分が考えるほうにパワーを使うようになり、だんだん落ち着いていって不安もだいぶ解消しました。
あのときの経験があったおかげで、今では娘との関係が良く、何でも話してくれて、話すのが好きな子になりました。

そんな状態で、主人の転勤でまた横浜に戻ってきて、娘もちょっと手が離れたので何か家でできる仕事を探そう!と、ココナラを見つけました。「子どものことで不安を抱えているお母さんたちのお話を聞けないかな?」と思い、電話相談サービスを出品したんです。けれど、1本も買ってもらえなくて!(笑)

駄目だなと思って、「お芝居やっていたし、絵本が好きだし、学校で読み聞かせもしていたから、読み聞かせのサービスを出してみよう!」と思い、「電話で絵本を読みます」というサービスを出し、iPhoneで録音した音声を載せると、「あなたの声が次のお仕事にピッタリなので、この原稿を読んでみてくれませんか?」と相談が来て、「へぇ~!録音した声が売れるんだ!」と驚きました。そこで初めて宅録ナレーターという仕事を知りました。

宅録ナレーターへの挑戦!

いつか:そういう仕事があるんだ!と思って調べ始めたら、こまきさん(武藤槙子さん)ブログを見つけ、機材も参考にして同じ物を購入しました。でも当時全然分からなくて、USBマイクを買ったのに、オーディオインターフェースも買ってしまって、USBマイクをパソコンに繋いでみたら、「あれ?これいらないじゃん!」みたいな(笑)

それから、Audacityで試しに録ってみて、「あ!そうだ!文学座のときのテキストで練習しよう!」と、ひたすら外郎売りや、あえいうえおあおの声出し練習をして…。その程度で、クラウドワークスの案件にどんどん申し込んでいきました。

はじめはどういうお仕事があるのかよくわからなかったので、とにかくいろいろな案件に応募してみました。ニュースを読むとか、スカッと系や感動系、いろいろなジャンルをやってみたくてオーディションを受けました。受かると、宝くじが当たったみたいに嬉しくて「受かった~!」と心が飛び跳ねるほど喜んで、原稿が来ると「原稿が読める!」と楽しくて。はじめは稼ぐというよりも、値段とか度外視でもうひたすら練習のつもりでやっていました。

あこ:継続案件って、月30本とかの案件もありますよね?(汗)

いつか:そうです。1本400円で月30本とか。YouTubeチャンネル立ち上げの段階の案件にちょうど受かったので、もう毎日原稿が来て、質よりも量って感じでどんどん読んでいきました。
今、素人っぽいナチュラルな読みが流行っていますが、当時の私は「本当に素人が読んでる」状態で、今聞くと全部差し替えたいですが…(汗)
そのころの動画ナレーションが1本400円だったけれど、今130万回再生されていて

あきら&あこ&みぽりん:すご~い!

あこ:継続案件を持っていると、毎日のように収録&整音でとても忙しくないですか!?生活と仕事のバランスが自分は上手くできるか心配です…!

いつか:そうですね。でも何だろう、そんなに忙しくない(笑)
読む原稿の内容も同じようなものなので、はじめはものすごく時間がかかっていたけれど、読むのも整音するのもそれだけ毎日やっていれば、だんだん速くなっていきます。そのなかで、クライアントさんから「ここにちょっとノイズが入っています」とか「ここの間が広いです」と修正をいただいて、ノイズ除去やお客様とのやり取りもだいぶ鍛えられました。

宅録ブースは吸音材と毛布と布で囲っている。布に描かれた家や畑が朗読の際、発想を膨らませるのに役立っている

クラウドワークスで受注しながら、同時進行で学ぶ

いつか:はじめのころのお仕事が、海外ニュース系の番組で、なんとなく知ってはいるけれど深くは知らなかったことを知れたりするのがおもしろかったです。そこでは「この人物になりきってやってください」と言われて、「俺はトム!」みたいにやったりして(笑)

あきら:男性もやっていたのですか!?おもしろい~!

いつか:あと印象に残っているお仕事は、『ものがたり珈琲』です。毎月、珈琲と小説がセットで家に届くというサブスクのサービスなんです。小説も文字版とオーディオブック版があって、それの音声の募集がランサーズに出ていて「すごい素敵!」と思って。
応募するときに『ものがたり珈琲』の十数分の原稿を全部読んで提出したんですよ(笑)
今だったらやらないと思うのですが、そのときはわからなくて。

その後、オファーをいただいて1年間やらせていただきました。それはとてもいい経験になりました。今の作家さんたちの小説は著作権があってなかなか読めないじゃないですか。だから、毎月とても楽しくて!

みぽりん:素敵なお仕事ですね!

