【突撃!ナレトーーク】第2回番外編 海外案件ってどうやってアプローチする?
第2回の西岡莉央さんとのトーク中…
話がナレーションの海外案件に及び
まだ経験のないさかしとあこは
この日たまたまビデオオフで同席していた
片岡晟氏を突如呼び出し
どさくさに紛れて
いろんなことを聞き出そうとし始めた…!
というわけで、番外編としてお楽しみください☆
海外クライアントにとっての「いい日本語ナレーション」って?
西岡:そういえば今は海外案件も受注しているのですが、英語と日本語って全然違うじゃないですか。
英語はテンポが流れるように、音楽のように繋がっているほうが聞いている側が心地いいというか。日本語は強弱ではなく、間を取ったり、抑揚で聞かせるところがあるけれど、「日本語の上手なナレーションが、海外の人にとって聞き心地がいいとは限らないかな」って思ったんです。日本語としてはいいナレーションでも、海外案件のオーディションには受からないと感じていて…。
さかし:片岡さん、どうですか?
片岡:そもそも日本語は高低、強弱で表現される言語で、日本語を音楽的に聞かせることによって「なんかいいナレーションだな。日本語分からなくてもなんか分かる」みたいな感覚が向こうにもあったりします。
僕がアドバイスを求められたときは、よく「音楽的に喋れ」と言います。例えば、ある人に「海外向けのサンプルはどうしたらいいですか?」と尋ねられたときに、「バッハみたいなサンプルを作ったらどうですか」と言ったことがあります。バッハのG線上のアリアを意識したような読みのメロディとか、BGMとか。バッハだったら世界中で知られているし、普遍的なアプローチができる。サンプルだけじゃなく写真もテーマをバッハにして、とそのときは言いました(笑)。
いい音、メロディで発声されたものって向こうにも伝わるものはあるんですよね。言語なんだけど、言語を超えるものがあるというか。
僕も海外中継でナレーション収録をするとき、ミキサーさんは日本語が全然分からない海外の方なのですが、でも「なんかいいね」と言われるんです。「日本語分からないんだけど、でもめちゃくちゃいいと思う」みたいな、そういう感覚。
基礎的なところの、声の響きや発声、呼吸、間の取り方にしても、日本語のナレーションで鍛えたところは向こうにも通用すると思います。
西岡:え~!最近なかなかできてないけれど…海外案件もまた開拓してみようかなぁ。
片岡:是非やるといいと思います。日本のアニメは海外でも人気があるから、ブランディングできそうです。
今を知る。そしてこれからの流行をどう追う?
西岡:海外から依頼が来るとしたら、私はキャラクターボイスしかないです。今までしてきたお仕事もゲームの声が多いですね。本当はもっとやりたいのですが、なかなか海外案件までがんばれなくて。
片岡:ゲームも今、ブロックチェーンとゲームを組み合わせて、ゲームをやりながらお金を稼ぐというのが世界的にとても盛り上がってきています。eラーニングや、研修自体をゲーム化してしまうゲーミフィケーションというものも盛り上がっていて、研修をゲーム化することによって研修内容を身につけやすくするというのが今世界的に流行ってきているので、そういうものを意識したサンプルを作って発信すれば仕事がくるんじゃないかと思います。
西岡:なるほど!視野を広げていかなければいけませんね。片岡さんはゲーミフィケーションとかどこで知ったんですか?
片岡:起業家のコミュニティを覗いてみたり、最先端の技術や思考というのをネットで常に追うようにしているのですが、そういうところから僕のところに自然にゲーミフィケーションとかそういう情報が流れてくるようにしています。
あとはナレーター関連で言うと、海外のナレーターエージェントでブログをいっぱい出しているところがあるので、「今後の声優ナレーター業界はどうなる」とか「今こんな感じでゲーム業界が盛り上がっている」とか、そういうところを見ていくと、今後の海外の声回りの情勢がわかると思います。
一番わかりやすいのは、ロンドンのVoquentというエージェントがあるんですけど、そこから届いたメールをGoogle翻訳して読んでいくと今後流れが来るものがなんとなくわかると思います。
西岡:今まで流し読みしてました(笑)
片岡:結構大きなヒントがブログとかに載っていたりするので、読んでみるといいですよ。
西岡:ちゃんとチェックします(笑)
ボイスサンプルはどう作ってますか?
西岡:海外だと高額案件があるという話を聞くのですが、私の場合あまりないんですよね。取引する国によっては、正直言うと日本国内のほうが単価がいいです(涙)
片岡:短い言葉で高単価となると、最近だとYouTubeのバンパー広告(YouTubeで流れるスキップできない6秒CM)とか、6 〜30秒の動画広告ですね。バンパー広告とかは、結構高単価になってきている感じがします。クライアントが大手だと特に。
西岡:日本だと、最近そういうのよくやらせてもらっていて助かっています。
さかし:そうすると、海外案件用と日本の案件用と、ボイスサンプルは別で作ったほうがいいですか?
片岡:僕は全部一緒ですね。向こう的に「音楽的に聞こえる」というのは、日本語自体がそういう感じだから、という部分もあります。音の高低を使ったりとか。日本語って基本的にすべての音価に母音がくっついているので、外国の人からはマシンガンみたいにダダダダダダと進んでいくように聞こえるみたいで。そういうところで、「なんだかテンポ感がいい」と聞き取られるのかな。
日本人女性は「声が高い」イメージ!
西岡:海外の方は、日本の女性のボイスオーバーに、すごく声高いイメージされていますよね。息子が好きなディズニー映画『カーズ』で東京に来るシーンがあるんです。そのシーンで、英語版では海外の声優が日本語をしゃべっているのですがその声がすっごく高くて。声の高い声優がさらに高くした声で日本語をしゃべっているので、海外の人にはこういうふうに聞こえているのかなと思います。
片岡:日本のアニメの影響が大きいんじゃないかなと僕は思います。海外でも日本語のアニメがそのまま流れていたりするので、「日本人の女性は声が高い」というイメージになったのだと思います。
よく言われるのは、電話での受け答えのときの女性の声がよく比較されますね。欧米の人と日本の人でかなりトーンが違うと。
西岡:それが海外の人にとって心地いいかっていうと、そういうわけじゃないですよね。心地悪いって言われることも、なんか機械みたいって。だから、落ち着いて読む日本語のほうがいいのかもしれないし…。
片岡:全体的な流れで言うと、コロナやZ世代の台頭など複合的に要因が合わさって、ナチュラルな読みが流行っているじゃないですか。落ち着いた感じ、あまりエネルギッシュじゃない感じが今のトレンドだったりしますが、今後コロナ禍から経済が立ち直って消費マインドが高まってきたときに、煽るような読みがもしかして流行ってくるのかもしれませんし、今後のトレンドは注視していったほうがいいですね。
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海外案件にチャレンジし始めた方や、興味がある方にはかなり有益な内容だったのではないでしょうか?
これからもトーク中に飛び出した実用的な情報に関しては「番外編」として掲載していこうかなと思っています。
こんな話を聞いてみたいなーなどあれば、是非教えてくださいね。
では皆さん、よいお年を!!
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