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【突撃!ナレトーーク】第2回 西岡莉央さん(前半)

ナレーター界を盛り上げるべく始動したメディアプロジェクト『HITOCOE』。
ナレーターのさかし(坂下純美)とあこ(甘利亜矢子)が、ナレーターの皆さんのライフスタイルや人生観、それぞれの働き方を紹介していきたいと思います!

第2回は、お声もご本人もとってもキュートなナレーター、西岡莉央さんです!まずはプロフィールをどうぞ!

西岡莉央さん
三重県在住。2歳と0歳の男の子を育てながら働くママさんナレーター。
明るい透明感のある声質で、テレビ番組やCMでは明るいナレーションを多く担当し、特に好評なキャラクターボイスは、一つの動画のなかで、かわいい少女から赤ちゃん、幼児、少年、大人の女性まで5~6役をひとりで演じ分け可能。
NHKや民放のテレビ番組ナレーション、ロボット掃除機Roborock音声案内(関西弁・アニメ声)、Amazon echoアレクサスキル音声、アプリゲームCV、Nintendo Switch版『魔神少女』パペルネ役など、大手企業のナレーション・キャラクターボイスの実績多数。
〇HP…https://rionishioka.wixsite.com/japanesevoice
〇Twitter…@rionishioka

夢だった声優への道。ケーブルテレビ局の学生キャスターからスタート


さかし:今日はよろしくお願いします!まずどんな経緯で今のお仕事に就かれたか教えてください。

西岡:私は、物心ついたときから声優になるのが夢だったんです。3~4歳くらいで「セーラームーンになりたい」というわけじゃなくて、「声の人」がいることを早くからわかっていて「声の人になりたい」って思っていた記憶があります(笑) 
でも、三重県には専門学校も養成所もないし、田舎でぬくぬく育ってきた私にはひとり上京してバイトして頑張る自信も勇気もなく。
それで普通に大学まで進学したんですけど、「その声なら声優になれそうだね!」とか「声の仕事やったら?」と、私の夢を知らない人からも言われたりして「自分がずっとやりたいことと、人から褒めてもらえること(声)が一緒なら、それをやれたらいいのになぁ」と悶々とした想いはずっと抱えていましたね。
そんなときに大学の掲示板で「ケーブルテレビのキャスター募集」を見つけたんです。原稿を読むことは好きだったので、ちょっとやってみたいなぁ…と。それで応募したら合格して、それが初めてマイクの前で喋るお仕事になりました。

さかし:それはアナウンサーのお仕事ですか?

西岡:そうです、アナウンサーというか原稿読みのお仕事が最初ですね。でも私ってSNSとかで皆さんにどう見えているかわからないのですが、実は本当に不器用で抜けているというか…バイトとかして一生懸命頑張っても失敗ばかりでよく怒られてしまうんですが、声の仕事は唯一もともと得意なことだったので怒られませんでした(笑)
原稿読みは奥深くて楽しくて「声のお仕事をもっとやりたい!アニメの声優は難しくても、マイクの前のお仕事、声の仕事がしたい!」と思いが更に強くなりました。

そんなとき三重県から通える名古屋の事務所にご縁をいただき、大学卒業後は三重・愛知・岐阜の東海地方を中心に、ナレーター・MC・リポーター・アナウンサーと何でもしました。
地方あるあるだと思うのですが、東京のようにナレーター事務所、司会事務所と分かれているわけではなく、地方ではしゃべり手は全部一緒の事務所なんですよね。そこでいろいろ経験させてもらい、中でもナレーションが一番好きで、評価もされていたのかな?今思えばすごく下手くそなんですけど(笑)
そのときテレビ番組のナレーションもしていました。私は器用に言葉が出てくる方ではないのでアナウンサー的なお仕事が苦手だと感じていて、お仕事によって「今日はアナウンサーの役をする」「今日は盛り上げ上手なリポーターをする」と、お芝居のような感じでやっていた気がします。

さかし:「今日はアナウンサー役だ!」みたいな(笑)

西岡:そうです。そういった感じでやっていた中でナレーションが一番素の自分、本来の私という感じでした。
その後、結婚を機に事務所を辞めました。独身のときは、三重県から名古屋まで片道2時間かけて通っていましたが、結婚後はもし番組レギュラーを持ってしまうとなると通うのが厳しいと思ったので…。
そのときに「細々とでも、声のお仕事をやっていけたらいいな」という感覚で宅録を始めました

結婚後、宅録ナレーターに!