いつか:そして収録した後、始めと終わりにBGMを入れなければいけなかったんです。「BGMってどうやって入れるんだろう!?」と調べて、フリー音源から音を探して物語に合った音を選んで入れていました。

「この曲は物語に合いませんから他のを探してください」と言われたら急いで探したり、「旦那さんの声がちょっと違う。もっとイケメンの声で優しく言ってください」と言われたら、「(イケメンの声で)おやすみ…オヤスミ…」と何度も練習して。
でも、イケメンの声が出ないんですよ!自分で何度も聞いていて気持ち悪くなってきて(笑)

ものづくりの一環として、表現させてもらえるのはとても楽しかったのと、BGMの付け方も学べたおかげで、後々自分のボイスサンプルを作るときに役立ちました。

あきら:一つひとつの仕事が学びになっている感覚があったのですね。

いつか:学びになっていました。宅録を始めたばかりのころは、400円とか500円のお仕事でも「お金をもらって学べている」という感覚がありましたね。差し替えのやり方もはじめはわからないじゃないですか。「ここの文章間違っています」と言われて「え!部分的な差し替えってどうやるの!?」みたいな感じで。
本当に身の程知らずで皆さんに申し訳ない。ちゃんと学んでからお仕事を始める方が多いと思うのですが(汗)

あきら:実際、宅録のお仕事を始めてから学んでいる人、結構多いと思います。座学で学んでから実践していくなかで自分の課題が出てきて、また座学で学んでとかね。実践してみて初めて座学で学んだことが染みついていくところがありますからね。

クラウドソーシングでのもう一つのアイコン。大好きなイラストレーターえとせとらさんに、愛猫3匹とのミニキャラを描いてもらった

100件の実績を掲げて、ココナラへ出品!

いつか:ココナラでナレーションを出品するのは私的には敷居が高いなと思っていたので、クラウドワークスで実績を100件積んでから、「実績100件あります」と掲げてココナラを始めました

クラウドワークスでは、はじめ3000文字400円とかでやっていたので、1文字1円でも当時はありがたかったです。

ココナラでナレーションを出品しはじめたころに、「只今の期間半額です!」とココナラ内のブログでお知らせを出したんです。たまたまそれが目にとまって、教材系のeラーニングのお仕事1本4、5分のものを一気に10件いただいていきなり実績が入ったため、ココナラの1ページ目にポンッ!と載ることができました

ココナラは1、2ページ目に来ないとなかなか売れないんですよね。後ろのほうのページだと見てもらえない。だから、ココナラはとにかく1、2ページ目に載るのが買ってもらえるコツだと思います!私は本当にラッキーで、1ページ目に載ることができてお仕事が少しずついただけるようになって今に繋がっています。

あきら:すごいですね!クラウドワークスでは、どれくらいの期間で100件の実績を積まれたのですか?

いつか:最初の1年間ですね。100件でも実際は500本ぐらい出しているんですよ。1件が10本分のものもあったりして。

あきら:1年間で500本ってなかなかできないですからね!!

いつか:継続案件を持ったのでそうなりました。YouTubeのランキング動画だったのですが、読んでいるとずっと同じパターンなのでやりやすくて、練習がてらそれを読んでから他の原稿を読むとか、声出しの一環になりました(笑)

あこ:ふむふむ!毎日の声出しの一環にしてしまうのですね!想いの持ち方一つで、前向きに取り組めそうです!

お客様のお役に立てる喜び

あきら: YouTubeの動画再生数の利益が、ナレーターに還元されることはあるのですか?

いつか:私は一切なかったですね。100万回再生されても全然です。でもはじめにお話した案件は最後のほうに1本400円が1000円にまで上がりました。
他の仕事が入ってきたので「もう辞めたいのですが…」とお話ししたら、「ギャラを上げるから、もうちょっと続けてくれませんか?」と言われて上げさせてもらったというか。

今はもう継続案件は受けておらず、ココナラなどで単発で受けています。ココナラはじりじりと少しずつ値段を上げているのですが、やっぱり上げると依頼ががこなくなってしまうので、本当に少しずつ上げている感じです。気持ち的には、個人の方のお仕事はお手頃な価格で、ご予算のある企業様のお仕事は相場の価格でお受けしたいな、と思っています。

あこ:晴るさんの体験談から、クラウドソーシングサイトの進め方が分かってきた気がします!晴るさんは、今やココナラで販売実績200件を超えプラチナランクに!すごいですね!

いつか:ココナラのお客様は、個人の方もとても多いんです。「自分のビデオのはじめのところの声が欲しい」とか、「子どもが帰国子女なので、発表する原稿を一度きれいな発音の日本語で読んでほしい」とか、そういうお仕事も結構来ます。個人の方は心から喜んでくださる方が多い印象です。そういう方たちとのやり取りが、とても楽しかったりします。

企業さんももちろんたくさんいらっしゃって、地方のCMを初めていただいたのもココナラでした。
あと、はじめに長尺案件をたくさんやっていたので、長い文章を読むことに抵抗がないんです。だから、eラーニング系などの長尺案件も結構来ますね。長尺を読みたいナレーターさんが少ないみたいで、探しているクライアントさんが多いイメージがあります。
あと、社員教育の動画で旅館のシーツのたたみ方の説明や、「結婚式場の規約文章を全部読んでほしい」とかもありました。

あきら:ひょえ~!

いつか:その方は毎回全部自分で読まれていたそうなんですね。それを読んで納品したら「嬉しい~!これで読まなくてすむ~!」と喜んでくださって嬉しかったです。宅録ナレーターはスキマ産業じゃないけれど、かゆいところに手が届くような感じがあるのかなと思っています。そういうところをこれからもお手伝いしていけたら嬉しいです。

あきら:自分の声が、実際にクライアントさんの役に立っている実感がありますね!

いつか:本当に!娘の教室の後ろでずっと座っているだけの毎日だったので、あのころと比べるとすごく幸せだなと思いますね。自分が人の役に立てて、「ありがとう」と言ってもらえるなんてとても嬉しいです!

あきら:素敵ですね!お客様との距離感が近いと、そういう嬉しいこともいっぱいありますね。

いつか:困っていることに対応できたんだ!というのが嬉しいですよね。宅録のお仕事は本当にとても素敵だと思います。

自宅から社会参画を可能にした、宅録ナレーターのお仕事

いつか:子どもを産んでから2歳ぐらいまで、毎晩7、8回夜泣きがあって寝られなかったのですが、娘が寝るようになってからも私は寝られず、不眠症になってしまったんです。そこからパニック障害も発症し、今も外に出るのが怖いときがあるんですね。だから、スタジオに行って勉強をしたいのは山々なのですが、今はそれが難しいので、宅録というスタイルは私みたいな人にはありがたいと思います。

あきら:自分のやりたいタイミングで、やりたいことをやるというのが一番ですよね。今までは「スタジオで収録をする」というのが当たり前の時代に、「宅録」というムーブメントがコロナ禍もあってやってきた。いろいろな人を救い上げられるような仕事のスタイルになってきました。

ずっと「声の仕事をしてみたい!」と思っていたけれど、事務所に入らなきゃ駄目だと思っていた人が副業として始められる。需要も出てきましたし、声の仕事のなかで「宅録」という大きな時代の転機ですね。

いつか:いつから出たんでしょうね?昔はなかったですよね。

あきら:「宅録」という概念自体は、もうずっと10年、20年あったと思うのですが、インターネット等の普及やSNSの普及で、宅録の仕方のノウハウが共有されやすくなったというのもありますよね。あとは、技術の進歩で安い機材でも高性能なものが録れるようになった。

一番大きかったのがコロナ禍でのリモート収録で、「ちょっと宅録でナレーターさんにお願いしよう」みたいな需要が出てきて、いろいろな要素が重なっての今、宅録の需要爆発みたいなところがありますね。この時代に居合わせた僕たちとしては、めちゃくちゃ貴重なワンシーンを見ていると思います。とても幸せな時代ですよ。

いろいろな家庭の事情を抱えている人たちがいっぱいいると思うんです。「なかなか外に出られない。でも何か仕事がしたい!」という人たちに、見事に需要が合致して、そういった人たちの社会参画も可能にしているというのは、社会的にとても意義のある仕事のスタイルだなと思っています。

いつか:本当ですよね。ママさんナレーターも、子どもが寝た隙に「ちょっと収録!」とかできる。「ちょっとスタジオに行って…」なんてできないから、ママさんたちにも本当にいいですよね。

あこ:私も1歳の娘がお昼寝した隙に、「今だ!」と急いで収録している日々です。好きなことを仕事にしているので、仕事も育児も楽しんでやれていて、とてもありがたいです!

レッスンを受けてレベルアップ!

あこ:今現在、どんなレッスンを受けているのですか?

いつか:勉強するより先に仕事を始めてしまったもので、やっていくうちに、「これはまずいぞ。ちゃんと学ぼう」と思い、福原安祥さんのレッスンを受け始めました。
週に1回動画が送られてきて、基礎からわかるように教えてくださいます。自分が原稿を読んで提出すると、安祥さんからいろいろなアドバイスをいただけます。
芯の部分からナレーターとはなんぞや、どういう心持ちでやったらいいよ、毎日練習していこう!みたいな、とても熱いメッセージを動画でいただけるし、添削もビシッともらえるのでとてもありがたいです。

安祥さんと同時期に、公文のぞみさんが立ち上げたPollyナレサロン(以下ぽりさろ)にも入りました。公文さんは雲の上の存在で、その方がサロンを開く、でも私くらいで入っちゃったらついていけないかなと思って見ていたのですが、募集人数が最後の1人になったときに「え~い!入っちゃえ!」と思ってすべり込みました(笑)
そこであこさんとも出会えました!