さかし:お子さんが生まれるよりも前に宅録を開始していたんですね。

西岡:妊娠する前からしていました。結婚したらすぐに子どもがほしいと思っていたので、事務所に入ってバリバリするというのではなく、宅録でナレーションの仕事だけでもやっていけたらいいなと。
それで最初はよくわからずココナラに登録をしたんです。皆さんも通ると思うのですが、お安い値段設定で結構ビビりました(笑)
「設備も持ってないし、交通費もかからないし、時間的拘束もないし…」と思い、最初は800字ぐらいを2千円で請け負っていました。その値段だったときは結構ご依頼をいただけて。でもその頃は企業案件は全然なくて、個人のYouTuberさんからの依頼が多かったと思います。
それから子どもができてバタバタしている中でそんな生活を細々とやっていたのですが、その頃の私は完全に受け身だったんですよ、依頼が来たらやるという感じで。
でも本業にしていくにあたってTwitterなどでいろんなナレーターの先輩方と繋がりを持ったとき「皆さん、自分でお仕事を取りに行ってるんだ!」ということを知ったんです。自分で海外や日本国内の制作会社さんに営業している人たちがいるということを知って「自分もやろう!」と動き始めました。

さかし:スイッチが入ったということですね…!

西岡:その後コロナ禍で緊急事態宣言中に、スタジオ収録の仕事が入ったんです。そのときに宅録を提案したら、今の宅録環境を教えてほしいと言われて。
そのとき持っていたのがレコーダー1本で、レコーダーをリビングに置いて吸音も何もせずに録っていたんですね。それを伝えたら「あ、それではだめですね」と言われてしまいました。それでいろいろ機材とかを教えてもらって、今も使っている機材を使いだしました。収録ブースを作ったりなど環境も整えたので、その頃に値上げをしました。
そのときには企業案件もいただくようになっていたので「ココナラとかに安い値段設定を出しておくわけにはいかないな」と思い値上げしたんですけど、そうしたらあまり依頼が来なくなっちゃいました(笑)

さかし:ココナラあるある!?(笑)

自分の価値を決めるのは自分!


さかし:
でもご自身での営業とか、ボイスサンプルを聴いていただいてなど直接のご依頼が増えて、結果的にはいただける額も上がったということですね。

西岡:「自分の価値を決めるのは自分ですよ」片岡晟さんから言われて、本当にそうだなと思いました。
お店にすごく価値がある物が並んでいても、わからない人にはわからないじゃないですか。でもわかる人は高くても買ってくれる。だから安売りはしちゃだめだなと思い、考え方を切り替えてからはちゃんとしたお仕事がいただけるようになってきたような気がします。

さかし:安い提示額で来る仕事は、少し悪く言ってしまうと「誰でもいい案件」が来がちかもしれないですね。「高くても、それでもあなたに頼みたい」という方が発注してくれるようになるから、結果仕事の質が上がりますね。

西岡:そうなんです。安い案件のほうが無理難題言ってくる人が多かった気がします(笑)
ちゃんとしたお値段を出してくださる人は「ちょっとイメージに合わなかったのでリテイクしてください」というときも、追加でお支払いしてくださいますね。「え!リテイク、この料金内でOKですよね?」みたいなのを長尺ナレーションで言われたら、ちょっと困っちゃうので。

さかし:「丸ごと!?」とかね(笑)