本当にぽりさろはありがたくて、それこそ外へあまり出て行けないタイプなので、家にいながら同じ仕事をしている人たちと知り合える場というのが嬉しくて。みんな同じ悩みや問題を抱えていたりするので相談できてありがたいです。もう本当に公文さんは、メンター、心の師匠って感じで慕っております!

今まで十何年と培ってきた公文さんの経験や知識すべてで添削してくださるのでとても勉強になります。時々グサッとくることもあるんですけど(笑)
「私だったらこうする」と、公文さんの工夫の仕方も細かく教えてくださいます。

それをメンバー一人ひとりに向けて音声で添削してくださり、他の方が提出した課題に対しての添削も周りのメンバーが聞けるので、それもとても勉強になります。
また、メンバー同士で機材のこととか分からないことを教え合ったりもするので、メンバー同士の絆も強いと思います。居心地が良くて長居してしまっています。

あこ:本当にメンバー同士の絆も深まりますよね!

いつか:情報もいっぱい入ってきますし、「みんなががんばってるから、私もやらなきゃ!」みたいにもなるし。努力が見えているから、誰かが仕事取れると「わぁ~!やった!」と喜び合えたり、切磋琢磨できる仲間ができて嬉しいです。

あこ:ぽりさろがきっかけで、横山美和さんのレッスンも受け始めたとのことで…!

いつか:美和さんのレッスンでは、細かく発音、滑舌を教えていただけます。いただいた原稿の読解から読み方まで細かく教えていただき、毎回課題がたくさん見つかります。
間の取り方、語尾や助詞の置き方などもできるまで繰り返し教えていただけるので、これからスキルがついていくのが楽しみです。朗読のレッスンも楽しいです!

あこ:私も美和さんのレッスンを受けたい気持ちが湧いてきました…!

先日開催された日本初のナレーションコンテストVoiceover Japan Awardsにて、娘のいつかこはるさんも子ども部門で上位5位にノミネートされるほどの実力!

ナレーションは作品の一部、ご希望通りの世界が創れるように

あこ:宅録ナレーターとして芯に持っている想いや、今後の目標を教えてください!

いつか:ナレーションはその作品の一部だと思うので、その作品が良くなるように、クライアントの想像する世界が創れるようナレーションや音声を入れていきたいと思っています。
例えば、私はこうかな?と思っても、クライアントさんが「こっちの路線で」と言ったらそういう世界が創れるようにがんばっていきたい。そのためにはやっぱりスキルをつけなきゃなと思っています。

コツコツと作品の一部を作っていくという上では、宅録ナレーターは職人さんみたいだなと思っています。機械のことに対しても勉強して、なるべく細く長く続けていけたらいいなと思います。

クラウドソーシングサイトはいろいろなクライアントさんがいるので、柔軟に対応できるように器も大きくして、一つひとつのお仕事に丁寧に向き合っていきたいと思います。

あこ:ありがとうございます。晴るさんの益々のご活躍をお祈りいたします!


クラウドソーシングサイトで大活躍されている、いつか晴るさんのお話をお聞きしたいと思っていたので、念願が叶いとても嬉しいです。
晴るさんの、どんなことがあっても前に進んでいく強さに心を揺さぶられました。
また、お話をお伺いするなかで、宅録ナレーターという働き方を多くの方に知っていただけたら、いろいろな事情で家から出られない方にも夢や希望が見出せるのではないかと思いました。私も大きな勇気をいただけました!
本当にありがとうございました。(by あこ)

いつか晴るさんインタビュー番外編はこちら↓

これからも「HITOCOE」ではナレーターに特化した上質な記事を連載予定です。今回の記事を気に入っていただけたら、スキやフォロー、サポート(投げ銭)をいただけると幸いです。

【ライター】
片岡あきら(HITOCOE編集長)
国際ナレーター芸人。声の仕事でお寿司を食べまくっている人。プレイヤーとしてだけでなく、スクールや大学での講師、個人レッスンなども。
〇HP…https://kataokaakira.com/
〇Twitter…@akiranarrator

あこ(甘利亜矢子)
純文学を愛するナレーター。文学の魅力を発信すると共に、司会業を中心に伊豆半島を走り回る日々。宅録のお仕事も本格的に始めました!
〇note…https://note.com/amariayako
〇Twitter…@amariayako

みぽりん(遠藤美帆)

新米ナレーター。普段は教師、舞台女優として日々奮闘中。歌好き!ミュージカル好き!モットーは「いつでも、どこでも、何からでも学ぶ!」こと。
〇Instagram…@umi_porin
〇Twitter…@umi_to_maru


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