西岡:「一部だったらサービスしますけど…」みたいなことはありました。

さかし:サービスとしてリテイク何度でもOKって受注してしまうと苦しむことになりかねないので、きっと宅録やるなら知っておいたほうがいい話ですね…。

初めての宅録の仕事は、耳が聞こえない女の子からの依頼


西岡:宅録の初めてのお仕事は、生まれつき耳が聞こえない女の子から「お兄さんに感謝の手紙を読んでほしい」という依頼だったんです。
実はその女の子は小学生のときに東日本大震災で被災して、ご家族が津波で流されてしまったんです。残されたのはその女の子とお兄さんだけだったそうなんですけど、そのお兄さんが進学もせずにずっと育ててくれたらしくて。
でも耳が聞こえないのでお兄さんの声も聞いたことないし、自分も喋れない。だから声優さんに私の代わりに手紙を読んでもらってお兄さんを感動させる動画を作りたい!というご依頼をいただきました。
BGMも本来専門外なんですけど「これ、兄が好きな曲だと思うんですけど入れられますか?雰囲気あってますか?」とか一緒に作っていって。一緒に「お兄さん泣かせましょうね!」って張り切っちゃいました

さかし:そういう仕事もあるってことにも感動しますね…!

西岡:ただ、最近値上げしたら個人の方からの依頼や素敵な出会いがなくなってしまいました。企業のお仕事だけをしたいわけではなくて、直接ご予算をご相談してくだされば全然させていただきたいので、気軽に連絡してほしいなと思っています。
そういうお仕事が、クラウドソーシングサイトだとあるよっていうのも、ちょっと知っておいてほしいです。宅録の最初にそういう出会いがあったので「いい仕事だなぁ」と思って続けてこられたような気もします。

あこ:感動的なエピソードですね…!涙が出ました。

西岡:宅録はそれまでやってきたスタジオ収録の仕事とは全然違うけれど、すごくやりがいを感じたというか…良かったんですよね。個人と個人のやりとりだからこそできる仕事だなぁと思って。今、企業案件やCMもよくしますが、個人的な仕事もまたやりたいです。

さかし:この記事を読んで「莉央さんに相談してみよう!」という方が増えたらうれしいですね!

西岡:納期がゆっくりでいいのであれば柔軟にしたいです。ひとつひとつのいろんな出会いが、今の私を作ってくれたのだと思います。稼ぐための手段というよりは、私は好きでやっていることなので、死ぬまでやっていられたらいいなと思います。AIの時代になっても。

さかし:AIは今後この業界も脅かしてくるかもしれませんが、人間的な部分も磨いていけば負けないと思います!

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初めての宅録でのお仕事にとても感動しました!莉央さんの人柄、声だからこそこういった素敵な依頼が来たのかもしれないな…と、さかしはしみじみ思ったのでした。
というわけで、前半はここまで!
後半では、子育て中なのに返信や納品の速さに定評のある莉央さんがどうやって時間を作っているのかの秘密についてお聞きしています!
ぜひ引き続きご覧ください!!

西岡莉央さん
三重県在住。2歳と0歳の男の子を育てながら働くママさんナレーター。明るい透明感のある声質で、テレビ番組やCMでは明るいナレーションを多く担当し、特に好評なキャラクターボイスは、一つの動画のなかで、かわいい少女から赤ちゃん、幼児、少年、大人の女性まで5~6役をひとりで演じ分け可能。
NHKや民放のテレビ番組ナレーション、ロボット掃除機Roborock音声案内(関西弁・アニメ声)、Amazon echoアレクサスキル音声、アプリゲームCV、Nintendo Switch版『魔神少女』パペルネ役など、大手企業のナレーション・キャラクターボイスの実績多数。
〇HP…https://rionishioka.wixsite.com/japanesevoice
〇Twitter…@rionishioka

さかし(坂下純美)
東京在住のナレーターで一児の母。都内スタジオでの収録を主に活動。1年ほど前に宅録を開始し、Twitterで情報を集めながら日々勉強中。
〇HP…https://www.sakashitamasami.com/
〇Twitter…@sak1013

あこ(甘利亜矢子)
静岡在住のナレーター。司会業を中心に伊豆半島全域を走り回る日々。只今0歳児育児の為、司会業は育休中。宅録はスタートラインに立ったばかり。
〇note…https://note.com/amariayako
〇Twitter…@amariayako

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